土地神との恋

えりー

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土地神と美冬

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ただの人間の私を土地神様はどこを気に入って好きになってくれたのだろう。
人間である美冬は力も弱く何にもできない。
それなのに土地神様は美冬の事を好きだという。
本当に好かれているのだろうかと不安になる。
「土地神様は一体私のどこを好きになってくれたんですか?」
「・・・何を唐突に」
「いつも土地神様は私に好きだと言ってくれますが、一体どこが気に入ったんですか?」
土地神は顔を赤くさせ、こう言った。
「社の掃除を一生懸命してくれているのをこっそりのぞいていたんだ」
「見ていたのなら声をかけてくれたらよかったのに」
「まさか俺を見ることの出来る人間がいるなんて思わなかったんだ」
「一生懸命掃除をしてくれてるいい娘だなと思っていたんだ。それから気になりだして。出会った日はあそこから美冬を見ていたんだ」
美冬はずっと見られていたなんて思いもしなかった。
あの日たまたま目があっただけだと思っていた。
(まさか私を見ていたなんて・・・)
美冬は頬を染め俯いた。
「どうした?美冬顔が赤いぞ」
「いいえ、何もありません」
「それでは美冬は俺のどこを好きになってくれたんだ?」
「!」
まさか聞き返せるとは思わなかった。
「私は・・・一目惚れです」
「・・・一目惚れ?」
美冬は力一杯頷いた。
「こんなに綺麗な人がこの世にいるんだ・・・と思いました」
「綺麗?俺がか?」
「はい、とっても綺麗です」
美冬の髪を一房とり口づけをした。
「俺なんかよりよほどお前の方が美しいと思うが・・・」
美冬は更に赤くなった。
そう言い美冬にキスをした。
いきなり口づけをされ、よろけた美冬を土地神は支えた。
「おっと・・・大丈夫か?」
「はい」
神様に好かれる日が来るだなんて思いもしなかった。
今では恋仲になっている。
何事もなくこのまま平和な日々が続けばいいと思った。
「いつも、口づけしているのにまだ慣れないのか?」
「・・・すみません」
「いや、いい。いきなり口づけした俺も悪い」
2人は謝りあい顔を見合わせた。
何だか恥ずかしい気持ちになった。
美冬は土地神に抱きついた。
土地神は驚いた。
「どうした?」
「いえ、あの好きだなぁと思ったら抱きついてしまいました」
「はははっ変な娘だな」
土地神は美冬を抱きしめ返した。
どうして自分だけが土地神様をみることが出来るのか美冬は不思議だった。
村の皆にも見えたらいいのにといつも思っていた。
しかし、それとは裏腹に独占できているという優越感も持っていた。
村には自分より可愛い子たちがたくさんいる。
皆、きっと土地神様に惹かれるに違いない。
やっぱり自分だけに見えている方が良いと思おう美冬だった。
そんな2人を見つめる人物がいた。
土地神の座を狙っている神だった。
2人はそんな事に気付かずにいた。
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