土地神との恋

えりー

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久野

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久野は美冬に手当てされ驚いた。
自分の敵なのに手当てしてくれた。
名前を名乗ると逃げようとした。
きっと土地神が何か吹き込んだのだろう。
「俺はただ話をしたかっただけなんだがな・・・」
そして久野は余計に美冬を欲しいと思うようになってしまった。
美冬はとても可愛らしい容姿をしていた。
傍に置いておきたいと土地神が思うのもうなずける。
しかし、本人には自覚はなかったが何故ただの人間が神の力を使うことが出来るのだろう?
あまり長居をすると怖がらせてしまうと思い久野はすぐに美冬の家を後にした。
久野は美冬の事で頭がいっぱいになった。
「土地神もこんな感じなんだろうな」
美冬に恋をした久野はどうしても美冬が欲しくなった。
土地も欲しいが一番欲しいのは美冬に変わった。
だが、美冬は土地神の恋人だ。
そう簡単に手に入るはずはない。
それでも久野は何としても手に入れようと思った。
これが久野の初恋だった。
とりあえず今はこの村に飢饉を起こさせることに集中することにした。
もう、作物が枯れ始めていた。

「巫女様、このままでは食べる物が無くなってしまいます」
「巫女様のお力で何とかならないでしょうか?」
美冬は暫く考えた後美冬は言った。
「分かりました。やってみます」
美冬は外に出て社へ行った。
そうして天に祈りを捧げ始めた。
すると暗雲が退き、村に日が当たり始めた。
しかし、力を使いすぎたせいか美冬はその場に倒れてしまった。
そこにやって来たのは久野だった。
久野は村人たちの前にわざと姿を見せ、美冬を連れ去った。
村人たちは呆気に取られている。
久野はぐったりしている美冬を見て、すぐに分かった。
神の力を使えば使うほど命を削っていると。
本人はそんな事まだ気がついていない。
だが、このまま力を使い続けると、大変なことになる。
下手をすれば美冬は死んでしまう。
その事を美冬に伝えなければいけないだろう。
「・・・」
何故こんなになるまで力を使い村を守ろうとするのか久野には理解できなかった。
しかしそんな美冬だからこそ気に入ってしまったのかもしれない。
初めはただの好奇心からくるものだった。
でも、今では美冬を守りたいとまで思うようになっていた。
それには今の土地神が邪魔だった。
どうにかして引き離したいと思った。
久野は自分の隠れ家に美冬を運んだ。
そこは滝の裏にある洞窟だった。
美冬は倒れて丸2日寝込んでしまった。

「・・・水の音が聞こえる・・・」
「目が覚めたか?」
目の前にいたのは久野だった。
久野は水の入った椀を美冬に差し出した。
「のどが渇いているんじゃないか?」
「あ、ありがとうございます」
美冬は素直にその椀を受け取り水を飲み干した。
「・・・何の疑いもなく飲むんだな」
「!」
「俺は敵だぞ?」
「あの水に何か入っていたの!?」
「いいや、ただの水だ」
「良かった・・・ところでここはどこ?」
「俺の隠れ家だ」
「結界もはってあるから土地神にも見つけることは出来ない」
土地神の名を聞き美冬は急に不安になった。
「私、帰らなくっちゃ・・・」
「村へ帰ってどうするつもりだよ」
「・・・力を使って作物を育てないと」
そう言うと久野は首を横に振った。
「あの力はもう使うな。あれは使えば使うほど美冬の命が削られていくものだ」
「え?」
「俺は何か食べる物を取ってくる。この洞窟から出るんじゃないぞ」
久野はそう言い残し飛び去って行った。
残された美冬は呆然としていた。
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