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リハの想い
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リハは唯奈と離れてから、狂ったように仕事に打ち込んだ。
たまっていた仕事の量はとても多かった。
隣を見る癖が抜けない。
いつも唯奈がいた場所を目で追ってしまう。
(会いたい・・・)
その思いばかりが募っていく。
唯奈と離れてまだ2日目だ。
妃は今療養中という事になっている。
会議の場で1人の王族の男が言った。
「やぁ、この場に人間がいないと空気が違いますな」
男の言葉に続き次々に皆から声が漏れだした。
「何でも療養中だそうだ」
「嫌ですわ、変な病気でも持ってこられたら困りますわ」
その言葉を聞き、リハは怒りを露わにした。
「今、言った者は前へ出ろ!!」
リハは剣を抜き今、話していた者たちを斬りつけようとした。
「はい、そこまで」
そう言いティがリハの振り上げた剣を受け止めた。
キィンっと剣と剣がぶつかる音がした。
「・・・ティ」
「兄貴、もっと冷静になれ。狂気をコントロールできるようになるまで唯奈と会えないぞ」
「・・・うるさい」
「そう言うなよ。ここは穏便に過ごすところだろう?」
そう言いながら2人は剣を鞘に納めた。
2人のやり取りを他の王族と貴族が見ていた。
皆、てっきり今の妃に愛想をつかしたのかと思っていた。
突然王の横から消えたのだからそう思われても仕方ない。
「王よ、何故人間を妃に置くのですか?」
まだ年若い少年がリハに質問した。
リハは少年の所まで行きこう言った。
「愛してしまったものは仕方がないのだ」
そう言い少年の頭を撫でた。
「そうですか・・・王は人間の妃を深く愛してらっしゃるんですね」
一同は静まり返り2人の会話に聞き入った。
「お前は誰かを愛したことがあるか?」
「・・・非常に言いにくいことですが私も人間の娘を愛しております」
「ほぅ!お前もか」
「はい」
少年は言いずらそうに告白した。
今まで誰にも言えなかった事だったらしく少年の額には汗がにじんでいた。
「しかし、誰からも祝福されず今は彼女を隠してここに来ています」
「・・・お前、この城にその娘と住む気はないか?」
少年は驚いた。
「畏れ多いことです」
「しかし外の世界はここより危険だ。明日にでも連れてくると良い」
「はい、ありがとうございます」
リハは同じように人間を愛する少年がいた事が嬉しかった。
怒りはいつの間にか収まっていた。
ティはその少年に名を訊ねた。
「お前、名前は?この場でそんなこと言うなんて勇気あるな」
「ダルと申します」
ダルは明日から王の側近見習いとして働くことになった。
ダルの愛しい少女は王の保護を受けることになった。
やはり獣人の中でも人間を愛する者もいるのだと証明された。
皆が皆、人間を敵視しているわけではないとわかり、リハは少し冷静になった。
「兄貴、仲間がいてよかったな」
「ところで唯奈はどうしている?」
「まだ動くことは出来ないが元気にしている」
「・・・そうか」
リハは唯奈に早く会えるように自分の中にある狂気をコントロールしなくてはいけないと思った。
しかし、なかなか難しい。
唯奈は今何を思っているだろうか。
捨てられたと思っていないと良いが・・・。
そこは上手くティがやってくれるだろう。
そう思った。
ティは口が上手い。
口下手な自分とは違う。
一番心配なのは唯奈がティに心変わりしないかという事だけだ。
きっと大丈夫だと思うが、ティは手も早い。
早く唯奈に会いたい。
会って抱きしめたい。
リハはそう思った。
たまっていた仕事の量はとても多かった。
隣を見る癖が抜けない。
いつも唯奈がいた場所を目で追ってしまう。
(会いたい・・・)
その思いばかりが募っていく。
唯奈と離れてまだ2日目だ。
妃は今療養中という事になっている。
会議の場で1人の王族の男が言った。
「やぁ、この場に人間がいないと空気が違いますな」
男の言葉に続き次々に皆から声が漏れだした。
「何でも療養中だそうだ」
「嫌ですわ、変な病気でも持ってこられたら困りますわ」
その言葉を聞き、リハは怒りを露わにした。
「今、言った者は前へ出ろ!!」
リハは剣を抜き今、話していた者たちを斬りつけようとした。
「はい、そこまで」
そう言いティがリハの振り上げた剣を受け止めた。
キィンっと剣と剣がぶつかる音がした。
「・・・ティ」
「兄貴、もっと冷静になれ。狂気をコントロールできるようになるまで唯奈と会えないぞ」
「・・・うるさい」
「そう言うなよ。ここは穏便に過ごすところだろう?」
そう言いながら2人は剣を鞘に納めた。
2人のやり取りを他の王族と貴族が見ていた。
皆、てっきり今の妃に愛想をつかしたのかと思っていた。
突然王の横から消えたのだからそう思われても仕方ない。
「王よ、何故人間を妃に置くのですか?」
まだ年若い少年がリハに質問した。
リハは少年の所まで行きこう言った。
「愛してしまったものは仕方がないのだ」
そう言い少年の頭を撫でた。
「そうですか・・・王は人間の妃を深く愛してらっしゃるんですね」
一同は静まり返り2人の会話に聞き入った。
「お前は誰かを愛したことがあるか?」
「・・・非常に言いにくいことですが私も人間の娘を愛しております」
「ほぅ!お前もか」
「はい」
少年は言いずらそうに告白した。
今まで誰にも言えなかった事だったらしく少年の額には汗がにじんでいた。
「しかし、誰からも祝福されず今は彼女を隠してここに来ています」
「・・・お前、この城にその娘と住む気はないか?」
少年は驚いた。
「畏れ多いことです」
「しかし外の世界はここより危険だ。明日にでも連れてくると良い」
「はい、ありがとうございます」
リハは同じように人間を愛する少年がいた事が嬉しかった。
怒りはいつの間にか収まっていた。
ティはその少年に名を訊ねた。
「お前、名前は?この場でそんなこと言うなんて勇気あるな」
「ダルと申します」
ダルは明日から王の側近見習いとして働くことになった。
ダルの愛しい少女は王の保護を受けることになった。
やはり獣人の中でも人間を愛する者もいるのだと証明された。
皆が皆、人間を敵視しているわけではないとわかり、リハは少し冷静になった。
「兄貴、仲間がいてよかったな」
「ところで唯奈はどうしている?」
「まだ動くことは出来ないが元気にしている」
「・・・そうか」
リハは唯奈に早く会えるように自分の中にある狂気をコントロールしなくてはいけないと思った。
しかし、なかなか難しい。
唯奈は今何を思っているだろうか。
捨てられたと思っていないと良いが・・・。
そこは上手くティがやってくれるだろう。
そう思った。
ティは口が上手い。
口下手な自分とは違う。
一番心配なのは唯奈がティに心変わりしないかという事だけだ。
きっと大丈夫だと思うが、ティは手も早い。
早く唯奈に会いたい。
会って抱きしめたい。
リハはそう思った。
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