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図書館から異世界へ3 第二部 4回
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ここは加賀さんがつくった幕屋の中。愁宋が雨を呼びいまだに台風のような感じで外は吹き荒れている。
(なるほど、危険ってこのことだったのね)
意識の戻らない愁宋の手を握り綾香は加賀に話しかけた。
「加賀さんは愁宋が力を使えばこうなること知っていたんですか?」
「・・・ああ、知っていた。」
「じゃあどうして力を使わせたりするんですかこれじゃあまるで愁宋は命を削りながら雨を降らせているみたいじゃない」
愁宋の手からは冷たさだけしか感じない。暖かさがまったくなくまるで死んでいるかのようだ。顔色も真っ青で、本当にもう一度目が覚めるのか不安になる。
「その通りだ。愁宋様は力を使うとき命を削りながら・・・使っている」
綾香は頭に血が上った。
「どうしてよ!愁宋だけこんなになるまで力を酷使させられてそのうえ命まで削っているなんて・・・そんなの、ひどいわ」
「これが愁宋様にしかできないし、ご自身が望まれてしていることだ。俺が口をでして良い問題じゃないのさ」
(それじゃぁ、一体だれが愁宋を守ってくれるの?かばってくれる相手もいない中で一人生きていかなくちゃいけないの?)
綾香はこの時愁宋がなぜ自分を強く求めているのかストンと胸に落ちた気がした。
(寂しいだけじゃなく愁宋は支えてくれる人を欲していたんだ。それも事情をあまり知らないで王として見ず、自分自身を見てくれる相手を。それがたまたま珠を通して好きになった相手・・・私だったんだ。
それなのに私は愁宋の思いから逃げて、きっと彼を傷つけていたに違いない。
悔しさと後悔で涙が出る。
「愁宋・・・ごめんなさい」
それから2日経ち、愁宋の顔色もだいぶ良くなってきた。綾香は愁宋の手と顔に触れた。手も顔もぬくもりが戻ってきている。
「よかった・・・」
そんな綾香に加賀が声をかけた。
「この調子だと今晩にでも目を覚ますはずだ。俺は薬草でも摘んでくるよ」
「あっ、加賀様私も行きます」
加賀と、沙希は二人それろって幕屋から出て行った。
(気を使わせてしまったのかな・・・)
嵐はおさまり、今は穏やかに晴れている。ただ南地区全体が水没してしまっているため、ここでの生活の復旧には時間がかかりそうだった。
(愁宋の力が強すぎるのね)
これだけのことをやってのければ命だってすり減ってしまうのは当然のことだろう。
しかも、愁宋ひとりで担っている。
愁宋の手を握ったままでいるとぎゅっと握り返された。
「あ、やか」
愁宋が目を覚ました。
「愁宋!愁宋、目が覚めたのね。よかった」
綾香は横たわっている愁宋に抱きついた。
「うっ」
ぎゅうと愁宋に抱きついていると小さく呻く彼の声が聞こえた。
「ごめん!力が強かった!?」
「いや、大丈夫だ」
綾香は愁宋が目覚めたことに安堵した。
「私、加賀さんと沙希ちゃん呼んでくるね。何か欲しいものはない?お水汲んでこようか?」
愁宋は綾香に尋ねた。
「水があるってことは術式が成功したってことか?」
綾香は言いにくそうに答えた。
「雨を降らせるのは成功したんだけど・・・しばらく嵐がやまなくて。南地区のほとんどが水に沈んでしまったの」
愁宋は目を閉じた。
「また失敗したんだな。力が暴走してしまうとどうしてもそうなるのか。国民の住む土地をそんな風にしてしまうなんて俺はやっぱり駄目な王様だな」
「駄目なんかじゃないよ!一生懸命術を使って民の為に水を呼んだだけじゃない。流された家や田畑は南地区に人員を派遣して再度作り直せばいいじゃない!」
綾香は感情的に怒鳴ってしまった。
「綾香?どうした?」
(”どうした?”ですって?)
「加賀さんに聞いたの!雨を降らせたりする術は命を削るって・・・。私そんなこと聞いていなかったわ。どうして何も言ってくれないの?」
綾香は涙を流しながら言った。
「私が部外者だから?」
愁宋はそれを聞き首を横に振った。
「違う、そうじゃない。綾香はいずれ帰るといっていたじゃないか。だから言わなかった。無駄に心配をかけたくなかったんだ。」
愁宋の言っていることは正しい。いずれ帰る人にそんなことを言っても無駄なだけだ。
(でも私は・・・)
(私は、知っておきたかった!)
「愁宋、お水を汲んでくるわ。少し待っていてね。すぐ戻るから」
そういうと綾香は幕屋を飛び出していた。
(なるほど、危険ってこのことだったのね)
意識の戻らない愁宋の手を握り綾香は加賀に話しかけた。
「加賀さんは愁宋が力を使えばこうなること知っていたんですか?」
「・・・ああ、知っていた。」
「じゃあどうして力を使わせたりするんですかこれじゃあまるで愁宋は命を削りながら雨を降らせているみたいじゃない」
愁宋の手からは冷たさだけしか感じない。暖かさがまったくなくまるで死んでいるかのようだ。顔色も真っ青で、本当にもう一度目が覚めるのか不安になる。
「その通りだ。愁宋様は力を使うとき命を削りながら・・・使っている」
綾香は頭に血が上った。
「どうしてよ!愁宋だけこんなになるまで力を酷使させられてそのうえ命まで削っているなんて・・・そんなの、ひどいわ」
「これが愁宋様にしかできないし、ご自身が望まれてしていることだ。俺が口をでして良い問題じゃないのさ」
(それじゃぁ、一体だれが愁宋を守ってくれるの?かばってくれる相手もいない中で一人生きていかなくちゃいけないの?)
綾香はこの時愁宋がなぜ自分を強く求めているのかストンと胸に落ちた気がした。
(寂しいだけじゃなく愁宋は支えてくれる人を欲していたんだ。それも事情をあまり知らないで王として見ず、自分自身を見てくれる相手を。それがたまたま珠を通して好きになった相手・・・私だったんだ。
それなのに私は愁宋の思いから逃げて、きっと彼を傷つけていたに違いない。
悔しさと後悔で涙が出る。
「愁宋・・・ごめんなさい」
それから2日経ち、愁宋の顔色もだいぶ良くなってきた。綾香は愁宋の手と顔に触れた。手も顔もぬくもりが戻ってきている。
「よかった・・・」
そんな綾香に加賀が声をかけた。
「この調子だと今晩にでも目を覚ますはずだ。俺は薬草でも摘んでくるよ」
「あっ、加賀様私も行きます」
加賀と、沙希は二人それろって幕屋から出て行った。
(気を使わせてしまったのかな・・・)
嵐はおさまり、今は穏やかに晴れている。ただ南地区全体が水没してしまっているため、ここでの生活の復旧には時間がかかりそうだった。
(愁宋の力が強すぎるのね)
これだけのことをやってのければ命だってすり減ってしまうのは当然のことだろう。
しかも、愁宋ひとりで担っている。
愁宋の手を握ったままでいるとぎゅっと握り返された。
「あ、やか」
愁宋が目を覚ました。
「愁宋!愁宋、目が覚めたのね。よかった」
綾香は横たわっている愁宋に抱きついた。
「うっ」
ぎゅうと愁宋に抱きついていると小さく呻く彼の声が聞こえた。
「ごめん!力が強かった!?」
「いや、大丈夫だ」
綾香は愁宋が目覚めたことに安堵した。
「私、加賀さんと沙希ちゃん呼んでくるね。何か欲しいものはない?お水汲んでこようか?」
愁宋は綾香に尋ねた。
「水があるってことは術式が成功したってことか?」
綾香は言いにくそうに答えた。
「雨を降らせるのは成功したんだけど・・・しばらく嵐がやまなくて。南地区のほとんどが水に沈んでしまったの」
愁宋は目を閉じた。
「また失敗したんだな。力が暴走してしまうとどうしてもそうなるのか。国民の住む土地をそんな風にしてしまうなんて俺はやっぱり駄目な王様だな」
「駄目なんかじゃないよ!一生懸命術を使って民の為に水を呼んだだけじゃない。流された家や田畑は南地区に人員を派遣して再度作り直せばいいじゃない!」
綾香は感情的に怒鳴ってしまった。
「綾香?どうした?」
(”どうした?”ですって?)
「加賀さんに聞いたの!雨を降らせたりする術は命を削るって・・・。私そんなこと聞いていなかったわ。どうして何も言ってくれないの?」
綾香は涙を流しながら言った。
「私が部外者だから?」
愁宋はそれを聞き首を横に振った。
「違う、そうじゃない。綾香はいずれ帰るといっていたじゃないか。だから言わなかった。無駄に心配をかけたくなかったんだ。」
愁宋の言っていることは正しい。いずれ帰る人にそんなことを言っても無駄なだけだ。
(でも私は・・・)
(私は、知っておきたかった!)
「愁宋、お水を汲んでくるわ。少し待っていてね。すぐ戻るから」
そういうと綾香は幕屋を飛び出していた。
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