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図書館から異世界へ 番外編(愁宋) 

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俺の名は愁宋しゅうそう
藍司あいしという国の王だ。
一目ぼれした異世界の少女を向かへに行ったがなぜか嫌われてしまい。
自分を見てもらいたくて必死になった。
高価な贈り物や花をたくさん送ったが突き返される始末。一体どうしたらよかったのだろう。愛情のかけ方が俺にはさっぱりわからなかった。
あまりにも自分の世界へ帰りたいというので期限を与えた。
「一か月間この国にいて俺を好きにならなかったら元の世界へ帰そう」と約束した。
約束というより取引といった感じだった。
俺が好きになった少女。名を綾香あやかといいとにかく気が強い。
暫く一緒に過ごしていくうちに彼女と打ち解けることができた。完全に心を開いているわけではないにしても嫌われていた時のことを思えば雲泥の差だ。

儀式の日から綾香との距離が一気に縮まった。
俺が倒れ3日ほど寝込んでいる間、彼女が俺の世話をしてくれていたらしい。加賀や沙希といろいろ話していたらしい。加賀が何を言ったのかは大体想像がつく。
俺は力を使えば使うほど命をすり減らしてしまう。
そのことを知った綾香は同情したのか何なのかはわからないがこの国に残ることを承諾してくれた。
それから毎夜俺は綾香の部屋へ赴くようになった。
特に何をするわけではなくとりとめのない会話をしてお茶お飲み菓子を食べる。そんな日課だ。
綾香に手を出そうとしたことは今まで何度もあった。抱こうとしたこともあったが、綾香はどうしても抵抗する。
どうして俺のことを好きになったといったのに触れてはいけないのだろうか?
好きあっている者同士なら自然なことだと俺は思う。
それでも綾香は俺を拒み、受け入れてくれない。
それでも最近一度機会があった。
それは綾香に正妃として公務に同席してもらった夜のことだった。あの日嫌がっても抱いてしまえばよかったと俺は後悔した。

それから毎晩綾香の部屋へ行き綾香をそういった行為に慣らしていくことにした。
今日はどうしようか・・・やりすぎるとまた激しい拒絶を受けてしまう。
うーんとうなりながら石畳の廊下を歩いていると加賀が前からやってきた。
「愁宋様」
「加賀?こんな時間に後宮に何の用だ?」
聞くまでもない。綾香を心配して様子を見に来たのだ。
(おもしろくないな)
「綾香様にお話があったので、こちらに足を運びました」
「そうか、それではもういけ」
不機嫌にそう言うと加賀は苦笑した。
「あんまり、綾香様を追い詰めないように気を付けてくださいね」
加賀が余計な一言を投げかけてきた。
愁宋はその言葉を無視して綾香のいる正妃の間へ急いだ。
部屋へはいると沙希がいなかった。
「愁宋、お疲れさま」
綾香が笑顔で迎えてくれた。嫉妬に狂っている愁宋はそれすら見ていない。
「沙希は?」
「沙希ちゃんはもう休ませました。少し風邪気味みたいだったから」
「・・・じゃあ、加賀と二人っきりであったのか」
愁宋の声音は驚くほど低く冷たい。
「・・・うん」
素直に答えたが愁宋は怒っているような感じだ。
綾香は何が悪かったのかよくわかっていない。
綾香のいる正妃の間に加賀と二人きりで話をした。ただそれだけのことで、愁宋が怒っている。
「でも、話しただけで・・・」
「当然だ」

愁宋はいつもより乱暴に綾香をベッドの上へ横たわらせた。
上から覆いかぶさり綾香の両手を自分の片手で易々と拘束した。
いつもより愁宋は余裕のない自分を感じる。
「綾香」
聞きたくないとでもいうように綾香はぎゅっと瞼を閉じた。愁宋が口づけしようとするとそれを避けるために顔を背けた。
「・・・綾香」
再度名前を呼び無理やり顔を押さえつけ、舌をねじ込んできた。
そうしてひとしきり口内を犯した後綾香の首筋をなめあげてきた。
「ひぅっ・・・!」
ぬるりとした感触に綾香は驚いて声を漏らした。
ぴちゃりと音がして生暖かい感触が首から鎖骨へと降りてきた。
夜着が邪魔になった愁宋は乱暴にはぎ取った。綾香は両手を拘束されているので抵抗ができない。愁宋は露わになった綾香の乳房を舌先でなめ始めた。
言いようのない愉悦が腰の下からうずきだす。
愁宋は綾香の手を解放し、両手で綾香の乳房をもみしだいていく。
形の変わった乳首をうれしそうに眺め綾香にも聞こえるようにわざとぴちゃりと音を出しなめあげていった。
「しゅう、そう・・・どうして・・・怒っているの」
その声に耳を傾けることなく愁宋は行為に及び続けた。
綾香は恐怖で身がすくんだ。
愁宋は綾香の胸を堪能した後、次は綾香の足に触れた。力が抜けて抵抗できなくなっている綾香は、じっとしている他に術がない。
愁宋はその手をそのまま下らせて大腿をなで内側に這わせもう一度這い上がらせる。
その感触に触りとした感覚が走り、綾香は慌てて両足を閉じた。
「や、めて・・・」
愁宋の手が無防備な秘所へと向かっているのが分かった。
綾香は今から起こることを想像して必死に抵抗した。
両足で愁宋の腹部に蹴りを入れたのだった。
「!」
見事にヒットしてしまい愁宋はあまりの激痛でベッドに蹲っている。
「・・・愁宋、今日おかしいよ・・・どうしたの?いつもだったらすぐに嫌だって言ったらやめてくれるのに、どうして・・・?」
「・・・」
まだ痛むらしく愁宋はそのまましゃべることもできずじっとしている。
「・・・嫉妬だ」
ようやく愁宋は言葉を発した。
いつもの愁宋に戻ったみたいだった。
「嫉妬?」
愁宋は軽くうなずいて見せた。
「加賀と二人きりでこの部屋で過ごしたと聞いて頭に血が上った」
「加賀さん?」
「悪かった。無理やり最後までするところだった」
「!」
その言葉に綾香は赤面した。
「・・・」
「・・・」
重たい沈黙が訪れた。
それから愁宋は少し笑いながら綾香に言った。
「綾香、足の力すごかったな。驚いた。まさか蹴られるなんて思っていなかったからな」
「ごめんなさい。他に方法がなくて・・・」
仮にも王様を蹴り上げてしまったことに気がついた綾香は小さな声で謝った。
「いや、俺が悪かった。今日はもう自室に帰るよ」
「え?もう行っちゃうの?」
「だって、俺と一緒じゃ安心できないだろう?」
「-・・・そうだけど」
あんなに嫌がられた後じゃさすがに暫く立ち直れそうにもない。
「でも、私。あれがいつもの愁宋だったら嫌じゃなかった」
「え?」
「・・・」
綾香はうつむいたまま黙ってしまった。
(それってどういう意味なんだ?)
愁宋は頭が付いていかなかった。
そんな愁宋の背を綾香はぐいぐいと押して部屋の外へ出した。
「お休み愁宋。・・・また明日ね?」
「あ、ああ。」
半ば呆然としながら外へ出された愁宋はそのまま自室へ向けて歩き出した。
綾香は嫉妬に狂っていない俺になら抱かれてもよかったといったのだろうか?
そして、また明日とはっきり言っていた。続きは明日ということなのだろうか?
綾香の言葉に振り回されながら一人悶々と考える愁宋だった。




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