八代とお嬢

えりー

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八代と鵺

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八代は結界を二重に張っているので安心しきっていた。
まさか結界を突破されるとは思っていなかった。
しかし、その結界は呆気なく突破されまたもやみくるの姿が屋敷から消えていた。
「今度は・・・どこに行ったんだ!?」
神経を研ぎ澄ませみくるの気配を辿っていく。
すると妖者の気配も混じっていることが分かった。
みくるの机の上を見ると鵺からの手紙を見つけた。
鵺はもう隠居生活をしていると聞いたことがあった。
みくるの居場所は鵺の住処だと思い、急いでみくるの気を追った。

みくるの結界はあっさり破られ横抱きにされベッドへ連れて行かれた。
「男は初めてか?」
「~っ!」
羞恥で顔が真っ赤に染まる。
ポケットから持ってきた護符を鵺の手へ張り付けた。
しかし何も起こらなかった。
「ははは、そんなもの私には効かないよ」
「降ろして!!」
鵺は大切なものを扱うようにベッドの上にゆっくりみくるを降ろした。
「私から離れて!!」
「無理を言うな、今から抱こうとしているのに?」
(冗談じゃない!!)
心臓が高鳴っている。
まるで蛇に睨まれた蛙のような気分になった。
「安心しろ、優しくする」
「私は嫌なの!!」
「だが、私は抱きたくなった」
そう言うとベッドの上から降りようとしたみくるを押し倒した。
みくるの服の中にひんやり冷たい鵺の手が入ってきてぞくりとし、息をのんだ。
「ひっ、やだ・・・やめて!!」
その時だった空間が裂け八代が傷だらけで血を流しながら部屋に入ってきた。
「お嬢を返してもらおうか」
「他人の領域に入って無事ですまないことくらい知っているだろう?」
八代はぜいぜいと荒い息を繰り返している。
「私は戦う気はないんだがな」
「俺には戦う理由がある」
ふぅ・・・っと溜息をつくとみくるの拘束されていた両手が解かれた。
「ここまできたことに免じて今回はみくるを抱くのを諦めるよ」
「は?みくるを抱く?どういうことだ?」
「殺して霊力を奪う方法は好まないんだ。だからみくるを娶ろうと思ったんだがお前という邪魔が入った」
それを聞いた八代は無意識に刀を振り下ろしていた。
「みくるは誰にも渡さない」
「一生あんな小さな屋敷で飼い殺しにするつもりか?」
鵺は冷たく言い放った。
「・・・あんたには関係ない」
「今回は興がさめたから引くが、みくるを諦めたわけではない」
ボタボタと床に血の水たまりの中に立っている姿を見て鵺は溜息をついた。
「そんな状態では戦えまい」
「うるさい!余計な世話だ」
頭に血が上っている八代は切っ先を鵺に向けた。
「もうやめて!それ以上出血したらどうなるかわからないわ」
「愛しい主の命令は聞いたほうがいいのではないか?」
まるでからかうように鵺は笑いながら言った。
体の自由を取り戻したみくるは八代へ駆け寄った。
鵺に軽くキスをされてしまった。
「今回はこれで良い。ただし、婚約の話も真剣に考えてくれないか?」
みくるは黙って頷いた。
鵺は空間を切り裂き2人の背を押し、鵺の創った世界から解放した。
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