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統治
明院との攻防
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予想していた通り、材木の卸値が上がり始まる。
「西寧様。黄虎の国で材木の買い占めも確認できています」
「明院め。まだ俺が書状を読んだことに気づいてないようだな」
壮羽に渡された資料を解析して、西寧はほくそ笑む。
「そろそろ、太政大臣の方の予算は尽きる頃ですね」
「うん。そこからが勝負だ。これから、大臣は、予算は越えたのに、口約束を結び始めるだろう。事業内容を聞いて青虎の商人達が想定してよりも多くの材木をかき集める必要が出てくる。そうなれば、商人に黄虎の国が、商人にさらに高値で材木を売りつけ始めるはずだ」
緑虎の国から、秘密裏に材木を大量に購入している。
その材木を、徐々に裏から市場に放出することで、黄虎の国の高い材木が売れないようにし、材木の値を操作する。だから、黄虎の国の明院が想定してような価格の高騰にはならない。
黄虎の国の昔馴染みの卸業者にも、秘密裏に材木を供給している。
相場よりも少し高い値。それでも、卸業者は、大臣に買い付けろと命じられているから、喜んで買い取っていく。
タイミングと放出量を見間違えれば、こちらが損をするし、黄虎の国に損をさせる前に、工作がバレてしまう。
慎重に事をすすめている。
「黄虎の国は、商業に特化した国だからな。こうやって、周囲の国力を下げることで、国を守り利益を吸い上げているのだろう。だが、そうはいくか! 今後は、思うようにいかないことを、ここで見せつけてやる」
西寧はやる気満々だ。
「思えば、あの時に、国境の街で、傭兵を騙して卑怯な真似をしたのも、そういった事情でしょうか?」
「壮羽の初めての主を殺された時の話か?」
「はい。子どもの時は、ただ卑怯なだまし討ちに巻き込まれて悔しい想いをしました。今でも、明院の名前を聞けば、腸が煮えくり返る気がします」
壮羽は、緑陰を思い出す。
傭兵をしていても、子ども好きな、気の良い優しい猪の精であった。
それが薬を盛られて正気を失い、村人を襲っていた。恐ろしい光景だった。
後にあの狂気の作戦が、明院の考えたものだとは知ったが、その復讐を果たせてはいない。
「いつか、明院を討ち滅ぼせる日が来ると良いな。今回の件は、その第一矢めだ」
西寧が、そう言って壮羽の肩を叩く。
「ありがとうございます。……しかし、ずいぶん沢山の材木を購入されたのですね。これでは、後始末が大変でしょう?」
「心配するな。ちゃんと考えている。黄虎の商人に高値で大量に売りつけて、あいつらが余剰を抱えたところで、必要な分だけ安く買い叩く。その利益をかねてから考えていた事業に使う」
どうやら、心配はいらないらしい。
先は、十分に見越せているということだろう。
「かねてから考えていた事業?」
「うん。学び舎を作ろうと思って。今後国力を上げるには、人材の育成が必要だろう?」
国の虎精の裕福な子ども達が通う学校なら、すでにある。
それ以外にも、学校を作ろうというのだろうか?
「そのための人手も確保している」
西寧がそう言っている内に、コンコンと執務室の扉を叩く者がある。
「お前も知っているだろう? 孝文だ」
西寧が、扉を自ら開けて男を招き入れる。
孝文は、静かに頭を下げた。
「西寧様。黄虎の国で材木の買い占めも確認できています」
「明院め。まだ俺が書状を読んだことに気づいてないようだな」
壮羽に渡された資料を解析して、西寧はほくそ笑む。
「そろそろ、太政大臣の方の予算は尽きる頃ですね」
「うん。そこからが勝負だ。これから、大臣は、予算は越えたのに、口約束を結び始めるだろう。事業内容を聞いて青虎の商人達が想定してよりも多くの材木をかき集める必要が出てくる。そうなれば、商人に黄虎の国が、商人にさらに高値で材木を売りつけ始めるはずだ」
緑虎の国から、秘密裏に材木を大量に購入している。
その材木を、徐々に裏から市場に放出することで、黄虎の国の高い材木が売れないようにし、材木の値を操作する。だから、黄虎の国の明院が想定してような価格の高騰にはならない。
黄虎の国の昔馴染みの卸業者にも、秘密裏に材木を供給している。
相場よりも少し高い値。それでも、卸業者は、大臣に買い付けろと命じられているから、喜んで買い取っていく。
タイミングと放出量を見間違えれば、こちらが損をするし、黄虎の国に損をさせる前に、工作がバレてしまう。
慎重に事をすすめている。
「黄虎の国は、商業に特化した国だからな。こうやって、周囲の国力を下げることで、国を守り利益を吸い上げているのだろう。だが、そうはいくか! 今後は、思うようにいかないことを、ここで見せつけてやる」
西寧はやる気満々だ。
「思えば、あの時に、国境の街で、傭兵を騙して卑怯な真似をしたのも、そういった事情でしょうか?」
「壮羽の初めての主を殺された時の話か?」
「はい。子どもの時は、ただ卑怯なだまし討ちに巻き込まれて悔しい想いをしました。今でも、明院の名前を聞けば、腸が煮えくり返る気がします」
壮羽は、緑陰を思い出す。
傭兵をしていても、子ども好きな、気の良い優しい猪の精であった。
それが薬を盛られて正気を失い、村人を襲っていた。恐ろしい光景だった。
後にあの狂気の作戦が、明院の考えたものだとは知ったが、その復讐を果たせてはいない。
「いつか、明院を討ち滅ぼせる日が来ると良いな。今回の件は、その第一矢めだ」
西寧が、そう言って壮羽の肩を叩く。
「ありがとうございます。……しかし、ずいぶん沢山の材木を購入されたのですね。これでは、後始末が大変でしょう?」
「心配するな。ちゃんと考えている。黄虎の商人に高値で大量に売りつけて、あいつらが余剰を抱えたところで、必要な分だけ安く買い叩く。その利益をかねてから考えていた事業に使う」
どうやら、心配はいらないらしい。
先は、十分に見越せているということだろう。
「かねてから考えていた事業?」
「うん。学び舎を作ろうと思って。今後国力を上げるには、人材の育成が必要だろう?」
国の虎精の裕福な子ども達が通う学校なら、すでにある。
それ以外にも、学校を作ろうというのだろうか?
「そのための人手も確保している」
西寧がそう言っている内に、コンコンと執務室の扉を叩く者がある。
「お前も知っているだろう? 孝文だ」
西寧が、扉を自ら開けて男を招き入れる。
孝文は、静かに頭を下げた。
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