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加護
玉蓮の鏡
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玉蓮の様子が変だ。
そのような噂が西寧に届いたのは、常盤が来て三ヶ月も経った頃だった。
常盤が来てからも、玉蓮を蔑ろにした覚えはない。むしろ、常盤には、玉蓮の意向により不自由な生活をさせていると、心苦しく思っていた。
常盤が、身の回りの物さえあれば十分だと言ってくれるのを良いことに、素朴で慎ましい生活を余儀なくしてしまっている。
「玉蓮? 様子がおかしいそうだが、具合でも悪いのか?」
西寧が玉蓮にそう尋ねれば、
「様子? 私ではなく、西寧様のご様子がおかしいのでしょう?」
と玉蓮は、西寧を睨んだ。
そう言われても、西寧に身に覚えはない。
玉蓮との仲は、玉蓮が正妃となった時から変わらない。同じように、訪れては、玉蓮が満足するまで話をする日々。
夫婦というには、あまりにも歪な関係だが、そもそも政敵の娘。玉蓮の方も、黒虎の精である西寧を、忌み嫌っているはず。
だから、今の関係で十分だし、無理に距離を詰めるつもりもなかった。
「私、西寧様は、女人は愛せない方かと思っておりました」
「へ?」
意表を突いた玉蓮の言葉に、西寧の口からおかしな声が漏れる。
「なのに、今回の来られた常盤への態度! あんまりでございます。私を騙しておられたのですね!」
ワナワナと震える玉蓮。
「待て。騙すも何も、一度もそうだと申したことはないが??」
相変わらず、玉蓮の言葉の意味がわからない。
「だって! 壮羽様や力上様とあんなにベッタリ! 最近は、孝文様にも手をお出しになって! 私にも少しも興味を示して下さいませんし……」
いや、その誤解は、壮羽や力上が巻き込まれて可哀想ではないか? 力上に至っては、既婚者だが?
孝文までその誤解の餌食なのは、なぜ?
「ですから、諦めておりましたのに!」
涙ぐむ玉蓮に、西寧はオロオロする。
一体、何をどうしろと言うのか? 何を叱られているのか、まるっきり理解できない。
「で、では、玉蓮は、一体何をどうしたいと言うのか?」
そう、具体的に言ってもらわないと、何も分からない。
「せ、西寧様は、そういう事を女人の口から言わせるおつもりですか?」
真っ赤な顔の玉蓮。
もういいです! と叫んで玉蓮は、奥に引っ込んでしまった。
奥に引っ込んだ玉蓮は、すぐさま鏡の前に向かう。
「どういたしましょう? また喧嘩をしてしまいました」
玉蓮は、鏡に話しかける。
鏡に薄っすらと黒い影が映る。
「まぁ、また鈍い西寧様が分かって下さらなかったのですか? 姫がこのように努力なさっていらっしゃるのに」
鏡が、玉蓮を慰める。
最近、女官の一人からもらった鏡。
上半身しか映らない小さな鏡だが、この不思議な鏡は、玉蓮の相談にのってくれる。
思うようにいかず苦しい胸の内を分かってくれる。
鏡から、白い女の手が伸びてくる。
玉蓮の頬を撫でて、涙を拭ってくれる。
「大丈夫でございます。私にお任せを」
鏡の中の女が、ニィッと笑った。
そのような噂が西寧に届いたのは、常盤が来て三ヶ月も経った頃だった。
常盤が来てからも、玉蓮を蔑ろにした覚えはない。むしろ、常盤には、玉蓮の意向により不自由な生活をさせていると、心苦しく思っていた。
常盤が、身の回りの物さえあれば十分だと言ってくれるのを良いことに、素朴で慎ましい生活を余儀なくしてしまっている。
「玉蓮? 様子がおかしいそうだが、具合でも悪いのか?」
西寧が玉蓮にそう尋ねれば、
「様子? 私ではなく、西寧様のご様子がおかしいのでしょう?」
と玉蓮は、西寧を睨んだ。
そう言われても、西寧に身に覚えはない。
玉蓮との仲は、玉蓮が正妃となった時から変わらない。同じように、訪れては、玉蓮が満足するまで話をする日々。
夫婦というには、あまりにも歪な関係だが、そもそも政敵の娘。玉蓮の方も、黒虎の精である西寧を、忌み嫌っているはず。
だから、今の関係で十分だし、無理に距離を詰めるつもりもなかった。
「私、西寧様は、女人は愛せない方かと思っておりました」
「へ?」
意表を突いた玉蓮の言葉に、西寧の口からおかしな声が漏れる。
「なのに、今回の来られた常盤への態度! あんまりでございます。私を騙しておられたのですね!」
ワナワナと震える玉蓮。
「待て。騙すも何も、一度もそうだと申したことはないが??」
相変わらず、玉蓮の言葉の意味がわからない。
「だって! 壮羽様や力上様とあんなにベッタリ! 最近は、孝文様にも手をお出しになって! 私にも少しも興味を示して下さいませんし……」
いや、その誤解は、壮羽や力上が巻き込まれて可哀想ではないか? 力上に至っては、既婚者だが?
孝文までその誤解の餌食なのは、なぜ?
「ですから、諦めておりましたのに!」
涙ぐむ玉蓮に、西寧はオロオロする。
一体、何をどうしろと言うのか? 何を叱られているのか、まるっきり理解できない。
「で、では、玉蓮は、一体何をどうしたいと言うのか?」
そう、具体的に言ってもらわないと、何も分からない。
「せ、西寧様は、そういう事を女人の口から言わせるおつもりですか?」
真っ赤な顔の玉蓮。
もういいです! と叫んで玉蓮は、奥に引っ込んでしまった。
奥に引っ込んだ玉蓮は、すぐさま鏡の前に向かう。
「どういたしましょう? また喧嘩をしてしまいました」
玉蓮は、鏡に話しかける。
鏡に薄っすらと黒い影が映る。
「まぁ、また鈍い西寧様が分かって下さらなかったのですか? 姫がこのように努力なさっていらっしゃるのに」
鏡が、玉蓮を慰める。
最近、女官の一人からもらった鏡。
上半身しか映らない小さな鏡だが、この不思議な鏡は、玉蓮の相談にのってくれる。
思うようにいかず苦しい胸の内を分かってくれる。
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玉蓮の頬を撫でて、涙を拭ってくれる。
「大丈夫でございます。私にお任せを」
鏡の中の女が、ニィッと笑った。
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