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高校三年生(今までの応用です。暗号・トリック・事件・サイコパス……)

猫を殺さば呪われると思え2

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 俺と松尾と今井と赤野、いつものメンバーで木根刑事を警察署に訪ねれば、木根刑事の難しい顔がある。

「助かるよ。こっちへ」

促されて入った会議室では、一つの箱が置いてある。
小さな汚れた金属の箱。……金庫かな?

「この箱は?」

「猫の遺体のそばに置いてあった。番号が分からなくて、開けられていない。鑑識に任せるのも良いかと思ったが、今、あいつらは忙しいし、周作達に聞く方が早いかと思って」

猫の遺体。ということは、最近多くなっているという猫が狙われる事件に関連しているのだろうか?

 箱の表面には、
[『百人一首010』『源氏物語 003』→『□□□□□□』ここに続く四ケタの数字を見つけよ]
と書かれている。
 箱の横には、四ケタの数字合わせの鍵がついている。

えっと、意味が分からない。

「何の捻りもない。ネットで調べればすぐに分かるよ」
赤野が、くだらないと、ため息をつく。

 ……なんだか機嫌が悪そうだ。

「どうしたの?」
俺が聞けば、

「だってこんな下らない物のために、猫を殺すなんて」
と赤野がイラつく。

「何か理由があって人間同士で殺し合うならともかく、全く関係のない猫を巻き込むなんて!」

どうやら、俺が思っている以上に赤野は猫好きらしい。
てか、いいんだ。人間同士なら……。まあ、事情にもよるんだろうけれども。駄目だろ。普通。

「理由……分かるの? この暗号を書いた」
今井が赤野に聞く。

「たぶんね。でも言わない。まだ、あまりにも推論すぎるから」
教えてはくれないらしい。

 松尾が、ネットで調べてみれば、
『百人一首010』は、『これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関』という和歌の番号。
『源氏物語 003』は、『桐壺』『帚木』に続く三帖『空蝉』のことだった。

「これが何だ?」
俺が首をひねっていると、

「百人一首010の作者は?」
と赤野が聞く。

「えっと、確か……蝉丸?」
そっか、じゃあ、『百人一首010』は、むしろ『蝉丸』が答えだ。それから、『蝉丸』と『空蝉』……共通点は、『蝉』。

「『蝉』が答え?」
おずおずと俺が聞けば、

「そう。そして、それが六文字になるのだから、英語に直してみてよ」
赤野が正解だと教えてくれる。

「蝉……CICADA」
松尾が、ネットですぐさま調べて出てきたのは、『CICADA』という単語。では、この、『□□□□□□』は、『CICADA』から、どんな四ケタの数字が出てくるというのか……。

「3301」
赤野が、四ケタの数字を述べる。

「CICADAに続く数字ならば、3301なんだよ。昔、ネット上で盛り上がった暗号にまつわる話があってね」

 赤野が教えてくれた。
 2021年の一月。インターネット上を騒がせた謎の暗号があった。それが「CICADA3301」。蝉の画像に隠されたメッセージを読み取れという内容。世界中の都市にヒントが巻かれ、世界中の天才達が翻弄されたのだという。いまだに、誰が何の目的でこの暗号を作成したのかは分かっていない。

「こんなのは、そんな有名な暗号の足元にも及ばない子供だまし」
赤野は、ご立腹のようだ。

木根刑事が慎重に数字を合わせれば、箱はいとも簡単に開く。
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