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廃校になるって
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25億光年先に眩く輝く光がある。
ブラックホールの闇深くに物質が飲み込まれる寸前に、膨大な光を放つのだ。
地上からは、決して手の届かない場所にある光。
でも、地球にもっとも近いクエーサーなのだそうだ。
幼馴染の中本貴子は、私、佐原ミライにとって、クエーサーみたいな存在だった。
近くて遠い光り輝くクエーサーみたいな貴子を、私は憧れと嫉妬と共に見つめていた。
だから信じられなかった。
貴子が、血の海に横たわって……タオレテイルノヲ……
◇ ◇ ◇
高校二年が終わる三月三十一日の午後六時。
天文部のみんなで、学校に忍び込んだ。
明日から沼中第二高等学校(通称沼二)の校舎は、廃校になる。
沼中第一高等学校(通称沼一)に併合されるのだ。
少子で生徒数が減少したのが原因らしい。
昭和三十年頃から使われている校舎は、限界に近いくらいにボロボロだったから仕方ない。
市のほうでも、予算がなくって、これ以上沼二の校舎を維持することはできなくなったのだ。
残念でならない。
規模が大きい沼一に吸収合併される沼二の私達には、不安しかない。
きっと、迫害される。
沼二の田舎者と石投げられるんだ。
特に、沼二の天文学部なんて、弱小過ぎる私達は、虫けら扱いだろう。
そんな危機感の中で、沼二に未練たらたらな私達は、ある計画を立てた。
春から使われなくなる愛しい沼二の校舎に別れを告げるために、沼二の校舎で最後の天文鑑賞会を開くこと。
私達天文部の五人は、今、校舎に無事に忍び込み、屋上へと続く暗い階段をキャンプ用のランタンを持って上っている。
「ねえ、やっぱりまずくないですか? 勝手に屋上へ上がり込むの。先生に見つかって怒られるかもだし。人間以外のお化けなんか出そうだし」
一年生の久崎紗栄が、きょろきょろと周りを見る。
紗栄は、私にくっついて離れない。夜の校舎で明かりもない。
私達を照らすのは、自分達が持って来たランタンだけだ。
一年通った慣れた校舎と言えども怖いのだろう。
「大丈夫だ。もう、三月の最終日には、先生も来ないことは分かっている! お化けも……お化けも、来ない! そんな非科学的なモノなんて存在しない!」
この計画を言い出した張本人、部長の畠中慎也が、断言する。
声、裏返ってますが?
根拠なんてないくせに。
本当は、自分もちょっと怖いくせに。
お化けは、私も怖い。
先生は……どうだろう。
やっぱり推薦もらえなくなったりするのだろうか。
それは、困る。
大学入試、推薦をもらえるかどうかって、結構大きい。
「平気よ。ちょっと忘れ物をしました、ごめんなさい! って、言えば、先生だって許してくれるわよ」
ケラケラと陽気に笑うのは、私と同じ二年の山瀬奈美だ。
貴子ほどではないけれども、クラスの人気者の陽キャ。
こんな状況でも笑っていられるのは、さすが陽キャってところだ。
まあ、奈美は普通に頭いいもの。推薦なんかに頼らなくたって、進学に影響はないのかもしれない。
いいなあ、陽キャで頭良くって。
いわゆる一軍ってやつなのだろう。
どうして、そんな一軍陽キャの奈美が、運動部や生徒会なんて陽キャの活動をせずに、こんな場末の天文部に入ったかには、理由がある。
貴子だ。
何かと注目される貴子を意識ている奈美は、貴子目当てに天文部に入ったのだ。
たぶん。
直接、奈美に確認なんてしていないから、私の憶測に過ぎないけど、たぶん当たりだろう。
「やっぱり、中本先輩は、今日は来られないんですよね?」
貴子の姿がなくって見るからにがっかりしているのは、一年の浦部理人。
理人が貴子に惚れているのは、みんな知っている。
だって、貴子のオフィシャルファンクラブに登録しているし、天文部に入部してきた時にも、「中本貴子が天文部だと聞き入部しました!」と、臆面もせずに言い切った強者だ。
「そりゃ、貴子は芸能活動があるもの。ちょっとしたことでもスキャンダルになるし、こんな下らない活動に巻き込まれたくなかったんでしょ?」
フンッと奈美が鼻で息をする。
そういう、すぐ貴子の嫌みを言うところ、奈美の悪いところだと思う。
もっとも、貴子は全く奈美のことを相手にしていないけど。
「中本先輩は、そんな人ではないです。モデル活動でも役者としての演技でも、しっかりと勉強して挑んでいる努力の人なんです」
貴子のファンを自認する理人が奈美に言い返す。
いつもの光景だ。
「また雑誌のインタビュー鵜呑みにして。貴子がそんな偉いわけないじゃない。親に言われてイヤイヤやっているって、教室で愚痴ってたし! ねえ、ミライ? ミライも聞いているでしょ?」
「え、ど、どうかな?」
私は、誤魔化す。
私を巻き込まないでほしい。
困るのよ。そういうの。
貴子とは、最近、会話した記憶はない。
確かに、中学の時に一度そんなことを零していたけれども、高校生になってからはどうだろう。
忙しくって、学校に来るのも稀な貴子だ。
学校へ来たとしても、取り巻きに囲まれてて、私と話す時間なんてなかった。
『こんなの望んでない。学校に行きたいよ』
たった一度だけ、中学の時に、そう言って私の前で泣いた貴子を今でも覚えている。
私は、どうしてあげることも出来なかった。
ただ、貴子を抱きしめて話を聞いてあげただけ。
中学生だった。
子どもだった。私も貴子も。
何もできなかった……
「ともかく、屋上だ。星が見える場所にいなくて、天文学部の意味がない」
慎也は、燃えていた。
屋上へと続く扉の鍵を開けて、バアン力強く扉を開いた。
目の前に広がったのは、満天の星だった。
沼二が田舎で良かった。
天の川がくっきり見えて、星が輝く。
誰もいない屋上に満天の星。
私達だけの貸し切りの星空だ。
「綺麗……」
私は、素直な感想をこぼす。
「別にいつもと変わらないじゃない」
機嫌の悪い奈美が、私に突っかかってきた。
「いいから、ほら! 準備して!」
慎也は、星を見てさっさと準備を始める。
天文部の部長をするくらいの星好きだ。
星を見た途端に、お化けと先生への恐怖はすっかり忘れたようだ。
私達は、不機嫌でやる気のない奈美(だったら来なければいいのに……)を放っておいて、準備を始める。
時刻は夜七時。
私達は、ここで二時間の観測を予定している。
別に彗星や、月食なんかの特別な天体ショーがあるわけではないが、それでも、美しい星々を観るのは楽しい。
重たい観測道具を持って、屋上に登った甲斐があったというものだ。
屋上のコンクリートの床の上に三脚を立てて、望遠鏡を設置して、記録用の一眼レフのデジタルカメラを取り出した。
「嘘でしょ?」
一人サボって屋上を歩き回っていた奈美が、声を上げる。
奈美が、屋上の端でへたり込んで、下を見ている。
「ちょっと! そんな端に座ったら危ないよ!」
私は、奈美に声を掛ける。
奈美は……戻ってこない。
いや、望遠鏡の設置をサボった上に、無視するの?
私は、ちょっと腹が立つ。
「あ、ええっと……呼んできますね」
理人が、気を利かせて、奈美を呼びに行ってくれる。
奈美よ。後輩に気を使わせちゃ、先輩として駄目だと思うよ?
私達は、理人が奈美を無理矢理引っ張って、皆のところへ連れて来るのだと思っていた。
なのに、理人は、奈美が見ているのと同じ下を見たまま、動かなくなってしまった。
「何だ? 何があるんだ?」
慎也も気になったみたいだ。
二人の目を釘付けにするものが、そこにある。
慎也は、望遠鏡に取り付けるはずの一眼レフカメラを持って、奈美たちの方へ向かう。
私と紗栄も、気になって仕方ない。
慎也と一緒に、奈美たちのほうへ向かった。
「あ……」
私は、奈美の横で下を見て動けなくなった。
中庭のタイル張りの床の上に私達が持っていたのと同じランタンが一つ、灯っている。
その横にあったのは、スカートの沼二の制服を着た、人型だった。
私は、初め、人形だと思った。
誰かが、人形を置いたのだと。
でも、違う。
黒い液体の上に転がる仰向けの女の子。
その顔は、見覚えある。
「中本先輩……」
涙まじりの絞り出すような、理人の声。
いやああああああ!!!!
紗栄の悲鳴が、屋上に響いていた。
そう、あれは、確かに、私の、幼馴染の、憧れの、貴子の姿、だった。
ブラックホールの闇深くに物質が飲み込まれる寸前に、膨大な光を放つのだ。
地上からは、決して手の届かない場所にある光。
でも、地球にもっとも近いクエーサーなのだそうだ。
幼馴染の中本貴子は、私、佐原ミライにとって、クエーサーみたいな存在だった。
近くて遠い光り輝くクエーサーみたいな貴子を、私は憧れと嫉妬と共に見つめていた。
だから信じられなかった。
貴子が、血の海に横たわって……タオレテイルノヲ……
◇ ◇ ◇
高校二年が終わる三月三十一日の午後六時。
天文部のみんなで、学校に忍び込んだ。
明日から沼中第二高等学校(通称沼二)の校舎は、廃校になる。
沼中第一高等学校(通称沼一)に併合されるのだ。
少子で生徒数が減少したのが原因らしい。
昭和三十年頃から使われている校舎は、限界に近いくらいにボロボロだったから仕方ない。
市のほうでも、予算がなくって、これ以上沼二の校舎を維持することはできなくなったのだ。
残念でならない。
規模が大きい沼一に吸収合併される沼二の私達には、不安しかない。
きっと、迫害される。
沼二の田舎者と石投げられるんだ。
特に、沼二の天文学部なんて、弱小過ぎる私達は、虫けら扱いだろう。
そんな危機感の中で、沼二に未練たらたらな私達は、ある計画を立てた。
春から使われなくなる愛しい沼二の校舎に別れを告げるために、沼二の校舎で最後の天文鑑賞会を開くこと。
私達天文部の五人は、今、校舎に無事に忍び込み、屋上へと続く暗い階段をキャンプ用のランタンを持って上っている。
「ねえ、やっぱりまずくないですか? 勝手に屋上へ上がり込むの。先生に見つかって怒られるかもだし。人間以外のお化けなんか出そうだし」
一年生の久崎紗栄が、きょろきょろと周りを見る。
紗栄は、私にくっついて離れない。夜の校舎で明かりもない。
私達を照らすのは、自分達が持って来たランタンだけだ。
一年通った慣れた校舎と言えども怖いのだろう。
「大丈夫だ。もう、三月の最終日には、先生も来ないことは分かっている! お化けも……お化けも、来ない! そんな非科学的なモノなんて存在しない!」
この計画を言い出した張本人、部長の畠中慎也が、断言する。
声、裏返ってますが?
根拠なんてないくせに。
本当は、自分もちょっと怖いくせに。
お化けは、私も怖い。
先生は……どうだろう。
やっぱり推薦もらえなくなったりするのだろうか。
それは、困る。
大学入試、推薦をもらえるかどうかって、結構大きい。
「平気よ。ちょっと忘れ物をしました、ごめんなさい! って、言えば、先生だって許してくれるわよ」
ケラケラと陽気に笑うのは、私と同じ二年の山瀬奈美だ。
貴子ほどではないけれども、クラスの人気者の陽キャ。
こんな状況でも笑っていられるのは、さすが陽キャってところだ。
まあ、奈美は普通に頭いいもの。推薦なんかに頼らなくたって、進学に影響はないのかもしれない。
いいなあ、陽キャで頭良くって。
いわゆる一軍ってやつなのだろう。
どうして、そんな一軍陽キャの奈美が、運動部や生徒会なんて陽キャの活動をせずに、こんな場末の天文部に入ったかには、理由がある。
貴子だ。
何かと注目される貴子を意識ている奈美は、貴子目当てに天文部に入ったのだ。
たぶん。
直接、奈美に確認なんてしていないから、私の憶測に過ぎないけど、たぶん当たりだろう。
「やっぱり、中本先輩は、今日は来られないんですよね?」
貴子の姿がなくって見るからにがっかりしているのは、一年の浦部理人。
理人が貴子に惚れているのは、みんな知っている。
だって、貴子のオフィシャルファンクラブに登録しているし、天文部に入部してきた時にも、「中本貴子が天文部だと聞き入部しました!」と、臆面もせずに言い切った強者だ。
「そりゃ、貴子は芸能活動があるもの。ちょっとしたことでもスキャンダルになるし、こんな下らない活動に巻き込まれたくなかったんでしょ?」
フンッと奈美が鼻で息をする。
そういう、すぐ貴子の嫌みを言うところ、奈美の悪いところだと思う。
もっとも、貴子は全く奈美のことを相手にしていないけど。
「中本先輩は、そんな人ではないです。モデル活動でも役者としての演技でも、しっかりと勉強して挑んでいる努力の人なんです」
貴子のファンを自認する理人が奈美に言い返す。
いつもの光景だ。
「また雑誌のインタビュー鵜呑みにして。貴子がそんな偉いわけないじゃない。親に言われてイヤイヤやっているって、教室で愚痴ってたし! ねえ、ミライ? ミライも聞いているでしょ?」
「え、ど、どうかな?」
私は、誤魔化す。
私を巻き込まないでほしい。
困るのよ。そういうの。
貴子とは、最近、会話した記憶はない。
確かに、中学の時に一度そんなことを零していたけれども、高校生になってからはどうだろう。
忙しくって、学校に来るのも稀な貴子だ。
学校へ来たとしても、取り巻きに囲まれてて、私と話す時間なんてなかった。
『こんなの望んでない。学校に行きたいよ』
たった一度だけ、中学の時に、そう言って私の前で泣いた貴子を今でも覚えている。
私は、どうしてあげることも出来なかった。
ただ、貴子を抱きしめて話を聞いてあげただけ。
中学生だった。
子どもだった。私も貴子も。
何もできなかった……
「ともかく、屋上だ。星が見える場所にいなくて、天文学部の意味がない」
慎也は、燃えていた。
屋上へと続く扉の鍵を開けて、バアン力強く扉を開いた。
目の前に広がったのは、満天の星だった。
沼二が田舎で良かった。
天の川がくっきり見えて、星が輝く。
誰もいない屋上に満天の星。
私達だけの貸し切りの星空だ。
「綺麗……」
私は、素直な感想をこぼす。
「別にいつもと変わらないじゃない」
機嫌の悪い奈美が、私に突っかかってきた。
「いいから、ほら! 準備して!」
慎也は、星を見てさっさと準備を始める。
天文部の部長をするくらいの星好きだ。
星を見た途端に、お化けと先生への恐怖はすっかり忘れたようだ。
私達は、不機嫌でやる気のない奈美(だったら来なければいいのに……)を放っておいて、準備を始める。
時刻は夜七時。
私達は、ここで二時間の観測を予定している。
別に彗星や、月食なんかの特別な天体ショーがあるわけではないが、それでも、美しい星々を観るのは楽しい。
重たい観測道具を持って、屋上に登った甲斐があったというものだ。
屋上のコンクリートの床の上に三脚を立てて、望遠鏡を設置して、記録用の一眼レフのデジタルカメラを取り出した。
「嘘でしょ?」
一人サボって屋上を歩き回っていた奈美が、声を上げる。
奈美が、屋上の端でへたり込んで、下を見ている。
「ちょっと! そんな端に座ったら危ないよ!」
私は、奈美に声を掛ける。
奈美は……戻ってこない。
いや、望遠鏡の設置をサボった上に、無視するの?
私は、ちょっと腹が立つ。
「あ、ええっと……呼んできますね」
理人が、気を利かせて、奈美を呼びに行ってくれる。
奈美よ。後輩に気を使わせちゃ、先輩として駄目だと思うよ?
私達は、理人が奈美を無理矢理引っ張って、皆のところへ連れて来るのだと思っていた。
なのに、理人は、奈美が見ているのと同じ下を見たまま、動かなくなってしまった。
「何だ? 何があるんだ?」
慎也も気になったみたいだ。
二人の目を釘付けにするものが、そこにある。
慎也は、望遠鏡に取り付けるはずの一眼レフカメラを持って、奈美たちの方へ向かう。
私と紗栄も、気になって仕方ない。
慎也と一緒に、奈美たちのほうへ向かった。
「あ……」
私は、奈美の横で下を見て動けなくなった。
中庭のタイル張りの床の上に私達が持っていたのと同じランタンが一つ、灯っている。
その横にあったのは、スカートの沼二の制服を着た、人型だった。
私は、初め、人形だと思った。
誰かが、人形を置いたのだと。
でも、違う。
黒い液体の上に転がる仰向けの女の子。
その顔は、見覚えある。
「中本先輩……」
涙まじりの絞り出すような、理人の声。
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