27 / 42
理人は、何を見ていたのか
しおりを挟む
「警察と救急車を呼ぼうとしたのは、ミライ」
慎也が私を見る。
「そう。そして、奈美が、通報するなって言って……慎也がそれに同意したの」
「そうだ。奈美が、疑われるのが嫌だって怯えてさ」
慎也の言う通り奈美は、通報するのをすごく嫌がっていた。
『沼一に行って早々に問題になったら、私達の生活めちゃくちゃよ? 貴子を殺したんじゃないかって、ずっと白い目で見られるのよ!』
今でも、はっきりと思い返せる奈美の言葉だ。
昨日の夜に電話で話した時には、もっと冷静だったのは、奈美はそれほど落ち着いたのだろうか。
「でも、慎也がもう死んでいるんだから、無意味だって言ったんだよ」
「だって、そりゃ、出血が酷かったから。死んでいると思ったからこそ、俺は写真を撮ったし、奈美の意見にも賛同したんだ」
「でも、後悔したんでしょ」
「ああ、だから、あの後、一人になってから公衆電話で救急車を呼んだけれども、どうも無意味だった」
「誰かが、貴子の遺体を片付けてしまったから」
その誰かは、理人じゃないかと、私も慎也も思っている。
だって、ランタンを貴子の遺体の傍に置いたのは、理人だもの。
「紗栄が、怖いって震えていたから……」
「理人が、紗栄が限界だから帰ろうと言ったんだよ」
ああ、そうだ。
慎也と話していて、だんだんと明確に思い出す。
「理人は、あの時の反応を見て、犯人を捜していたんだ」
私は、確信する。
理人は、貴子の遺体を見つけて、誰かが貴子を殺したのだと思った。
そして、その犯人を捜すために、ランタンを貴子の遺体の横に置いて、皆の反応を見た。
「私は、すぐ救急車を呼ぼうとしたから、犯人からは除外されたのよ」
「そっか。俺は、それに反対したし、鍵を管理していたから、第一容疑者にされたんだ」
慎也が頭を掻く。
「じゃあ、後の二人は? 奈美と紗栄は?」
「奈美は、救急車を呼ぶのに反対した」
そう。慎也の言う通り。
手が変な方向に曲がっていたから、確実に死んでいると思った奈美は、今更無駄だと思ったって、言っていた。
そして、私が、貴子のお母さんが部屋に貴子がいると言ったから、質の悪い悪戯だって言っていたのよ。
「そして、紗栄は、怯えていた」
「まあ、血みどろの遺体をみたら、普通怖がるわよ」
それに不自然さは感じない。
「でも、さ。その後、だよ。貴子のお母さんが、部屋に貴子がいると言ったから、話がややこしくなったんだよ」
「そうよね。どうして、貴子のお母さんは、貴子の行方が分からないことを言わなかったのか、謎よね」
本当に、そこだけは、意味が分からない。
だって、大切な娘がいなくなったのよ?
貴子のお母さんは、心配でないのだろうか。娘の行方が分からなくって……。
慎也が私を見る。
「そう。そして、奈美が、通報するなって言って……慎也がそれに同意したの」
「そうだ。奈美が、疑われるのが嫌だって怯えてさ」
慎也の言う通り奈美は、通報するのをすごく嫌がっていた。
『沼一に行って早々に問題になったら、私達の生活めちゃくちゃよ? 貴子を殺したんじゃないかって、ずっと白い目で見られるのよ!』
今でも、はっきりと思い返せる奈美の言葉だ。
昨日の夜に電話で話した時には、もっと冷静だったのは、奈美はそれほど落ち着いたのだろうか。
「でも、慎也がもう死んでいるんだから、無意味だって言ったんだよ」
「だって、そりゃ、出血が酷かったから。死んでいると思ったからこそ、俺は写真を撮ったし、奈美の意見にも賛同したんだ」
「でも、後悔したんでしょ」
「ああ、だから、あの後、一人になってから公衆電話で救急車を呼んだけれども、どうも無意味だった」
「誰かが、貴子の遺体を片付けてしまったから」
その誰かは、理人じゃないかと、私も慎也も思っている。
だって、ランタンを貴子の遺体の傍に置いたのは、理人だもの。
「紗栄が、怖いって震えていたから……」
「理人が、紗栄が限界だから帰ろうと言ったんだよ」
ああ、そうだ。
慎也と話していて、だんだんと明確に思い出す。
「理人は、あの時の反応を見て、犯人を捜していたんだ」
私は、確信する。
理人は、貴子の遺体を見つけて、誰かが貴子を殺したのだと思った。
そして、その犯人を捜すために、ランタンを貴子の遺体の横に置いて、皆の反応を見た。
「私は、すぐ救急車を呼ぼうとしたから、犯人からは除外されたのよ」
「そっか。俺は、それに反対したし、鍵を管理していたから、第一容疑者にされたんだ」
慎也が頭を掻く。
「じゃあ、後の二人は? 奈美と紗栄は?」
「奈美は、救急車を呼ぶのに反対した」
そう。慎也の言う通り。
手が変な方向に曲がっていたから、確実に死んでいると思った奈美は、今更無駄だと思ったって、言っていた。
そして、私が、貴子のお母さんが部屋に貴子がいると言ったから、質の悪い悪戯だって言っていたのよ。
「そして、紗栄は、怯えていた」
「まあ、血みどろの遺体をみたら、普通怖がるわよ」
それに不自然さは感じない。
「でも、さ。その後、だよ。貴子のお母さんが、部屋に貴子がいると言ったから、話がややこしくなったんだよ」
「そうよね。どうして、貴子のお母さんは、貴子の行方が分からないことを言わなかったのか、謎よね」
本当に、そこだけは、意味が分からない。
だって、大切な娘がいなくなったのよ?
貴子のお母さんは、心配でないのだろうか。娘の行方が分からなくって……。
30
あなたにおすすめの小説
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇
☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
白い結婚の行方
宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」
そう告げられたのは、まだ十二歳だった。
名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。
愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。
この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。
冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。
誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。
結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。
これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。
偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。
交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。
真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。
──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる