25億光年先のクエーサー

ねこ沢ふたよ

文字の大きさ
33 / 42

そんな訳ないと思うけれども

しおりを挟む
「まず、紗栄が、貴子を殺したんだ」
「え、紗栄が? どうして?」
「そんなの俺が知るかよ」

 やだ、無責任。
 なんか、信用おけないな。だが、まあ、一度聞いてみないと。

「で、理人がランタンで照らした遺体を見て、誰かが自分の犯行を知っているのではないかと思って、観測会の時には、あんなに怯えていたんだ」
「はあ……。まあ、確かに、紗栄はすごく怯えていたのは、認める」
「そして、理人が遺体を隠して、中庭の血濡れたタイルを隠す」
「貴子の遺体がどこにあるかは?」
「それも、分からん」
「おいおい……」

 ちょっと、穴だらけな推理な気がする。
 まだ、犯人のはずの貴子のお母さんが登場しないのが、かなり気になる。

「で、翌朝に紗栄が犯人だと知ったのが、貴子のお母さん」
「お、急に出て来たな。どうやって知ったの?」
「そりゃ、貴子の部屋を漁ってて、何か紗栄が犯人と分かる証拠を見つけたんだろ」
「ええ、そうなの?」

 どこの貴子が行ったのかも知らないだろう人が、どうやって犯人の証拠を見つけたというのか。
 貴子の部屋を漁ったって、貴子が死ぬ前のことしか分からないはずだ。
 貴子だって、自分が殺されると思って学校には行かなかったはずだ。

「えっと、理人とか奈美が、貴子のお母さんに教えたとか?」

 そっちの方が、貴子のお母さんが、貴子殺害を知る方法として、自然じゃない。

「それもある」

 慎也が、私の思い付きをすぐ採用する。
 いやいや、なんだよ。
 それ、どうよ。
 何の根拠もないんだけれど。

「ともかく、貴子を殺害した犯人である紗栄を殺した。警察にも頑なに貴子が生きているって言っているのは、きっと自分が犯人だからだよ」
「ええ、かなり無理矢理じゃない?」
「だけれども、何か理由がなければ、警察にまで貴子が行方不明なのを隠す理由はなくね?」
「そうだけれども……」

 確かに、理由はあると思う。
 でも、その理由が紗栄を殺したからというのは、さすがに論理の飛躍ってヤツじゃない?
 貴子のお母さんが紗栄を殺した説は、分からない所だらけで、こじ付けが酷い。

「何か理由はあるんだろうけれども、それが、紗栄を殺害したからっているのは、やっぱり何か変だよ」
「どうして?」
「どうしてって……だって、じゃあ、紗栄を殺害して、体育倉庫に吊るしたの? 貴子のお母さんが? 何のために?」
「そりゃ、自殺に見せかけるためだよ」
「ううん……そうか……」

 え、この説、アリなの?

「でも、私を睨んでいたのよ……」

 そうだ。昨日の夜、すごい目で私の部屋を睨んでた貴子のお母さんを見たの。
 紗栄が犯人だと知っていたとしたら、私を睨む理由はなくない?

「そりゃ……たぶん、最初にミライを疑っていたけれども、その後で紗栄だと気づいて……」
「待って、睨んでいたのは、紗栄が死んだ夜のことだから、それはおかしいって」

 どうして犯人の紗栄を殺した後で、私が睨まれなきゃならないのか。
 やっぱり変だ。

「うーん。共犯だと思われたとか?」
「そんなの変でしょ。貴子が、『紗栄とミライが私を殺します』と、残しているとか考えにくいし、奈美だって理人だって、私が犯人だと言うのは、おかしいでしょ」

 理人にいたっては、貴子殺害の犯人から私を除外している節があった。
 だったら、そんなの変だ。
 奈美だって、昨日の夜に電話したけれども、私を犯人だと疑っている感じはなかった。

「じゃあ……違うのかな……」

 慎也が「うーん」と唸って、考え込んでしまう。

「ともかく、分かっていることから、コツコツ考えなきゃ。無理よ」

 私は、食べ終わったサンドイッチの皿を脇に寄せて、写真入った封筒を取り出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇 ☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。 ―― 備忘録 ――    第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。  最高 57,392 pt      〃     24h/pt-1位ではじまり2位で終了。  最高 89,034 pt                    ◇ ◇ ◇ ◇ 紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる 素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。 隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が 始まる。 苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・ 消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように 大きな声で泣いた。 泣きながらも、よろけながらも、気がつけば 大地をしっかりと踏みしめていた。 そう、立ち止まってなんていられない。 ☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★ 2025.4.19☑~

25年目の真実

yuzu
ミステリー
結婚して25年。娘1人、夫婦2人の3人家族で幸せ……の筈だった。 明かされた真実に戸惑いながらも、愛を取り戻す夫婦の話。

白い結婚の行方

宵森みなと
恋愛
「この結婚は、形式だけ。三年経ったら、離縁して養子縁組みをして欲しい。」 そう告げられたのは、まだ十二歳だった。 名門マイラス侯爵家の跡取りと、書面上だけの「夫婦」になるという取り決め。 愛もなく、未来も誓わず、ただ家と家の都合で交わされた契約だが、彼女にも目的はあった。 この白い結婚の意味を誰より彼女は、知っていた。自らの運命をどう選択するのか、彼女自身に委ねられていた。 冷静で、理知的で、どこか人を寄せつけない彼女。 誰もが「大人びている」と評した少女の胸の奥には、小さな祈りが宿っていた。 結婚に興味などなかったはずの青年も、少女との出会いと別れ、後悔を経て、再び運命を掴もうと足掻く。 これは、名ばかりの「夫婦」から始まった二人の物語。 偽りの契りが、やがて確かな絆へと変わるまで。 交差する記憶、巻き戻る時間、二度目の選択――。 真実の愛とは何かを、問いかける静かなる運命の物語。 ──三年後、彼女の選択は、彼らは本当に“夫婦”になれるのだろうか?  

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

処理中です...