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理人の居所
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私のスマホに、慎也から電話が掛かってくる。
貴子のお母さんにことわって、私は電話に出る。
「おい、大丈夫か?」
「何よ。大丈夫だから電話に出ているんでしょ」
心配してくれるのは、ちょっと嬉しい。
「奈美がいるはずの塾に着いたんだが……こっちへ来られるか?」
「何? どうしたの?」
嫌な予感がする。
何がどうしたっていうのだろう。
私は、嫌な汗をかく。
「奈美がいないんだ。一緒に探してくれ」
ああ、間に合わなかったんだ。
「理人が連れ出した?」
「分からん。だが、可能性は高いと思う」
どうしよう。
奈美が死んじゃうかもしれない。
「どこへ行ったんだと思う?」
「分かるか。分からないから、探すのを手伝ってほしいって、言っているんだ!」
慎也が怒鳴る。
そんな怒鳴らなくてく良いと思うのだけれど、慎也も焦っているのだろう。
どうしよう。
田舎町と言っても、それなりに広い。
沼二の校舎は……警察の人がいるだろうし、可能性は低いよね。
塾にいない。
理人が奈美を連れていくとしたら、他にどこがあるのだろう。
理人の行動を、私は、真剣に想像してみる。
理人は、何のために動いているって言っていたのだっけ?
『中本先輩のため』……そうだ。理人は、そう言っていた。
貴子のために理人は、行動していると言っていた。
そして、たぶん、貴子を死に追いやった奈美を、紗栄と同じように殺そうとしている。
貴子の遺体のある場所は、きっと、理人が知っているんだろうな。
だって、ランタンを置いたのは、理人だもの。
観測会の夜に、慎也が救急車を呼んだと言っていたけれども、遺体はすでにそこに無かった。
たぶん……理人が遺体を別の場所へ移動した。
えっと……何か、何か引っかかっているのよ。
「ミライちゃん、どうしたの? 貴子? 貴子の居所が分かったの?」
「いえ、そういうわけでは……」
面倒だな、この忙しい時に。
「どうして? 貴子は生きているんでしょう? この街にいるのは確かなのよ!」
「え……お母さん、どうしてそう思うの?」
私は、貴子のお母さんの言葉に驚く。
どういうこと?
どうして、貴子のお母さんは、貴子がこの街で生きていると思っているのだろう。
「貴子は家を出たんですよね? だったら、遠い街に行くとか、思わないのですか?」
家出をした娘が、同じ街に住み続けていると思い込むなんて、すごく不思議だ。
もし貴子が生きていたとしたら、きっと、こんな街には留まらないだろう。
とっくの昔に電車で遠い場所に行って、お母さんとは離れるはずだ。
そう考えるのが、自然でしょ?
だって、街に留まったら、田舎のことだものすぐに見つかってしまう。
「ううん。思わないわ。だって、ほら」
貴子のお母さんの指し示したのは、貴子のスマホの位置情報だった。
スマホの画面に映し出された地図に、丸が灯っている。
この場所は知っている。
里山へ向かう道だ。
それほど高くない山の頂上に、小さな展望台がある。
夏休みに、皆で観測会をした場所だ。
あの時は、貴子は楽しみにしていたのに来れなかった。
映画の仕事の予定が変わって、急遽、欠席になったのだ。
地図の上に灯る丸は、ゆっくりと山頂へ向かう道を移動している。
「え! これ!」
「そう。貴子のスマホのある場所」
そうだった。
このお母さん、貴子にベッタリなんだった。
当然、貴子のスマホの位置情報を知るアプリも登録しているよね。
「お母さん、このスマホのある場所を探したんですか?」
「もちろんやったわよ。でも、ほら、移動しているのよ。そして、ほら……」
……消えた。
貴子のスマホは電源が切れたのだろう。
「四六時中これを見ているのだけれども、すぐ消えてしまうのよ。何かを確かめるように、電源が入って、数秒だけ付いて。そして、消えてしまうの。不思議なことに、地図で記された場所へ行って探してみても、貴子を見たって言う人は出てこないのよ。何度探しても無駄だった」
そりゃそうよ。
貴子のスマホを持っているのは、きっと理人。
だから、周囲の人に貴子がいたかどうかを聞いても、目撃者が出てくるわけがないのだ。
理人も、警戒している。
だから、あまり電源は入れないようにしているのだろう。
だが、貴子のスマホの何かを確かめるように、時々電源を入れているのだ。
そうだ。
学校にいた時に……一度だけ貴子のスマホに連絡をした。
あの時に聞こえて来た機械の音声は、『電源が入っていないため』ではなかった。
ということは、あの時も、貴子のスマホは、電源を入れられていた。
どうして気づかなかったのだろう。
「ああ、もう、自分の無能に腹が立つ!」
「ミライ? 何がどうしたのかは分からんが、今悩んでも手遅れだぞ」
慎也、後で一発殴る。でも、今は、それどころではない。
「あ……じゃあ! 慎也!」
「な、なんだよ!」
「理人のいる場所が分かった!」
一瞬だけ、何かを確かめるように灯っただけだけれども、十分だ。
「夏休みに観測会をした展望台! そこに、理人が……きっと、奈美もいる!」
私は、慎也に断言した。
貴子のお母さんにことわって、私は電話に出る。
「おい、大丈夫か?」
「何よ。大丈夫だから電話に出ているんでしょ」
心配してくれるのは、ちょっと嬉しい。
「奈美がいるはずの塾に着いたんだが……こっちへ来られるか?」
「何? どうしたの?」
嫌な予感がする。
何がどうしたっていうのだろう。
私は、嫌な汗をかく。
「奈美がいないんだ。一緒に探してくれ」
ああ、間に合わなかったんだ。
「理人が連れ出した?」
「分からん。だが、可能性は高いと思う」
どうしよう。
奈美が死んじゃうかもしれない。
「どこへ行ったんだと思う?」
「分かるか。分からないから、探すのを手伝ってほしいって、言っているんだ!」
慎也が怒鳴る。
そんな怒鳴らなくてく良いと思うのだけれど、慎也も焦っているのだろう。
どうしよう。
田舎町と言っても、それなりに広い。
沼二の校舎は……警察の人がいるだろうし、可能性は低いよね。
塾にいない。
理人が奈美を連れていくとしたら、他にどこがあるのだろう。
理人の行動を、私は、真剣に想像してみる。
理人は、何のために動いているって言っていたのだっけ?
『中本先輩のため』……そうだ。理人は、そう言っていた。
貴子のために理人は、行動していると言っていた。
そして、たぶん、貴子を死に追いやった奈美を、紗栄と同じように殺そうとしている。
貴子の遺体のある場所は、きっと、理人が知っているんだろうな。
だって、ランタンを置いたのは、理人だもの。
観測会の夜に、慎也が救急車を呼んだと言っていたけれども、遺体はすでにそこに無かった。
たぶん……理人が遺体を別の場所へ移動した。
えっと……何か、何か引っかかっているのよ。
「ミライちゃん、どうしたの? 貴子? 貴子の居所が分かったの?」
「いえ、そういうわけでは……」
面倒だな、この忙しい時に。
「どうして? 貴子は生きているんでしょう? この街にいるのは確かなのよ!」
「え……お母さん、どうしてそう思うの?」
私は、貴子のお母さんの言葉に驚く。
どういうこと?
どうして、貴子のお母さんは、貴子がこの街で生きていると思っているのだろう。
「貴子は家を出たんですよね? だったら、遠い街に行くとか、思わないのですか?」
家出をした娘が、同じ街に住み続けていると思い込むなんて、すごく不思議だ。
もし貴子が生きていたとしたら、きっと、こんな街には留まらないだろう。
とっくの昔に電車で遠い場所に行って、お母さんとは離れるはずだ。
そう考えるのが、自然でしょ?
だって、街に留まったら、田舎のことだものすぐに見つかってしまう。
「ううん。思わないわ。だって、ほら」
貴子のお母さんの指し示したのは、貴子のスマホの位置情報だった。
スマホの画面に映し出された地図に、丸が灯っている。
この場所は知っている。
里山へ向かう道だ。
それほど高くない山の頂上に、小さな展望台がある。
夏休みに、皆で観測会をした場所だ。
あの時は、貴子は楽しみにしていたのに来れなかった。
映画の仕事の予定が変わって、急遽、欠席になったのだ。
地図の上に灯る丸は、ゆっくりと山頂へ向かう道を移動している。
「え! これ!」
「そう。貴子のスマホのある場所」
そうだった。
このお母さん、貴子にベッタリなんだった。
当然、貴子のスマホの位置情報を知るアプリも登録しているよね。
「お母さん、このスマホのある場所を探したんですか?」
「もちろんやったわよ。でも、ほら、移動しているのよ。そして、ほら……」
……消えた。
貴子のスマホは電源が切れたのだろう。
「四六時中これを見ているのだけれども、すぐ消えてしまうのよ。何かを確かめるように、電源が入って、数秒だけ付いて。そして、消えてしまうの。不思議なことに、地図で記された場所へ行って探してみても、貴子を見たって言う人は出てこないのよ。何度探しても無駄だった」
そりゃそうよ。
貴子のスマホを持っているのは、きっと理人。
だから、周囲の人に貴子がいたかどうかを聞いても、目撃者が出てくるわけがないのだ。
理人も、警戒している。
だから、あまり電源は入れないようにしているのだろう。
だが、貴子のスマホの何かを確かめるように、時々電源を入れているのだ。
そうだ。
学校にいた時に……一度だけ貴子のスマホに連絡をした。
あの時に聞こえて来た機械の音声は、『電源が入っていないため』ではなかった。
ということは、あの時も、貴子のスマホは、電源を入れられていた。
どうして気づかなかったのだろう。
「ああ、もう、自分の無能に腹が立つ!」
「ミライ? 何がどうしたのかは分からんが、今悩んでも手遅れだぞ」
慎也、後で一発殴る。でも、今は、それどころではない。
「あ……じゃあ! 慎也!」
「な、なんだよ!」
「理人のいる場所が分かった!」
一瞬だけ、何かを確かめるように灯っただけだけれども、十分だ。
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