レズビアンの逆襲

一宮 沙耶

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4話 奴隷生活

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出生率低迷に憤った異星人は妊娠しない女性達へ強硬手段に打って出る。
28歳までに妊娠しない女性は下層市民として奴隷として扱うというもの。
財産は全て没収され、劣悪な環境で下層の生活を強いられる。

男性も、女性を妊娠させないか、精子を提供しないと同様に扱うとされる。
ただ、対象となる男性は全員、精子を提供するだけで対象外とされた。
調査の結果では、最近はゲイはいなくなったと公表される。

異星人の間では、同じ異星人を奴隷にする判断はあり得ない。
そんなことも知らずに、私は、女性だけの仕打ちだと憤っていた。
でも、それに抗うこともできずに、奴隷へ転落する。

強制的に精子を女性の体に入れて妊娠させる政策も検討された。
でも、強制は良くないとされ、本人に選択させることで合意に至った。
2年の経過措置が設けられ、28歳以上でも期間内の妊娠で対象外となる。

男性を好きな女性は、これをきっかけに多くが結婚し、妊娠をした。
不妊症の女性は、体外受精等を無料で受けられた。
2年の間に、8割の女性が妊娠をし、つわりを経て異星人となっていた。

私の所には、すでに子供がいる女性指導員がやってくる。

「三上さんは、どうして子供を産まないのですか? そんなことを許していたら国が滅んでしまいます。ただ、妊娠をすればいいだけなのです。子供が嫌いなら、子供は国が受け取り、国が育てます。だから、気軽に子供を産んでください。」
「私は、男性が本当に嫌なんです。精子の提供を受けたり、体外受精とかも聞いていますが、男性の物がかけらでも私の体に入るなんて考えられません。」
「でも、そんなことを言っていたら、奴隷にされてしまうんですよ。少しだけ目をつぶって、我慢しましょうよ。」
「これって、人権侵害じゃないですか。私には妊娠するなんて考えられない。」
「わがままばかり言っていたら、本当に奴隷になってしまいますよ。生きるためには、何かを犠牲にすることも必要な時があるのです。」
「嫌だと言ったら嫌なんです。」

わがままではない。
生理的に、男性の物が体の中に入るなんて考えられない。
それが私の体と気持ちなのだから、どうしようもない。

私は昔から恋愛対象は女性だった。
でも、それが異常なことと思い、男性と付き合おうと努力したこともある。
ただ、努力すればするほど男性が嫌いになっていった。

男性と3回目の食事をした後、無理やり、彼の部屋に連れ込まれる。
いきなりキスをされた時、彼は、私を殺そうとしているのではと感じた。
目は血走り、歯を剥き出しにして、私を獲物と見ているとしか思えない。

今までの笑顔は消え、目はつり上がり、口からはニヒルな笑みが溢れる。
手を見ると、血管が浮き出て、鼓動が高なっている様子。
私の肩をすごい力で押さえつけ、私は身動きができない。
まるで次の瞬間に角が生え、羽根が背中から出てきそうな気配。

私の自由はどこにもなく、もう一人の人間とは見られていない。
まるで、ドラキュラのように、私を殺そうとしているのではないかしら。
心なしか、爪もとんがり、殺人兵器にしか見えなかった。

もちろん、現実世界にドラキュラなんていないことは分っている。
彼も、気持ちが強すぎただけなのだと思う。
でも、その時は、本当に殺される恐怖を感じた。

私は嫌と言い、両手で彼を押し退ける。
そうすると、彼は、力づくで私を押し倒した。
私のブラとかは剥ぎ取られ、無理やり足を上げられる。
私は、男性の大事な所を蹴りあげ、なんとか逃げ出す。

その時、彼が異星人で、私を異星人にしようとしていたのを知らなかった。
でも、直感でそのことを感じ取っていたのかもしれない。
地球人であることを守り通そうという本能によって。

その時、もう男性との間に恋愛なんてどこにもないと心から思った。
こんな恐怖、屈辱を味わうなら、男性と一緒にいられない。
それから、男性との接点は極カ絶ってきた。

女性指導員は何回も来たものの、当然のことながら、私を説得できない。
2年が過ぎ、私は、全財産を没収され、手錠をかけられ、連行される。
そして、私にはカフェでのスタッフの仕事が割り当てられた。

​​​​カフェでお客様に配膳している私に、コーヒーが浴びせられる。

「こんなに遅いなんて、私をばかにしているの。まあ、あなたみたいな下級市民の女じゃ、言っても無理か。でも、こっちは客なんだから、しっかりしてよね。本当に失礼だわ。寛大な私で、よかったわね。普通なら、こんなもんじゃすまないし。」

出てくるのが遅いと睨みつけられる。
それ程遅かったわけじゃない。
おそらく、日頃の不満を誰かに当たりたかったのだと思う。
そのためにだけ、このカフェに来たのかもしれない。

「そもそも、この女は、子供を産む義務を怠った非国民だろう。レズとかの異常者の可能性も高いぞ。気持ちが悪い。へどが出そうだ。美晴、もう、こんな店、早く出ようぜ。」
「そうね。本当に気分が悪くなる。」

2,000円を机に叩きつけ、私に唾を吐いて出ていった。
下級市民から文句を言えないことは分かった上でのこと。
文句を言ったら捕まるか、倒れるまで殴られても手出しはできない。
下級市民が、一般市民にかすり傷でもつければ死刑だから。
 
私の肌は熱いコーヒーで赤くなる。
でも、さっきのお金は私に渡ることはない。
それどころか、汚れたユニフォームは私が手洗いしなければならない。
 
決められた時間給が払われるだけでも感謝しろと言われるに決まっている。
下層市民は、与えられた仕事を断ることはできない。
どんなに劣悪な条件でも、与えられた仕事をこなさなければならない。
そうしないと、最低限の食料も水も寝る場所も与えられない。
 
下層市民はいくら努力しても、最低限の生活から抜け出すことはできない。
下層市民は、今は全て女性で、出産を断った人。
私は、男性が私に触れるのも気持ちが悪く、出産は断った。

それだけでこんな仕打ちはひどい。
でも、政府の強制力に抗うことはできなかった。
一般市民は、従来通りの生活を続け、笑いが溢れる生活を送っている。

妊娠さえすればよかったのに、断った自分のせいだとされている。
出生率の低迷を引き起こし、国を滅ぼす非国人として下層市民にされた。

下層市民は、服を買うお金もない。
私も、私生活では、最初に与えられたジャージを2つ持っているだけ。
連行されてから、私生活でスカートなんてはいたことはない。
 
生理用品も、一度使っても手洗いをして乾かし、再利用している。
そうでもしないと生活ができない。
ただ、3回目ぐらいから吸収力が落ちてくるのは仕方がない。
 
私は、疲れ果て、深夜0時を過ぎた頃に職場を出た。
深夜に帰宅し、陽が昇る前に出社する私たちには季節なんてない。
ただ、暗闇の道を進むだけ。
将来への夢なんて、何一つ考えることもできずに。

この深夜に帰宅する15分の時間が恐怖の時間となる。
妊娠強行派は、夜道で妊娠を拒否する女性達を強姦する。
どこから調べているのか、妊娠しやすい時期を狙ってくる。
私の同僚でも、強引に妊娠させられた女性は大勢いる。

堕胎することは許されず、医師も相談にはのってくれない。
一般市民に戻れたのだからいいだろうと、誰も問題視しない。
むしろ、抵抗して一般市民にかすり傷をつけてしまう女性もいた。
それらの女性達は、直ちに死刑となり、この世を去っていく。

今夜は、私は妊娠しやすい時期だから注意が必要。
私は、お店を出る時に走り出し、自分の家に向かう。
でも、失敗してしまう。

走る先に男性2人が待ち構えていて、捕まってしまった。
いきなり、ビルの陰に連れ込まれ、ズボンを脱がされる。

「嫌、やめて。本当に嫌なの。」
「そんなにわがままばかり言っていてはだめだろう。子供を産めば、一般市民に戻れるし、今夜も気持ちが良くなるんだから、何一つ問題はないだろう。」
「男性は、気持ち悪いの。強引に私の体に触らないで。」
「本当に、分からないやつだな。抵抗するなよ。死刑になりたくないだろう。」

私は全ての衣服を脱がされ、立ったまま壁に頭を押し付けられる。
腰を上げられ、いきなり体の中に男性の大事な所が入ってくる。

「痛い。」
「男性を拒んできたからだろう。これから何度もやって慣れれば、気持ちよくなるぞ。」

前後に体が動くたびに、気持ちに反して声がでてしまう。
こんな動物のような扱いをされるなら死刑になった方がまし。
でも、抵抗する勇気はでなかった。
2人の男性が私の体に中出しをして去っていく。

「妊娠をしたら俺たちに感謝しろよ。どうして、いいことしかないのに拒否するんだよ。今夜は、本当に良かったな。」

急いでショーツを履くと、体から流れ出た白い液で汚れる。
私は、凍える深夜の中、ビルの影で震えながらジャージを着る。
この時間にお店に戻っても、閉まっていてシャワーは使えない。

もちろん、自分の部屋にはお風呂やシャワールームはない。
このまま、汚れた男性の精液を体に入れたまま一晩を過ごすしかない。
アスファルトの道に倒れこみ、ビルの隙間から星空を見上げる。

しばらくすると、体が凍え、家路に着く。
どうしてこんなひどいことができるのかと目には涙が溢れ、前が見えない。
家に着いても、体の中からウジがわくようで吐き気がする夜となった。
 
文句をいっても、誰も聞いてくれない。
警察も、下層市民のために動かないことは分っている。

幸いなことに、あの夜のことで妊娠することはなかった。
でも、心には大きな傷ができてしまい、毎晩、吐き気で目が醒める。
十分食事をとっていないので、焼けるような胃液が喉を通り、咳込む。

その時は、想像すらしていなかった。
もうすぐ私が反乱組織のメンバーになるなんて。
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