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8話 騙し合い
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反乱組織のリーダーになった私の元に、おどろくべき情報が集まってくる。
先進諸国では、私たちと同様に反乱組織が立ち上がっていた。
そして、双方の抗争はエスカレーションをし、各国内で核爆発が起きる。
アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国、いずれも生物は全滅していた。
日本は、だいぶ遅れて反乱組織が立ち上がったこと。
核が偶然にも国内になかったことからそこまでの被害は出ていない。
発展途上国の情報は私たちの元には届いていない。
私は、女性達、自分の命をかけて、この地球を守る。
政府は、私達を一斉検挙することは想像できた。
だから、反乱組織の力を使い、下級市民の女性達を逃し、隠す。
一部は、一般市民に紛れ込ませる。
全員は無理だったから、一部は、一時的に倉庫などに退避した。
政府は、その後、想像どおり一斉検挙をしたものの、ものけの空だった。
どこに行ったのかと大騒ぎになる。
ちょうど、先進国では核爆発で大部分が蒸発していたことも危機を煽る。
反乱組織のメンバーは、各主要都市で爆弾テロを始めた。
その過程で、何人かは逮捕され、死刑とされる。
ただ、反乱組織は、ゲリラ戦なので、首謀者が見つからない。
政府と異星人達は恐怖におののいていた。
私の元では、一緒に暮らしていた陽葵が副リーダーとして支援してくれる。
陽葵は私に認められようと、精一杯背伸びをし、私を支えてくれていた。
そんな時、政府は、反乱組織と和解をしたいと申し出をしてくる。
先進国のように抗争がエスカレーションすれば双方にとって不幸になると。
場所は国会議事堂の会議室と指定された。
「美羽さんは、今、重要な研究をしているところだから、この件は、私が組織の代表として和解を成功させる。これで、女性達を奴隷から開放し、みんなが幸せな暮らしができるようにするの。」
「政府、異星人のことなんて信用できない。だから、陽葵はそんな交渉に出て行ってはだめ。これからも、異星人達のリーダーを殺害し、恐怖に怯えさせるの。そのうちに、私が、異星人化しない薬、異星人を地球人に変える薬を開発して、異星人に怯えることがない世界を実現するから。」
「それはお願いします。でも、それにはまだ時間がかかるでしょう。このままでは、異星人が言うとおり、先進国のように、争いがエスカレーションして、双方にとって不幸になる。私は、それを防ぎたいの。」
「でも、国会議事堂に行くことはとても危険。私は、陽葵にそんなことをお願いできない。」
「大丈夫。さすがに、みんなが見ている目の前で、私たちを殺すはずがない。そんなことをしたら、自分たちが、相手を騙して殺したと仲間から糾弾されるはず。」
「そんなことは承知のうえで、反乱組織の中心人物を誘き出そうとしているのよ。」
「美羽さん。私も、美羽さんみたいに、女性達を助けたいの。そのためにも、今回の和解にかけている。」
「大丈夫かしら。」
「大丈夫だって。任せて。これで、美羽さんに少しでも近づけると思っているわ。絶対に成功させるから、安心して待っていて。」
陽葵が私を愛していることで、大局観を見誤っていないことを祈る。
不安な気持ちとは裏腹に、陽葵の目は期待に満ち溢れていた。
自らが成し遂げる偉大な成功の一歩に向けて。
陽葵は、女性のボディーガードを2名連れて車に乗り込んだ。
陽葵は、任せてと笑顔で出立する。
陽葵を乗せた車は、コンクリートだけの殺風景なビル街を通り過ぎる。
車の窓からは国会議事堂が見えてくる。
威厳のある異星人に支配された政治の象徴。
ゲートで、入館手続きをしている時だった。
陽葵を乗せた車にミサイル弾が飛ぶ。
いきなり、車は火に包まれ、逃げる時間はなかった。
その情報は、それから半日後に私の元に届く。
これは明らかに異星人が和解なんて考えていない証拠。
やはり、和解ができるなんて甘い期待を抱いてはいけなかった。
交渉に臨んだ陽葵を亡き者にしてしまった。
徹底的に異星人は叩き潰さなければならない。
私は、拳を振り上げ、机に叩きつける。
周りから見たら、顔は醜く歪み、口を強く噛み締めていたに違いない。
反乱組織メンバーに政府要職にいる人達の殺人指示を出す。
それを受け、政府要職にいる人達が爆死するという事件が相次ぐ。
最初は防衛大臣だった。
防衛省に潜り込んでいる反乱組織のメンバーが大臣の前に整列している。
防衛大臣が、職員に訓示をし始めた。
先頭にいたメンバーが、総理に手りゅう弾を投げつける。
いや、投げつけようとした時に、周りに止められてしまう。
一般市民は警戒していて、こんなに早く止められたのだと思う。
でも、諦めるわけにはいかない。
他のメンバーが、手りゅう弾を手に握りしめ、大臣のもとに走り寄る。
大臣は逃げようとしているけど、あとわずか。
メンバーは左手で総理を掴み、手りゅう弾の安全ピンを抜いた。
メンバーは空を見上げる。雲一つない青空がどこまでも続いている。
大きなことを成し遂げられたと大声で叫んでいた。
その直後、光と爆風に包まれる。
大臣もメンバーも、跡形もなく粉々に飛び散った。
1週間の間に、8人もの大臣がなくなり、政府では衝撃が走っていた。
私は陽葵を失って、もう心を抑えられなくなっていた。
一方で、反乱組織に入り、異星人の存在も知った。
男性が嫌いだったのは、知らずに異星人と直感で思ったからかもしれない。
この地球を私たちのものに取り戻さなければならない。
反乱組織の研究者に、人間が異星人化しない研究をさせていた。
「美羽、妊娠した段階で、この薬を打つと、つわりはなくなり、異星人化しないことが検証された。やっと、この薬を使うことで、地球人を守ることができる。」
「ありがとう、澪。ただ、もう一歩、前に進みましょう。女性だけでは、いずれ、子供ができずに地球人は滅んでしまう。だから、異星人になった男性を、地球人にすることが必要なの。」
「でも、異星人を地球人にするのはハードルが高すぎます。」
「調べたところによると、この地球に不時着した異星人は、遺伝子を組み替え、地球人化してこの地球で種を広げて行ったらしいじゃないの。彼らができるなら、私達でもできるはず。なんでも諦めないのが重要なの。」
「分かりました。研究を進めます。」
その後、産まれたばかりの男性にある薬を打つ方法が発見される。
その薬で、地球人として育っていくことが分かった。
更に、異星人に遺伝子操作をした大豆を食べさせ続ける研究をした。
そうすると、男女に関わらず地球人化することも分かった。
「澪、すごいわ。天才ね。では、これらの研究を受けて、この薬をウィルスとして空気中に浮遊させ、空気感染をさせていきましょう。そうすれば、異星人はいなくなっていくはず。」
「それはいいアイディアです。美羽さんは、いつも発想がすごいです。」
「そんなことはない。優秀な澪がいるから、前に進めるだけ。」
澪が開発した空気感染するウィルスは日本中に散布される。
そして、記憶を無くした人々が市中に溢れる。
そんな人達を私たちは丁寧に教育をしていった。
見上げると、高層ビルの窓から暖かい生活の光が煌々と光る。
奴隷として仕事をする光ではなく、幸せに溢れた光が目の前に広がる。
私は、絢香と暖かい時間をテラスで過ごしている。
テーブルで食事を囲み、笑いながら、何の苦労もなく過ごしている。
最近は一緒にいる時間が多いけど、付き合っているかは微妙な関係。
絢香はレズビアンなのは分かっているけど、性格はさっぱりしている。
何よりも自立していて、他人に頼らずに前に進める強い心を持っている。
もしかしたら一人の時間の方が好きかもしれない。
ただ、お互いに二人でいる時間は心地よい。
ただ一緒にいるだけで、自分は認められているんだと安心できる。
柚月のことはまだ忘れられないから、こんな関係の方がいい。
そう、柚月、陽葵には申し訳ない。
あんなに私のことを愛してくれていたのに。
彼女達の死に私は何も手を打てなかった。
そして、今は絢香と穏やかな生活を過ごしている。許して欲しい。
私も、女性に誰かに心を支えてもらいたい、心が弱い女性なの。
一人でいられる程、心が強いわけじゃない。
私は絢香には過去のことは隠している。
絢香も、私に何かを隠している感じがする。
もう、この年で、過去に何もないと言うこと自体があり得ない。
でも、私は、その都度、ベストな時間を過ごしてきたという自負はある。
絢香も同じだという気がする。自分に自信を持っている。
だから私たちは、大人の付き合いができている。
お互いに自立し、相手に依存はせずに自由な気持ちで前に進む。
そして、お互いに心のゆとりを持って、相手も尊重していける。
お互いに尊敬し、自分にも自信をもって一緒にいられる。
私の将来も、目の前の光に導かれ、期待している姿に向かっている。
そう。これから、私には明るい将来が待っている。
世の中を変える組織のリーダーであることが誇らしかった。
もうすぐ梅雨の季節。この時期が1年の中で一番好き。
熱くも寒くもなく、軽装ですむし、湿度もちょうどよくて爽やか。
その時だった。
突然、男性が私の前に現れ、復讐だと言ってライフル銃で私と絢香を撃ち抜く。
この男性は異星人に違いない。まだ残っていたんだ。
ワクチンの効果は絶対だと過信していた。
わずかに残った異星人が反撃を開始したのだと思う。
私は、いろいろな苦悩を重ね、大切な人をいっぱい失ってきた。
ただ、柚月、陽葵、絢香と幸せな時間もたくさんあった。
コンクリートの上で寝ていた柚月の笑顔が懐かしい。
短い時間だったからこそ、一瞬一瞬が輝いていた。
みんなが、必死にお互いを愛し、支え合っていた。
誰もが強い絆で結ばれていた。
目の前の光が失われていく。
もう、私はここで終わり。
最後まで女性達、地球を守れなくてごめん。
雨が降り始めた。
私の血が地面に広がっていくのが見える。
真っ赤な血も雨に薄められる。
もう、私には世の中を変える力は残っていない。
私は下流市民となってから、地べたを這うような生活を送ってきた。
長らく、人として認められたこともない。
でも、女性達との時間で幸せを知った。
それだけでも私の人生は充実していたのかもしれない。
目の前が暗くなっていく。
寒い。真っ暗で凍り付いた世界へ。
地面に吸い込まれていく。限りない奥底に。
横を見ると、絢香は頭を撃ち抜かれ、即死だったのだと思う。
でも、口元には笑みが溢れる。私と同じ気持ちだったのだと思う。
私ができるのはここまで。
誰か、私の想いを引き継いで欲しい。
さようなら、私が愛した人達。
先進諸国では、私たちと同様に反乱組織が立ち上がっていた。
そして、双方の抗争はエスカレーションをし、各国内で核爆発が起きる。
アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国、いずれも生物は全滅していた。
日本は、だいぶ遅れて反乱組織が立ち上がったこと。
核が偶然にも国内になかったことからそこまでの被害は出ていない。
発展途上国の情報は私たちの元には届いていない。
私は、女性達、自分の命をかけて、この地球を守る。
政府は、私達を一斉検挙することは想像できた。
だから、反乱組織の力を使い、下級市民の女性達を逃し、隠す。
一部は、一般市民に紛れ込ませる。
全員は無理だったから、一部は、一時的に倉庫などに退避した。
政府は、その後、想像どおり一斉検挙をしたものの、ものけの空だった。
どこに行ったのかと大騒ぎになる。
ちょうど、先進国では核爆発で大部分が蒸発していたことも危機を煽る。
反乱組織のメンバーは、各主要都市で爆弾テロを始めた。
その過程で、何人かは逮捕され、死刑とされる。
ただ、反乱組織は、ゲリラ戦なので、首謀者が見つからない。
政府と異星人達は恐怖におののいていた。
私の元では、一緒に暮らしていた陽葵が副リーダーとして支援してくれる。
陽葵は私に認められようと、精一杯背伸びをし、私を支えてくれていた。
そんな時、政府は、反乱組織と和解をしたいと申し出をしてくる。
先進国のように抗争がエスカレーションすれば双方にとって不幸になると。
場所は国会議事堂の会議室と指定された。
「美羽さんは、今、重要な研究をしているところだから、この件は、私が組織の代表として和解を成功させる。これで、女性達を奴隷から開放し、みんなが幸せな暮らしができるようにするの。」
「政府、異星人のことなんて信用できない。だから、陽葵はそんな交渉に出て行ってはだめ。これからも、異星人達のリーダーを殺害し、恐怖に怯えさせるの。そのうちに、私が、異星人化しない薬、異星人を地球人に変える薬を開発して、異星人に怯えることがない世界を実現するから。」
「それはお願いします。でも、それにはまだ時間がかかるでしょう。このままでは、異星人が言うとおり、先進国のように、争いがエスカレーションして、双方にとって不幸になる。私は、それを防ぎたいの。」
「でも、国会議事堂に行くことはとても危険。私は、陽葵にそんなことをお願いできない。」
「大丈夫。さすがに、みんなが見ている目の前で、私たちを殺すはずがない。そんなことをしたら、自分たちが、相手を騙して殺したと仲間から糾弾されるはず。」
「そんなことは承知のうえで、反乱組織の中心人物を誘き出そうとしているのよ。」
「美羽さん。私も、美羽さんみたいに、女性達を助けたいの。そのためにも、今回の和解にかけている。」
「大丈夫かしら。」
「大丈夫だって。任せて。これで、美羽さんに少しでも近づけると思っているわ。絶対に成功させるから、安心して待っていて。」
陽葵が私を愛していることで、大局観を見誤っていないことを祈る。
不安な気持ちとは裏腹に、陽葵の目は期待に満ち溢れていた。
自らが成し遂げる偉大な成功の一歩に向けて。
陽葵は、女性のボディーガードを2名連れて車に乗り込んだ。
陽葵は、任せてと笑顔で出立する。
陽葵を乗せた車は、コンクリートだけの殺風景なビル街を通り過ぎる。
車の窓からは国会議事堂が見えてくる。
威厳のある異星人に支配された政治の象徴。
ゲートで、入館手続きをしている時だった。
陽葵を乗せた車にミサイル弾が飛ぶ。
いきなり、車は火に包まれ、逃げる時間はなかった。
その情報は、それから半日後に私の元に届く。
これは明らかに異星人が和解なんて考えていない証拠。
やはり、和解ができるなんて甘い期待を抱いてはいけなかった。
交渉に臨んだ陽葵を亡き者にしてしまった。
徹底的に異星人は叩き潰さなければならない。
私は、拳を振り上げ、机に叩きつける。
周りから見たら、顔は醜く歪み、口を強く噛み締めていたに違いない。
反乱組織メンバーに政府要職にいる人達の殺人指示を出す。
それを受け、政府要職にいる人達が爆死するという事件が相次ぐ。
最初は防衛大臣だった。
防衛省に潜り込んでいる反乱組織のメンバーが大臣の前に整列している。
防衛大臣が、職員に訓示をし始めた。
先頭にいたメンバーが、総理に手りゅう弾を投げつける。
いや、投げつけようとした時に、周りに止められてしまう。
一般市民は警戒していて、こんなに早く止められたのだと思う。
でも、諦めるわけにはいかない。
他のメンバーが、手りゅう弾を手に握りしめ、大臣のもとに走り寄る。
大臣は逃げようとしているけど、あとわずか。
メンバーは左手で総理を掴み、手りゅう弾の安全ピンを抜いた。
メンバーは空を見上げる。雲一つない青空がどこまでも続いている。
大きなことを成し遂げられたと大声で叫んでいた。
その直後、光と爆風に包まれる。
大臣もメンバーも、跡形もなく粉々に飛び散った。
1週間の間に、8人もの大臣がなくなり、政府では衝撃が走っていた。
私は陽葵を失って、もう心を抑えられなくなっていた。
一方で、反乱組織に入り、異星人の存在も知った。
男性が嫌いだったのは、知らずに異星人と直感で思ったからかもしれない。
この地球を私たちのものに取り戻さなければならない。
反乱組織の研究者に、人間が異星人化しない研究をさせていた。
「美羽、妊娠した段階で、この薬を打つと、つわりはなくなり、異星人化しないことが検証された。やっと、この薬を使うことで、地球人を守ることができる。」
「ありがとう、澪。ただ、もう一歩、前に進みましょう。女性だけでは、いずれ、子供ができずに地球人は滅んでしまう。だから、異星人になった男性を、地球人にすることが必要なの。」
「でも、異星人を地球人にするのはハードルが高すぎます。」
「調べたところによると、この地球に不時着した異星人は、遺伝子を組み替え、地球人化してこの地球で種を広げて行ったらしいじゃないの。彼らができるなら、私達でもできるはず。なんでも諦めないのが重要なの。」
「分かりました。研究を進めます。」
その後、産まれたばかりの男性にある薬を打つ方法が発見される。
その薬で、地球人として育っていくことが分かった。
更に、異星人に遺伝子操作をした大豆を食べさせ続ける研究をした。
そうすると、男女に関わらず地球人化することも分かった。
「澪、すごいわ。天才ね。では、これらの研究を受けて、この薬をウィルスとして空気中に浮遊させ、空気感染をさせていきましょう。そうすれば、異星人はいなくなっていくはず。」
「それはいいアイディアです。美羽さんは、いつも発想がすごいです。」
「そんなことはない。優秀な澪がいるから、前に進めるだけ。」
澪が開発した空気感染するウィルスは日本中に散布される。
そして、記憶を無くした人々が市中に溢れる。
そんな人達を私たちは丁寧に教育をしていった。
見上げると、高層ビルの窓から暖かい生活の光が煌々と光る。
奴隷として仕事をする光ではなく、幸せに溢れた光が目の前に広がる。
私は、絢香と暖かい時間をテラスで過ごしている。
テーブルで食事を囲み、笑いながら、何の苦労もなく過ごしている。
最近は一緒にいる時間が多いけど、付き合っているかは微妙な関係。
絢香はレズビアンなのは分かっているけど、性格はさっぱりしている。
何よりも自立していて、他人に頼らずに前に進める強い心を持っている。
もしかしたら一人の時間の方が好きかもしれない。
ただ、お互いに二人でいる時間は心地よい。
ただ一緒にいるだけで、自分は認められているんだと安心できる。
柚月のことはまだ忘れられないから、こんな関係の方がいい。
そう、柚月、陽葵には申し訳ない。
あんなに私のことを愛してくれていたのに。
彼女達の死に私は何も手を打てなかった。
そして、今は絢香と穏やかな生活を過ごしている。許して欲しい。
私も、女性に誰かに心を支えてもらいたい、心が弱い女性なの。
一人でいられる程、心が強いわけじゃない。
私は絢香には過去のことは隠している。
絢香も、私に何かを隠している感じがする。
もう、この年で、過去に何もないと言うこと自体があり得ない。
でも、私は、その都度、ベストな時間を過ごしてきたという自負はある。
絢香も同じだという気がする。自分に自信を持っている。
だから私たちは、大人の付き合いができている。
お互いに自立し、相手に依存はせずに自由な気持ちで前に進む。
そして、お互いに心のゆとりを持って、相手も尊重していける。
お互いに尊敬し、自分にも自信をもって一緒にいられる。
私の将来も、目の前の光に導かれ、期待している姿に向かっている。
そう。これから、私には明るい将来が待っている。
世の中を変える組織のリーダーであることが誇らしかった。
もうすぐ梅雨の季節。この時期が1年の中で一番好き。
熱くも寒くもなく、軽装ですむし、湿度もちょうどよくて爽やか。
その時だった。
突然、男性が私の前に現れ、復讐だと言ってライフル銃で私と絢香を撃ち抜く。
この男性は異星人に違いない。まだ残っていたんだ。
ワクチンの効果は絶対だと過信していた。
わずかに残った異星人が反撃を開始したのだと思う。
私は、いろいろな苦悩を重ね、大切な人をいっぱい失ってきた。
ただ、柚月、陽葵、絢香と幸せな時間もたくさんあった。
コンクリートの上で寝ていた柚月の笑顔が懐かしい。
短い時間だったからこそ、一瞬一瞬が輝いていた。
みんなが、必死にお互いを愛し、支え合っていた。
誰もが強い絆で結ばれていた。
目の前の光が失われていく。
もう、私はここで終わり。
最後まで女性達、地球を守れなくてごめん。
雨が降り始めた。
私の血が地面に広がっていくのが見える。
真っ赤な血も雨に薄められる。
もう、私には世の中を変える力は残っていない。
私は下流市民となってから、地べたを這うような生活を送ってきた。
長らく、人として認められたこともない。
でも、女性達との時間で幸せを知った。
それだけでも私の人生は充実していたのかもしれない。
目の前が暗くなっていく。
寒い。真っ暗で凍り付いた世界へ。
地面に吸い込まれていく。限りない奥底に。
横を見ると、絢香は頭を撃ち抜かれ、即死だったのだと思う。
でも、口元には笑みが溢れる。私と同じ気持ちだったのだと思う。
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