12 / 13
11話 それでも君を愛する
しおりを挟む
「意味がわからないんだけど。乃愛は乃愛だろう。」
私は、ガーナでの事件のことを話した。
そして、脳死状態の乃愛に脳移植をしたことを。
そして、乃愛として暮らしてきたことを。
「ごめん。突然すぎて混乱していて。今日は帰る。」
そうよね。もと男性となんて気持ち悪いでしょう。
乃愛への愛情を奪う権利なんて私にはない。
それから1週間、隆一からの連絡は途絶えたの。
私の心は寂しさに押しつぶされそうだった。
これまで毎日、メッセージが来ていたから。
朝起きると、私の部屋の窓から真っ白な風景が広がっていた。
雪が降ったのね。
どおりで、体の底から冷えると思ったわ。
私が住む4階からは、屋根が真っ白な家々が広がっている。
純白な街はとてもきれい。
でも、お昼には、多くの人に踏まれ、泥だらけになるのね。
今の私みたい。
私は、乃愛の体を借りて、勝手に可愛い女性になっていると勘違いしていた。
可愛いのは乃愛。私じゃない。
私は、男性でもなく、女性でもなく、醜い生き物。
そんな私は愛される価値なんてないのよ。
隆一だって、気づいたはず。
自分の愛した女性ではないということを。
こんな私が純白であるはずがないもの。
隆一と別れて、よかったんだと思う。
こんな私が幸せになれるはずがないもの。
ベットから出ると、タンクトップだけの私は寒さに震える。
気持ちを保つために、もう少し温かい鎧が必要ね。
正論はわかっているけど、それだけでは寂しい気持ちで押しつぶされそう。
もう恋なんてできる立場じゃないわね。
こんな醜い私だもの。
その時、ドアのベルが鳴った。
「隆一じゃない。どうしたの?」
「あれから、いっぱい考えたんだ。僕は、たしかに、乃愛の外見が好きだった。でも、それだけじゃない。輝光ゼミナールの頃は、乃愛と話したことがなかったけど、再会した乃愛は本当に心が美しかった。純白だった。そんな乃愛に僕は心を奪われたんだ。脳移植をする前の乃愛じゃなくて。」
私は、ただただ、隆一の目を見つめるしかなかった。
「乃愛、君は、僕が落ち込んでいたときに、ずっと横で励ましてくれたね。また、迷子の子供をずっと世話して、母親を見つけるためにいっぱいの時間を割いていた。老人がころんだときに、助け、病院にまで一緒に付き添っていた。清らかな心を僕は愛していたんだ。たしかに、乃愛の外見がきっかけだったことは認める。でも、それだけじゃない。」
隆一は笑顔で私をただただ包みこんでいた。
「男性だったって、そんなことは関係ない。君は、女性の体の中で、すっかり女性として暮らしてるじゃないか。いや、どんな女性よりも女性らしい。むしろ、脳死だった乃愛の体を、これまで大切にしてくれてありがとう。君がいなければ、乃愛はもう死んでいたんだから。本当のことを言うのは辛かっただろう。でも、僕は、打ち明けてくれて感謝している。これから、ずっと、君のことを大事にするから、僕と、また一緒に暮らそう。うんと言ってくれ。」
晴れた陽の光が私達を照らす。
純白の雪の街は私達に拍手を送ってるよう。
私も幸せになれる。
私の頬に雫が落ちていく。
隆一が私を抱きしめてくれた。
温かい。幸せな気持ちってこんなに温かいんだ。
私も、隆一の背中に手を添える。
ずっと一緒にいたいと言いながら。
私は、ガーナでの事件のことを話した。
そして、脳死状態の乃愛に脳移植をしたことを。
そして、乃愛として暮らしてきたことを。
「ごめん。突然すぎて混乱していて。今日は帰る。」
そうよね。もと男性となんて気持ち悪いでしょう。
乃愛への愛情を奪う権利なんて私にはない。
それから1週間、隆一からの連絡は途絶えたの。
私の心は寂しさに押しつぶされそうだった。
これまで毎日、メッセージが来ていたから。
朝起きると、私の部屋の窓から真っ白な風景が広がっていた。
雪が降ったのね。
どおりで、体の底から冷えると思ったわ。
私が住む4階からは、屋根が真っ白な家々が広がっている。
純白な街はとてもきれい。
でも、お昼には、多くの人に踏まれ、泥だらけになるのね。
今の私みたい。
私は、乃愛の体を借りて、勝手に可愛い女性になっていると勘違いしていた。
可愛いのは乃愛。私じゃない。
私は、男性でもなく、女性でもなく、醜い生き物。
そんな私は愛される価値なんてないのよ。
隆一だって、気づいたはず。
自分の愛した女性ではないということを。
こんな私が純白であるはずがないもの。
隆一と別れて、よかったんだと思う。
こんな私が幸せになれるはずがないもの。
ベットから出ると、タンクトップだけの私は寒さに震える。
気持ちを保つために、もう少し温かい鎧が必要ね。
正論はわかっているけど、それだけでは寂しい気持ちで押しつぶされそう。
もう恋なんてできる立場じゃないわね。
こんな醜い私だもの。
その時、ドアのベルが鳴った。
「隆一じゃない。どうしたの?」
「あれから、いっぱい考えたんだ。僕は、たしかに、乃愛の外見が好きだった。でも、それだけじゃない。輝光ゼミナールの頃は、乃愛と話したことがなかったけど、再会した乃愛は本当に心が美しかった。純白だった。そんな乃愛に僕は心を奪われたんだ。脳移植をする前の乃愛じゃなくて。」
私は、ただただ、隆一の目を見つめるしかなかった。
「乃愛、君は、僕が落ち込んでいたときに、ずっと横で励ましてくれたね。また、迷子の子供をずっと世話して、母親を見つけるためにいっぱいの時間を割いていた。老人がころんだときに、助け、病院にまで一緒に付き添っていた。清らかな心を僕は愛していたんだ。たしかに、乃愛の外見がきっかけだったことは認める。でも、それだけじゃない。」
隆一は笑顔で私をただただ包みこんでいた。
「男性だったって、そんなことは関係ない。君は、女性の体の中で、すっかり女性として暮らしてるじゃないか。いや、どんな女性よりも女性らしい。むしろ、脳死だった乃愛の体を、これまで大切にしてくれてありがとう。君がいなければ、乃愛はもう死んでいたんだから。本当のことを言うのは辛かっただろう。でも、僕は、打ち明けてくれて感謝している。これから、ずっと、君のことを大事にするから、僕と、また一緒に暮らそう。うんと言ってくれ。」
晴れた陽の光が私達を照らす。
純白の雪の街は私達に拍手を送ってるよう。
私も幸せになれる。
私の頬に雫が落ちていく。
隆一が私を抱きしめてくれた。
温かい。幸せな気持ちってこんなに温かいんだ。
私も、隆一の背中に手を添える。
ずっと一緒にいたいと言いながら。
3
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる