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3話 もどる
3話 恋人
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私は、外苑前の銀杏並木を、最近、付き合い始めた淳一と腕を組んで一緒に歩いていた。この銀杏並木は大好き。一面が黄色い世界となり、圧倒される。
周りをみると、恋人たちが大勢、黄色い銀杏の葉を見上げている。だけど、ここは、大勢の人がいるのに、なぜか、恋人と2人しかいないと感じられる不思議さがあるわ。
そして、寒い風が吹く中、温まろうと男性に寄り添うなんてことも自然にできる、この季節も好き。彼と手を握り、彼のポケットに手をいれるなんてこともできる。
そんなことをしてると、彼の優しさを感じられるわよね。私を包みこんでくれる男性と一緒の時間を過ごす時は、安心感を感じられる。
「ねえ、淳一、一面、黄色になったこの道、大好き。今日は、夕日も綺麗で、なんか感動的よね。」
「綺麗だね。」
「淳一と一緒だから、一人の時よりももっと綺麗に見えるんだよ。わかってる?」
「嬉しいな。僕一人じゃ、こういう所には来ないから、結心と一緒にいろいろな所に行けて楽しいよ。」
「これから、一緒にいろいろな所に行こうよ。ちょっと足伸ばして、箱根の紅葉とか、札幌の雪まつりとかさ、淳一と一緒に行きたいところ、いっぱいある。楽しみ。」
そう言って、私は、淳一の腕に頬を寄せた。
「今日は、赤坂のイタリアン予約しといたよ。そこって、雰囲気もいいし、ワインの種類もたくさんあるんだよ。楽しみ。」
「いつも、ありがとう。結心の選ぶお店はいつも間違いがない。」
「任せておいて。でも、淳一はいかにもアメフトやっているという体型だよね。筋肉とかすごいし。かっこいい。」
「学生の時は、そればっかりやっていたからね。脳みそも筋肉とか馬鹿にされていたけど。」
「そんなことないよ。日本トップの商社に入れたじゃない。淳一は、いっぱい素敵なところがあって、大好き。」
私は、大勢の人が歩く銀杏並木の真ん中で、淳一の唇に自分の唇を重ねた。淳一も、私を包み込みこんでくれて、誰が見ても2人だけしか見えていない恋人だったと思う。
赤坂のレストランに向かって路地を歩いていると、占い師から声を掛けられた。
「お前さん、受難の相が出てるよ。見てやるから、おいで。」
「いえ、ごめんなさい。私は、占いを信じていないから遠慮しておくわ。」
「占いを信じていないって。罰当たりだね。」
嫌な感じのおばあさんね。きっと、お金をせびろうとしてるんだわ。占い師なんて詐欺師と同じ。かかわらない方がいい。
レストランにつき、淳一と楽しく食事をしていたら、そんな占い師のことは忘れていた。
淳一は、アメフトをやっていたということもあり、悪く言うと単純だけど、騙したり、裏切ったりはできない、真っ直ぐな人。
いつも私を最優先にしてくれて、守ってくれる。おおらかというか、女性のように邪念がない。そこが淳一の素敵なところ。
今夜も、私のことを笑顔で見つめていて、多分、私をどう幸せにできるかなんてことを、ずっと考えているに違いない。私にぞっこんだもの。
レストランを出た後、私達は、渋谷のホテル街にタクシーで行き、朝まで一緒に過ごした。包みこまれる、幸せなひとときだった。
でも、その翌日から、私に変な出来事が起き始めたの。
会社からの帰り道で、交差点を渡ろうと信号を待っていると、私は、後ろから押されて車道に飛びだしてしまった。幸いにも、走ってきた車が避けたので、大事には至らなかったけど、最近、襲われた2件のことを思い出し、恐怖を感じた。
振り返ってみると、人はたくさんいたけど、知っている顔はなかった。どうして、こんな事件に巻き込まれるんだろう。何人も、霊から襲われるのを助けているし、私自身は、そんなに悪いことをしているわけじゃない。
でも、今日のことを反省して、交差点とか電車のホームとかでは、先頭に立たないように注意することにした。それでも、その後も、このような事件が度々起こった。
例えば、地下にあるレストランに行こうと階段を降りていった時に、滑って落ちそうになった。押されたわけじゃなく、階段に食べ残した柿のようなものが落ちていて、それで滑ったみたい。
また、隅田川の脇を歩いていたら野球のボールが飛んできて、もし当たったら怪我をするだけじゃなく、高い塀から隅田川に落ちていたと思う。
いずれも、些細なことなんだけど、悪くすると大怪我をしそうなものばかりだった。
ある日、会社のオフィスビルでエスカレーターで降りようとした時、いきなり、後ろから押された。突然のことだったので、押した人の顔は見えずに、上から下まで転げ落ちてしまった。
意識はあったけど、怪我もかなりひどかったので病院に搬送された。ベットで寝ていると、見たことがある刑事がやってきた。
「また、あなたなんですか。今度は誰に恨まれたんですか。いい加減にしてくださいよ。」
「私は被害者なんですよ。そんな言い方ひどいじゃないですか。」
「で、心当たりはあるんですか?」
「いえ、全くないです。」
「そんなんだから、みんなから恨まれるんですよ。少しは、相手に悪いことしたなとか反省した方がいいですよ。」
「警察は、弱い人を助けるんですよね。」
「こちらも忙しいんですから、仕事を増やさないでください。」
ひどい刑事だと思ったけど、警察は、職場から事情聴取を始めた。思ったより、悪口は多くなかったと感じたようだったけど、2人の女性が容疑者として浮かび上がったと聞いた。
周りをみると、恋人たちが大勢、黄色い銀杏の葉を見上げている。だけど、ここは、大勢の人がいるのに、なぜか、恋人と2人しかいないと感じられる不思議さがあるわ。
そして、寒い風が吹く中、温まろうと男性に寄り添うなんてことも自然にできる、この季節も好き。彼と手を握り、彼のポケットに手をいれるなんてこともできる。
そんなことをしてると、彼の優しさを感じられるわよね。私を包みこんでくれる男性と一緒の時間を過ごす時は、安心感を感じられる。
「ねえ、淳一、一面、黄色になったこの道、大好き。今日は、夕日も綺麗で、なんか感動的よね。」
「綺麗だね。」
「淳一と一緒だから、一人の時よりももっと綺麗に見えるんだよ。わかってる?」
「嬉しいな。僕一人じゃ、こういう所には来ないから、結心と一緒にいろいろな所に行けて楽しいよ。」
「これから、一緒にいろいろな所に行こうよ。ちょっと足伸ばして、箱根の紅葉とか、札幌の雪まつりとかさ、淳一と一緒に行きたいところ、いっぱいある。楽しみ。」
そう言って、私は、淳一の腕に頬を寄せた。
「今日は、赤坂のイタリアン予約しといたよ。そこって、雰囲気もいいし、ワインの種類もたくさんあるんだよ。楽しみ。」
「いつも、ありがとう。結心の選ぶお店はいつも間違いがない。」
「任せておいて。でも、淳一はいかにもアメフトやっているという体型だよね。筋肉とかすごいし。かっこいい。」
「学生の時は、そればっかりやっていたからね。脳みそも筋肉とか馬鹿にされていたけど。」
「そんなことないよ。日本トップの商社に入れたじゃない。淳一は、いっぱい素敵なところがあって、大好き。」
私は、大勢の人が歩く銀杏並木の真ん中で、淳一の唇に自分の唇を重ねた。淳一も、私を包み込みこんでくれて、誰が見ても2人だけしか見えていない恋人だったと思う。
赤坂のレストランに向かって路地を歩いていると、占い師から声を掛けられた。
「お前さん、受難の相が出てるよ。見てやるから、おいで。」
「いえ、ごめんなさい。私は、占いを信じていないから遠慮しておくわ。」
「占いを信じていないって。罰当たりだね。」
嫌な感じのおばあさんね。きっと、お金をせびろうとしてるんだわ。占い師なんて詐欺師と同じ。かかわらない方がいい。
レストランにつき、淳一と楽しく食事をしていたら、そんな占い師のことは忘れていた。
淳一は、アメフトをやっていたということもあり、悪く言うと単純だけど、騙したり、裏切ったりはできない、真っ直ぐな人。
いつも私を最優先にしてくれて、守ってくれる。おおらかというか、女性のように邪念がない。そこが淳一の素敵なところ。
今夜も、私のことを笑顔で見つめていて、多分、私をどう幸せにできるかなんてことを、ずっと考えているに違いない。私にぞっこんだもの。
レストランを出た後、私達は、渋谷のホテル街にタクシーで行き、朝まで一緒に過ごした。包みこまれる、幸せなひとときだった。
でも、その翌日から、私に変な出来事が起き始めたの。
会社からの帰り道で、交差点を渡ろうと信号を待っていると、私は、後ろから押されて車道に飛びだしてしまった。幸いにも、走ってきた車が避けたので、大事には至らなかったけど、最近、襲われた2件のことを思い出し、恐怖を感じた。
振り返ってみると、人はたくさんいたけど、知っている顔はなかった。どうして、こんな事件に巻き込まれるんだろう。何人も、霊から襲われるのを助けているし、私自身は、そんなに悪いことをしているわけじゃない。
でも、今日のことを反省して、交差点とか電車のホームとかでは、先頭に立たないように注意することにした。それでも、その後も、このような事件が度々起こった。
例えば、地下にあるレストランに行こうと階段を降りていった時に、滑って落ちそうになった。押されたわけじゃなく、階段に食べ残した柿のようなものが落ちていて、それで滑ったみたい。
また、隅田川の脇を歩いていたら野球のボールが飛んできて、もし当たったら怪我をするだけじゃなく、高い塀から隅田川に落ちていたと思う。
いずれも、些細なことなんだけど、悪くすると大怪我をしそうなものばかりだった。
ある日、会社のオフィスビルでエスカレーターで降りようとした時、いきなり、後ろから押された。突然のことだったので、押した人の顔は見えずに、上から下まで転げ落ちてしまった。
意識はあったけど、怪我もかなりひどかったので病院に搬送された。ベットで寝ていると、見たことがある刑事がやってきた。
「また、あなたなんですか。今度は誰に恨まれたんですか。いい加減にしてくださいよ。」
「私は被害者なんですよ。そんな言い方ひどいじゃないですか。」
「で、心当たりはあるんですか?」
「いえ、全くないです。」
「そんなんだから、みんなから恨まれるんですよ。少しは、相手に悪いことしたなとか反省した方がいいですよ。」
「警察は、弱い人を助けるんですよね。」
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