10 / 29
第10話
しおりを挟む10 イサフェラの民
装飾品店の大きなガラス窓に自分の姿を見つけた。
コレが俺?
先ず一言で言おう。
いや、言わせてくれ。
見るだけで、チンコがおっ立ちそうだ。
※実際は付いて無い
絶世の美女という表現が当てはまる。
日本人離れした妖精みたいな顔立ち。
まつ毛は長く、クッキリとした二重。
その奥で輝く澄ました鳶色の瞳。
鼻筋の通った小さな鼻に、薄い唇。
肌は透き通るように白く、少しウェーブのかかった金髪のセミロングは、肌の白さに相成って余計に輝いて見えた。
極め付けは、ピンと立った猫耳だ。
数秒間見惚れた後で、ペタペタと自分の顔を触って確認する。
コレが俺?
どうやら、俺みたいだ。
そしてすぐに思考が結び付ける、
この顔で、あの身体か…と。
この顔に、あの大きなおっぱいが付いていて、パイパンで、あの卑猥なクリトリスが付いているのか?
もう……反則じゃないか。
イエローカード飛び越して、1発レッドで退場だわ。
どうしようか…?
自分で自分に惚れそうだ。
悶々とした気持ちを胸に抱き、俺はまた宿に向かって歩き始めた。
その道中でも街行く人達は相変わらずの視線を投げて来る。
中には中年の貴婦人らしく着飾った女性は、舐めるように俺を見て来た。
コイツら全員、俺の事をどんな風に思っているだ?
情報収集も兼ねて2人くらいに心読を使う事にした。
1人目は……。
メインストリートという事で、道行く人の数はパッと見積もっても30人はいる。
急いで歩いて行く人、タバコを吸ってたむろっている若者達、路上でお店を広げているエルフ、大きな荷物を抱えて歩くドワーフ、路上で寝ているホームレスらしき人も数名いた。
その中で俺が目星を付けたのは、使用人らしき取り巻きを3人も連れ立って、道の向こうから歩いて来る中年男性だ。
その服装はお洒落に着飾って、身分の違いを主張している。この街の有力者に違いない。
道行く人達も彼が歩く前を歩かない。
スッと道が開けて行く。
俺も右に習えと、石畳の道の脇に寄った。
それでも中年男性は俺を見つけ、コチラに目線を投げかけて来た。
俺は着飾った中年男性に向けてニコッと微笑み、
すかさず心読!!
(獣人とは珍しいな…)
(遥々イサフェラから旅をしてきたのか?)
(ふん、こちらに微笑んで、私に媚を売るつもりか?)
(それならそれで)
(うーーんなかなかに、遠目で見ても美しい)
(獣人という種族は美男美女が多いと聞くが、ここまで美しい者は見た事が無いな)
(滅び行く種族、イサフェラの民の末裔といったところか?)
(興味深いな)
(少し声をかけてみるか…)
中年男性の男は、取り巻きの使用人を「おい」と呼び出した。
俺はそれに気が付き、中年男性が「おい」と合図を送る前に人混みの中へと消えた。
何故そうしたか?
当たり前の事だ。
あんな権力の塊みたいな者には、最初から近づかない方が身の為だ。
では何故?何故あえてそんな男を選んだかという事になる。
それは情報の為だ。
いつの世も、権力者という者には情報が集まりやすい。
案の定、彼からは4つ有益な情報が得られた。
1、獣人という種族は美男美女が多いという事。
2、獣人という種族はなんらかの要因でとても数が少なく、滅び行く種族だという事。
3、権力がある者でも、獣人という種族はもの珍しく、街行く人達がコチラをジロジロ見ていたのは、もの珍しさからだという事。
4、そして、4つ目がイサフェラというワードの発見。
考察するに、獣人族の事をイサフェラの民と呼ぶみたいだ。
となると、遥々イサフェラから来たと、この男が思ったという事はイサフェラとは場所。
これは大きな収穫だ。
俺の出生を設定する為に、イサフェラという場所がどんな所で何処にあるのか?
現状どうなっているのか?
探る必要があるな。
以上4点を踏まえると、耳と尻尾は隠した方が良さそうだ。
獣人である事はなるたけ隠す。
獣人の出生も、置かれた立場も、セミファスとかいうこの世界の価値観も、何も知らないまま目立つ行為はなるたけ避けたい。
危険過ぎる。
現状、尻尾はマントの下に隠れてはいるが、猫耳はピンと立って獣人である事を主張していた。
宿に行く前に何か被る物を購入した方が良さそうだ。
とりあえずはマントを頭から被り、メインストリートから一本入った裏通りへと抜けた。
後方で、俺の事を探している使用人達の声が聞こえてきたからだ。
やはり、耳が良いのはかなり役に立つ。
一本入った裏通りは、メインストリートとは違って、昼間でも薄暗く、少しカビ臭かった。
それ故に、歩いている人はほぼいないというか、いない。
この道を行っても帽子を売っているお店などまず無いだろう。
それでも街の中心にあるという大きな建物を目指し、とりあえずは裏通りの小道を歩いて行く事にした。
3
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる