TS転生〜社会不適合者の俺が金髪猫耳美女に転生〜ラブラブでエチエチな異世界ライフを手に入れる迄

狼少年

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外伝 閑話2

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閑話2      トオル・カザミヤ

    『バンッ!!』

                               『バンッ!!』
     
         『バンッ!!』


   炭鉱村に響くは花火の音である。
 縁日でも無い。何か日でも無い。
 今日は年に一度のお祭り。

 収穫祭だ。

 ジライヤは待ちに待ったこの日を楽しみにし過ぎて、昨夜はほとんど寝れなかった。それでも花火の音を耳にすると、微睡かけていた眠りから目を覚まし、ベット脇の時計に目を向けた。

 時刻は午前6時。

 「お祭りだ!収穫祭だ!!」

   寝ぼけ頭から一気に覚醒したジライヤは、ベットから飛び起きて家の中を駆けて行く。
 
 「お父さん!お父さん!お祭りだよ!収穫祭だよ!」

 ドタバタとした娘の足音に気が付いたジライヤの父"ハレルガ"は、現在、朝食支度の真っ最中。

 それに、今日は年に一度の収穫祭という事で、昼刻から始まる村の宴会に出す料理の下拵えもしており「もう起きて来やがった」と呟いた。


 なんかいい匂いがする!

 ジライヤの足は必然的に台所へと向かうのだ。

 「お父さん!何?何?何作ってるの?」

    「内緒」

    「えーー、わかった。"ミルザーフ"でしょ!?」

     「ハハハっ!」とハレルガは笑った。

 ミルザーフとは、兎肉を香草で包み蒸し焼きにした料理で、お祝い事や神事の際に振る舞われるエルフ族の伝統的な料理だ。

 「私、お父さんが作るミルザーフが一番好き!!」

    「そうか!そうか!そいつはぁ、良かった。ところで、俺は今、ちと忙しいんだ」
    
     「ねぇ。トオルは?」

     「まだ寝てんじゃねぇか?
  昨日も夜遅くまで『カンッカンッ』やってたみてぇだからよ」

   「ふーーん……今日は収穫祭なのにね!」

 「そんなら丁度良い。あの寝坊助のボンクラを起こして来てくれねぇか?」

    「うん!わかった!」とジライヤは元気に返事をした。
 

 ※

 
 使わなくなった坑道を再利用して造られた鉱夫達の家は、まるで迷路だ。

 一歩間違えて奥の方へと入り込んでしまうと、迷子になるのは必須。

 今年の初めも新人の鉱夫達が何人か行方不明になり、その度に捜索隊を出す羽目になったが、ここで育ったジライヤにとってみれば庭も同然。
 迷うどころか、他の誰も使わない秘密の抜け穴なんかを通り抜け、真っ直ぐトオルの家へと向かって行く。

 鉱夫達の家は区画が整理されてるとはいえ、坑道内は繋がっており、外に出る事なく家に入る事が出来るのだ。

 赤くペンキで書かれた区画19番地。

 ここからがトオルの家だ。
 

 「トオル~~トオルいる~~?
  寝てる~~?起こしに来たよ~~
  お父さんが起こして来いってさぁ」

    ジライヤの大きな声が坑道内に響いた。

 それに応える声は小さく「あーー」

    薄暗い坑道の奥にランタンの光が溢れている。小さな声はその奥から聞こえた。

 「トオル、起きた?」「ねぇ。起きたーー?」

    ジライヤは、声がした方へと歩みを進める。それは、何回も心躍る気持ちで足を運んだある一室。トオルの部屋へとだ。

 「朝からキンキンした声で呼ばないでくれよ。昨日から寝不足なんだ僕は」




 2週間前。
 魔石採掘を行っていた鉱夫達が、坑道内で行き倒れになっている1人の男を発見した。
 その男は、特に目立った外傷は無かったが意識不明の状態で炭鉱村へと運び込まれた。

 男が意識を取り戻したのは、その3日後。炭鉱村に運び込まれてから3日目の朝の事である。
 
 "トオル・カザミヤ"
 男は名しか語らなかった。

 何故?坑道内で倒れていたのか?
 何処からやって来たのか?目的は?
 歳は?出身は?国は?

 何を聞かれても男は知らないと答えた。

 ジライヤはそんなトオル(炭鉱村の外からやって来た人間)に興味を惹かれた。興味津々である。

 男は意識を取り戻してから2日間は、ハレルガ(ジライヤ)達の家でお世話になった。

 その後、炭鉱村で会議が開かれ男の処遇が決まった。

 男の処遇は"要監察"

    監察人に選ばれたのは、ジライヤの父ハレルガである。
 
 会議にてハレルガは、村の年長者達の反対を押し切り男を庇ったのだ。

 年長者Aは言った。

 「そんな…何も知らないなどと言っている者を庇ってどうするつもりだ?」

    年長者Bは言った。

 「聞けば、その男。人間というでは無いか?」

 年長者Cは言った。

 「人間は良くない……彼奴らは戦いを好む野蛮な種族だ」

 村の年長者達は皆、口々に言う。

 「追い出そう」
    「追い出してしまえ」
 「追放しろ」
    「追放だ」

 そんな年長者達の意見を押し除けるようにハレルガが口を開いた。

 「バカバカしい」
    「バカも休み休みに行ったらどうだ?ボケ老人共!
 言っておくがなぁ、まだあの男は完治などしていない。
 こう見えても俺だって医者の端くれ。
 治ってもない者を何故追い出せる?
 なぁ?わかるかい?自分が何者なのかもわからねぇ。右も、左もわからねぇ。
 目覚めたら知らねぇ処にいたんだ。
 怖ぇだろ?えぇ?!
 考えてもみろよぉ!そりゃ怖いさ。
 俺なら考えただけでもゾッとするねぇ。
 そんな奴を追い出せだの。追放だのって。
 それでもアンタら……
 遺慈悲の女神に仕えたエルフ族の末裔かい?
 俺なら恥ずかしくて、てめぇの尻穴の中に隠れてぇくらいだ!!わ!!」


 だ!!

 わ!!
 
   
 正論。

 もちろん大正論。圧倒的とも取れるハレルガの気迫に押し負ける形で、年長者達は渋々ながらも炭鉱村での男の居住を認めた。

 その条件が、要監察だった。

 男を監視しろ!
 男を軟禁しろ!
 男に自由を与えるな!
 
 
 


 『トン』『トン』

 ジライヤは、トオルの部屋のドアをノックする。

 「トオルーー!トオルーー!」
 「起こしに来たよーー!」
   「迎えに来たよーー!」
    「収穫祭だよーー!」

      「んーー」「わかったーー」とドアの向こうから声が聞こえ、その数秒後。ドアはゆっくりと開くのであった。

 
 

 

 
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