ちょっとハッとする話

友人の話

「馬、牛、ロバ、羊、豚、鶏にアヒル、七面鳥、そして猫と人間。何を想像する」
そう友人にいわれたんですね。
私は腕を組み、うーーんと考え込んだ訳ですが……
一拍、置きまして。

「んーー全部動物って事？」

友人は大きく両手を交差して、違う違うのジェスチャーからの

「まぁ当たってるちゃ。当たってるか」

とジャッチの変更をした訳。
どういう事かね？と私が友人に聞きますと

「そんな大雑把な括りを聞いているんじゃ無くて、関係性を聞いてるって事よ」

なんだ。それならそういう風に聞いてくれよ。と私は思いましたが…また腕を組み考え込んだ訳です。

「コツコツコツコツ」

看守のアイツが、私達の独房の前で止まりコチラをギラリとした眼光で睨みつける。

「おい！そこのお前！」

友人が自分を指指し僕ですか？と、ジェスチャーしているのは私の横です。

友人は看守に連れて行かれた。もう戻って来る事は無いでしょう。
アイツに連れて行かれた奴が、戻って来たところなんて見た事無い訳ですから…

結局、友人の問いの答えはわからずじまいになってしまった、という訳です。






「コツコツコツコツ」

私も今、看守に連れられて処刑場に向かっています。長い暗い通路の出口のそれが、看守に隠れてチラチラと見える。

「さあ。行け！」

ドンっと背中を押されて光の中へ。
何年かぶりに明るい。光で目がクラクラします。ようやく目が慣れて周りを見渡すと、

馬、牛、ロバ、羊、豚、鶏にアヒル、七面鳥、そして最後尾に私……

向こう側にはナプキンを付けたお猫様と、看守のアイツ。

「さーさーお猫様。今日はいったいどいつが食べたいですか？」

「ニャー」

友人さん、わかりましたよ。答えは食べる側と食べられる側って事だったんですね……