ちょっとハッとする話

狼少年

文字の大きさ
上 下
18 / 82

巨人の彼女

しおりを挟む
「付き合って下さい」
そう脅迫されたのは高1の秋。

僕には彼女が出来た。いや彼女は元々居たが新しい彼女が出来たと言った方が正解。

元カノは泣く泣く僕と別れた。
僕も泣く泣く元カノと別れた。
新しい彼女は元カノに「ごめんなさいね。でも貴方の彼氏の事、前から気になってたの」
と言った。
新しい彼女は僕に「あーー良かったわ。私達付き合えたのね。これからは楽しくやりましょう」
と言った。



理不尽だ………





そう……新しい彼女は巨人で、人を支配する者達。
人は巨人には逆らえない。
それは昔も今も変わらない。

巨人は人の5倍程の巨躯である。
それも昔も今も変わらない。

巨人と人との間には子供は出来ないが、巨人がペット感覚で人と付き合う事がある。
今の僕だ。

巨人は人に比べて少数だが人の数倍は生きる。
僕の青春は終わった。
僕の青春は彼女の一瞬だ。きっと僕がおじさんになる頃に捨てられて自由になれるのだろう。

「○○くーーーん。一緒に帰ろーー」

今日も巨人の彼女がドスドスと地面を揺らして僕に駆け寄って来る。

「あーー僕も今、君を探していたところだったんだ」

僕は満面の作り笑顔で答えるのだ。

「私達気が合うね!!」

「うん。そうだね」

僕は籠に入れた人。
明日をただ生きるだけの者。




しおりを挟む

処理中です...