美少年はエッチがしたい……『笑って死ね』神との約束は一度きり、最高の腹上死を目指す

狼少年

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 鬱蒼と茂る森の中に、道路が一本走ってて、その少年は目を覚ました。

「ッ…」

 軽い頭痛が少年を襲う。少年は、頭を抑えて立ち上がった。

 見覚えの無い場所だ
 何処だろうかここは……

 少年は、前後左右に首を振り、辺りを見渡した。森だ。道路だ。緑のトンネルだ。ただ、道路と言っても随分と荒れ果てた道だ。表面は木々の根っこでボコボコに隆起し、至る所でヒビ割れを起こしている。木々しか見えない。光のカーテンが、所々に木漏れ日を、スポットライトを落としていた。どうしてこんな所にいるのだろうか?わからない。
 少年は、記憶を辿った。

 僕はどうしてこんなところに?

 記憶がある。少年の最後の記憶は、踠き苦しんだ記憶。机に爪を立て、心臓を抑え、息絶えた記憶。そうだ。家にいた。部屋にいた。それが何故こんなところに?

 少年は思った。ここは死後の世界だと。
 まぁそう考えるのは、当然と言えば当然で。なんと言っても、少年には自分が死んだという記憶がある。僕は死んで、死後の世界にやって来た。死後の世界が森とは思ってなかったけど、そもそも死後の世界があるとも思っていなかった。が、しかし、現に目を覚ましたのだから、納得するしかない。
 ここは死後の世界だ。少年は、そう思った。

 "おい。"不意に声をかけられて、少年は後ろを振り返る。誰もいない。キョロキョロと辺りを見渡す。誰もいない。空耳か?
 "おい。こっちだ。こっち。"また声をかけられた。

「誰?どこ?どこにいるの?」

 少年は声を出し、前へ後ろへ視線を配るも、木々の騒めきがカサカサと揺れているだけで、誰もいない。おかしい……少年は首を傾げた。

「ここだよ」
「どこ?」
「お前の頭の中さ」
「どういう……」
「そういうことさ」

 少年は頭を抑えた。
 記憶だ。記憶が来る。
 名前を思い出した。僕の名前はケンだ。
 野崎研。42歳だ。
 君は誰?

 少年は頭の中の声に問う。

「君は誰?」
「クスクスッ……もう忘れてしまったのか?」
「忘れた?何を?」
「俺のことさ」
「君のこと?何を言っているのかさっぱりだよ」
「俺はお前。お前は俺。俺であってお前。お前であって俺。俺は、お前の中のもう1人の俺さ」
「もう1人の僕?」
「そうだよ。名前を言ってみな」
「名前?」
「頭の中に浮かんだ名前さ」
「……ケン。野崎研……」
「そう。俺はケン。やっと思い出したか?なら次だ。次は、そうだな。俺からお前に名前をくれてやろう。お前の名前は。。。」
 
 心の中の声が名前を言おうとした時だ。ガサっと大きな音がした。なんだ?少年は、音のした方に目をやった。「!?」熊がいた。
 少年の視線の先には、大きな熊がいた。デカい。象みたいに大きな熊だ。体長5メートルほどあるだろう。少年はビックリして声も出ない。熊と少年との距離は、およそ50メートル。目が合う。逃げるか?逃げ切れるか?少年は、一本、二本と後ずさる。熊は少年を見ていた。
 自然界において、視線を逸らすことは敗北を意味する。ましてや、背中を向けて逃げるなど論外。追いかけてくれと言っているようなものだ。少年はそのことを知っていた。ゆっくり、ゆっくり。後ずさる。冷や汗が噴き出る。頬をつたる。生きた心地がしない。
待て。僕は生きているのか?少年の心中に、生へと執着が生まれた。


 一方、獣道みたいな木々の間を、足早に進む人影があった。落ち葉や枝が落ちてる中を、音も出さずに歩いている。カサッとも、パキッとも音がしない。迷彩柄のズボンに、タンクトップ。背中には大剣を背負い、頭にゴーグルを冠した黒髪短髪の女性だ。タンクトップから張り出している大きな胸の膨らみが、彼女が女性である事を主張している。
 年齢は30歳前後で、女性である事は確かだが、肩や腕には大きな傷跡が幾つもあり、彼女が死地とも呼べる修羅場を、何度も潜り抜けて来たのでは?と、容易に想像出来る。
 女性の額には汗が滲んだ。汗が目に入りそうになり、額の汗を右手で拭った。女性は、二言、三言呟く。

「目撃情報からだいぶ来てしまったな。けど……んーー」

    奴の行動範囲を考えれば……ここら辺りまで足を伸ばしていてもおかしくは無いが……
やはり、少し外れ過ぎたか……
 女性は踵を返し、来た道を戻ろうとした。
 その時。

「グォォォォォォォォォォ!!」

 大きな咆哮が女性の耳に届いた。

「近いッ」

 女性は小さく声を上げ、頭に冠していたゴーグルを装着。背中の大剣に手を回し、走り出す。音も出さずに森の中を疾走。速い。人間の全力疾走など知れているが、彼女のスピードは、遥かにそれを凌駕している。足場の悪い森の中でだ。
 鬱蒼と繁る木々の間から、少しの光が漏れている。向こう側が明るい。
 森が切れている……黒い土(アスファルト)が走っているのか……?
 女性の思考が回転する。その中で、彼女の目は明るくなった向こう側、森の切れ目に巨体を持ち上げた熊の姿を捉えた。
 デカいな……
 巨熊を視界に捉え、女性は思った。
 奴だ!

 巨熊=グリッドベア。ここら一帯の森を縄張りにしている魔獣である。
 この世界において、魔獣と野生動物の区別は、一般人の力で対処し切れるのか、否か?この巨熊を?人の力で?普通に考えれば到底無理な話だが、女性は一般人では無い。それ相応の訓練を受けたハンターである。
 グリッドベアは、後ろ足で立ち上がり、前足を広げ、何かを威嚇しているように見えた。
 
「グォォォォ!!」

 先客が?
 しまった……先を越されたか!?

 同業者に先を越されたと思った女性は、また1つギアを上げ加速。低姿勢を保ったまま
薄暗い森の中から、勢い良く飛び出した。


 


 
 



 

 
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