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受付嬢ジュリアが、ティムに用意した服は、白のブラウスとメイド服であった。フリフリのスカートに、首には赤いリボン。着替え終わったティムは、もう女の子にしか見えない。
ティムは、モジモジしながらジュリアが待つ部屋へと戻った。
部屋に戻ると、ジュリアは椅子に腰掛けていた。
「あの……ジュリアさん」
「終わった?」
ティムに声をかけられたジュリア。
着替え終わったティムの方を振り返る。
第一声。
「やばっ!?」
「え?何がですか?」
ジュリアは、女装したティムを見て、一瞬では無く。今もNOW。心が奪われそうになる。ヨダレが出そうだ。いや、出てる。
『ジュルルル』舌をペロリと出して、唾を啜った。ちなみに、この時のジュリアの欲情スカウターの数値は90で、もう少しで理性がぶっ飛びそうである。
「ジュリアさん……これちょっと、恥ずかしいんですけど?」
「何が?」
「女の子みたいだし……メイド服だし……」
「別に、わたしは全然問題無いと思うけど!むしろ全然ありじゃない!?」
「そ、そうですか?」
「うん。絶対そう!」
そんなやり取りをしていると、ルーフの『カツッ』『カツッ』と渇いた義足音が聞こえて来た。
「あら。どうしましょ……マスターがやって来るわ」
「ルーフさんが?……」
「ティム君って言ったっけ?さっきの事はマスターにはナイショね♡」
シーっと人差しを口に当てて、ジュリアはウィンクした。
「さっきの事って?」
「君って本当に鈍いなぁ。君のおちんちんの事よ♡」
ジュリアは、少し顔を赤らめる。
そういう事をレディに言わすんじゃないよ。
あぁそういう……ティムは、無言で頷いた。
扉の向こうから「ジュリアどうだ?」と、ルーフの声に、
「はい!マスター。もう大丈夫ですよ」と、ジュリアは返した。
『ギィー』扉が開く音がして、ルーフがその奥から顔を出した。
ティムと目が合う。
「ほぅ……ティムか?」
「はい」
「見違えたぞ!凄くいいじゃないか!」
「でも、これ……女の子の服ですけど?」
「別にいいじゃないか!私はいいと思うぞ!」
「そうですか……ルーフさんが言うのなら、うーーん……」
女装なんて気乗りはしないし、ティムは、あまり納得した表情をしていないが、レズビアンの2人の反応は最高である。
「ティムの着替えも終わった事だし、飯にするか!」
「そうですね。マスター。もうそろそろお昼ですし」
「ティムは何が食べたい?」
「お肉が食べたいです」
「ジュリア。肉と酒を用意してくれ」
「はい!マスター」
昼食は3人で取る事になった。
エミリオ商店の厨房に、ジュリアが立っている。ガチャガチャ。ザーザーと、何かしら料理を作っている音が聞こえて来る。香ばしくて、良いにおいもして来た。ティムとルーフは、テーブルに向かい合うように座って、ティムの事。そして、これからの事に付いて話していた。
「本当に何も覚えていないと?」
ルーフは、ティムに聞いた。
ルーフの問いかけに、ティムは頷き、
「ただ……」
「ただ?」
「違う記憶ならあります」
「違う記憶?」
ティムは、前世の記憶を話す事にした。(神に与えられた能力は伏せて)
それには理由がある。1つは前世の記憶を隠す事に何のメリットがあるのか?という結論に達したからだ。
「にほん?聞いた事の無い国だ」
「でも、日本にあったものがこの世界にもあります」
「例えば?」
「ココです。ルーフさん達がバサラの塔と呼んでいるこの塔。僕はこの塔を知ってます。真っ二つに折れてしまっているけど、僕の記憶では東京タワーと呼ばれてました。それに、ここに来る時に見た建物群も、僕は見た事がある……コンビニだったり、ホームセンターだったり」
「コンビニ?ホームセンター?何だそれは?」
「何だそれはって……うーーん」
ティムは少し考えてから、「何でも揃うお店かなぁ」と、答えた。続けて。
「昔、この場所に日本という国があった。なんて事は無いですか?」
「それは、無い」
「どうして?」
「このバサラの塔も、ティムが見た建物群も、およそ100年前に突如として現れた。ウンバサの森だけじゃない。王都や世界各地にも同じようなものが現れたと聞いている」
「そうですか……」
「私が小さな頃の話だ。私の祖父エミリオ・バッカスが、この地にエミリオ商会を作ったのだが、ティムに言われて思い出した。じぃさんがそんな話をしていたな」
「どんな?」
「遺物達の記憶を持つ男に、会った事があると」
「それって……」
ルーフの話にティムは驚いた。
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