彼女の秘密！

優しい眼差しは時に人を傷付ける

式も無事に終わり次に行うのはクラス決めだ。
クラスはA～Cクラスが有りその中でも特に優秀な生徒はSクラスになる。クラスは今から行う魔法・剣技の実施試験の合計点で決まる。

「新入生の皆さん。これから実施試験を行うので呼ばれた順に来て下さい。最初は魔法試験から始めます」

ローブを着た男の先生がそう言い試験が始まった。
試験は審査官の前でファイアーボールを発動する。
呪文を唱えてからの発動時間と威力。それらが審査基準になる。

「やった！」
「くそっ！」

嬉しそうな声や悔しそうな声が所々から聞こえる。

「次、リリア・バーンズ」
「はい」

ようやく自分の名前を呼ばれ前に出る。

「それでは始めてくれ」

三人いるうちの真ん中の審査官に言われる。
ゆっくりと深呼吸する。

（大丈夫。落ち着いて…）

ゆっくりと目を開け片手を前にかざし呪文を唱える。

「ファイアーボール」

すると現れた魔法陣から灼熱の太陽の様なファイアーボールが現れ…。

（…何ってのは物語の主人公限定だよねー）

私が放ったファイアーボールはテニスボール程の大きさしかなかった。周りがシーンと静まり返る。

（うん…。確かに普通はサッカーボール程の大きさだからこの反応は当然だけど。ちょっと辛いかなあ！？）

審査官をちらりと見るとサッと視線を逸らされた。周りの生徒達に視線を向けると誰もが上を見たり下を見たりして誰一人として視線が合わない。

「…もう発動を解いてもいいよ」
「…はい」

優しい小さな子供を見る様な目で見ながらそう言われて魔法を解く。

（いっそ…いっそ笑ってくれ）

周囲に優しい眼差しで見られながら次の試験を受けに行く。