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No.38 クリスside
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(誰だ?部屋の外にいる護衛達には、誰も通すなって言っておいたんだけどな…)
主人であるクリスの命令を聞けないなんて「処罰対象か?」と思っていると、扉越しにクリスの大切な弟の声が聞こえて来た。
「あ、兄上。ガダルです」
「入っておいで」
「失礼します」
ガチャッと音を立てて、ガダルが部屋に入ってくる。クリスは、アランに見せていた腹黒い笑みではなく爽やかな笑みを浮かべてガダルを迎え入れる。
その瞬間、クリスはアランに目配せをする。
アランは、すぐに先程の書類をガダルにバレない様に隠す。そうして、席から立ちガダルに向かって頭を下げる。
「あっ、すみません兄上。お話の邪魔をしてしまって…」
「いいんだよ。大事な話は先程終わって、今はのんびりしてた所だ。そうだ、ガダルは初めて会うよね?彼は、アラン。私の大切な友人だよ」
「ガダル様、お初にお目にかかります。私は、アラン・アベルシュタインと申します」
クリスの後に続いて、アランが挨拶をする。
すると、ガダルは「ビクッ!」っと身体を大きく跳ねさせた。その様子を見て、二人は不思議そうに首を傾げる。
「ア、アベルシュタイン…」
「?はい、そうですが…」
「ア、アラン殿。失礼ですが、アラン殿に御兄妹は…?」
そうガダルに聞かれて、アランは美しい笑みを浮かべた。
「天使の様にとても可愛らしい自慢の妹がおります」
「妹…」
アランの返事を聞いて、ガダルはブルブルと身体を震わせる。
「ガダル?大丈夫かい?」
「は、はい」
(全然、大丈夫には見えないけどね)
自身の可愛い弟が、アベルシュタインの名を聞いてこれほど怯えている。チラリとアランを見ると、アランは不思議そうにガダルを見ている。
(アランが、ガダルに何かした可能性は低いな。そもそも、自己紹介するまでガダルは普通だった。………と言う事は、『御兄妹』か)
わざわざ、ガダルがアランに「御兄妹」について質問した。確か、アランが自慢する妹はガダルと同い年だった筈だ。
(恐らく、先日のお茶会でその「妹」と何かあったな…)
何時もならアランに調査を依頼するが、今回は無理だろう。常日頃から「妹可愛い、マジ天使」と言っているアランに、その大切な妹の調査を頼んでも絶対に手が加えられた報告書が上がるだろう。
(今回は、私自身が調べるしか無いな…)
それは後で考えるとして、今はガダルだ。
「それで?ガダルは、一体何の用があったんだい?」
その言葉に、ガダルはハッとして口を開く。
「えっ、えっと!……実は、兄上に相談があって」
「何だい?」
「そ、その…」
ガダルは、話を続けずチラチラとアランを見る。
「クリス。俺がいたら、ガダル様も話し辛いだろう。報告は終わったんだ。俺はこれで失礼するよ」
「うん、わかった」
「ガダル様、それでは失礼します」
「あ、すまない…」
「いえ、大丈夫です」
そう言って、アランは優雅な仕草で部屋を出る。
「これで、話しやすくなったかい?」
「はい」
そうして、ガダルは意を決した様にクリスに向かって言った。
「兄上!す、好きな子に好かれるには、どうすればいいんですか…!」
クリスの中で、更にもう一つの問題が出来た瞬間であった。
主人であるクリスの命令を聞けないなんて「処罰対象か?」と思っていると、扉越しにクリスの大切な弟の声が聞こえて来た。
「あ、兄上。ガダルです」
「入っておいで」
「失礼します」
ガチャッと音を立てて、ガダルが部屋に入ってくる。クリスは、アランに見せていた腹黒い笑みではなく爽やかな笑みを浮かべてガダルを迎え入れる。
その瞬間、クリスはアランに目配せをする。
アランは、すぐに先程の書類をガダルにバレない様に隠す。そうして、席から立ちガダルに向かって頭を下げる。
「あっ、すみません兄上。お話の邪魔をしてしまって…」
「いいんだよ。大事な話は先程終わって、今はのんびりしてた所だ。そうだ、ガダルは初めて会うよね?彼は、アラン。私の大切な友人だよ」
「ガダル様、お初にお目にかかります。私は、アラン・アベルシュタインと申します」
クリスの後に続いて、アランが挨拶をする。
すると、ガダルは「ビクッ!」っと身体を大きく跳ねさせた。その様子を見て、二人は不思議そうに首を傾げる。
「ア、アベルシュタイン…」
「?はい、そうですが…」
「ア、アラン殿。失礼ですが、アラン殿に御兄妹は…?」
そうガダルに聞かれて、アランは美しい笑みを浮かべた。
「天使の様にとても可愛らしい自慢の妹がおります」
「妹…」
アランの返事を聞いて、ガダルはブルブルと身体を震わせる。
「ガダル?大丈夫かい?」
「は、はい」
(全然、大丈夫には見えないけどね)
自身の可愛い弟が、アベルシュタインの名を聞いてこれほど怯えている。チラリとアランを見ると、アランは不思議そうにガダルを見ている。
(アランが、ガダルに何かした可能性は低いな。そもそも、自己紹介するまでガダルは普通だった。………と言う事は、『御兄妹』か)
わざわざ、ガダルがアランに「御兄妹」について質問した。確か、アランが自慢する妹はガダルと同い年だった筈だ。
(恐らく、先日のお茶会でその「妹」と何かあったな…)
何時もならアランに調査を依頼するが、今回は無理だろう。常日頃から「妹可愛い、マジ天使」と言っているアランに、その大切な妹の調査を頼んでも絶対に手が加えられた報告書が上がるだろう。
(今回は、私自身が調べるしか無いな…)
それは後で考えるとして、今はガダルだ。
「それで?ガダルは、一体何の用があったんだい?」
その言葉に、ガダルはハッとして口を開く。
「えっ、えっと!……実は、兄上に相談があって」
「何だい?」
「そ、その…」
ガダルは、話を続けずチラチラとアランを見る。
「クリス。俺がいたら、ガダル様も話し辛いだろう。報告は終わったんだ。俺はこれで失礼するよ」
「うん、わかった」
「ガダル様、それでは失礼します」
「あ、すまない…」
「いえ、大丈夫です」
そう言って、アランは優雅な仕草で部屋を出る。
「これで、話しやすくなったかい?」
「はい」
そうして、ガダルは意を決した様にクリスに向かって言った。
「兄上!す、好きな子に好かれるには、どうすればいいんですか…!」
クリスの中で、更にもう一つの問題が出来た瞬間であった。
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