極妻、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生しちゃいました!

ハルン

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No.64

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暫くして、ようやく落ち着いた二人にサーシャは声を掛ける。

「二人共、あのお茶会の日から随分と仲良くなったのね。まさか、人見知りのティミアが此処までガダル様と仲良くなるなんて思わなかったわ」

サーシャの言葉に、ティミアも頷く。

「自分でも、此処まで親しくなるなんて思わなかったわ。手紙のやり取りをしているうちに、ガダル様の事を怖い人だと誤解してる事に気が付いたの」
「誤解?」
「うん。本当のガダル様は、とても優しい方なの。何時も私の事を気遣ってくれたり、人見知りが激しくて家に引きこもりがちの私の為に、外の色々な事を教えてくれたりしてくれるの」
「……へぇ~」

サーシャは、チラッとガダルを横目に見る。
好意を持つ少女に褒められて、がダルは緩みそうになる口に力を入れて堪えていた。

(優しい…ねぇ。何処からどう見ても、好きな子に気に入られようとする下心満載だけどね)

実際、初めて会った時の如何にも傲慢な態度の王子様が本当のガダルだろう。

(………まぁ、恋は人を変えるって言うしね。今からなら、性格も修正出来るかな)

そんな事を思いながら、二人の会話を聞くサーシャ。

「そう言えば、今日変な子に会ったんだ」
「変な子…ですか?」
「あぁ。トールディン公爵家に来る途中、予約していた見舞いの品を取りに街に行ったんだ。品を受け取って店を出たら、店の前にオレと同じ歳くらいの女の子がいたんだが…」

***

『よし。これを見たら、ティミアも少しは元気を取り戻すぞ』
『きゃっ!』

(何だ?)

『いたぁ~い!どうしよう、足を捻っちゃったわ!困っちゃった!』
『(どう見ても、元気が有り余って困っている様に様に見え無いが…)大丈夫か?』
『痛くて全然動けないですぅ~。お母さんから買い物を頼まれてたのにどうしよう…』
『それは困ったな』
『ですから、どうか私に付き添って…』
『マリアっ!貴女、また変な事をして!』
『げっ!?お母さん…!』
『最近、変なことばっかりするから心配で跡をつけてみれば…。まさか、貴族様に迷惑を掛けるなんて!』
『ち、違うわ!これは、大事なイベントで…』
『申し訳ございませんっ!娘は、最近妄想癖が激しくなってしまい、度々人様に迷惑をかけるんです。まさか、貴族様にまで迷惑をかけるとは思わず…!』
『大丈夫です。オレは、特に迷惑をかけられてませんから。急いでいるので失礼します』
『本当に申し訳ありませんでした!ほらマリア、貴女も帰るわよ!』
『痛っ!ちょっと、引っ張らないでよ!未来の王妃に傷を付けるつもり!?』
『何馬鹿な事を言ってるの!貴女が王妃になれるなら、あそこのピグー(豚)だって王妃になれるわよ!』
『ちょっと、それどう言う意味よ!?』

***

「ーーと、言う事があったんだ」

その話を聞いて、二人は思った。

((それって、絶対に同じ転生者だよね?))

どうやら三人目の転生者は、頭にお花が咲いているタイプの少女らしい。
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