裏切りの剣士

ハルン

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動き出す運命

*ローグ*

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目の前には、僕達を裏切り仲間を殺し最後に僕達の手によって死んでいったかつての仲間。その赤い髪を靡かせその赤い瞳に僕を写してる。その姿、声は昔の記憶そのままだった。

「…マリア。」

名前を呼んだ途端、顔に出ていた動揺・困惑・悲しみなどの表情がいっきに消え去り氷のような冷たい無表情になった。それを見てかつて自分達が彼女にした事を思い出す。

(僕の名前を呼んだって事は僕達と同じで前世の記憶があるんだ。)

今世で再会した3人の仲間を思い出す。

「マリア…。こういう時、久しぶり…って言うの…かな?取り敢えず何処か怪我してない?あったら僕が治して…」

そう言いながら一歩近づいた途端。マリアは、体を強張らせ一歩後ろに下がった。

「ッ!」

そんなマリアを見て身勝手にも胸が苦しくなった。彼女がこんな風にするのは自分達の自業自得なのに…。

「私は大丈夫ですので。聖職者様は他のみんなをお願いします。」

そう言うと僕に背を向け何処かに歩いていく。

<ローグ兄さん。私、ローグ兄さんや皆んなが1番大切だよ。>

かつて僕を兄さんと呼んでくれた君はもう僕の名を呼んでくれない。何故あんなに僕達を大切だと家族の様に慕ってくれていたかつての彼女を最後まで信じて上げられなかったのだろう。

(マリア…。やっぱり君は僕達を恨んでるんだね。)

赤い彼女の後ろ姿を見ながら彼女の最後の瞬間を思い出していた…。
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