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第一章 悪女と婿にしたい男性ナンバーワン
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ダリアは紅茶を一口飲んで話を続ける。
「私がこの家を継ぐにはどうしたらいいか、まずはランダルに相談したの。ランダルは父の右腕だったから」
クライドは部屋の隅にいるランダルに目をやる。
彼は父、トレッドが当主だった代からもう何十年もマクレディ伯爵家の実務に関わってきた人間だ。
「ダリア様から相談を受け、最初は反対しました。メアリ様が苦しんでいることは私も存じていました。ですが、当主は同情でできるものではありません。そして、ダリア様には当主になるだけの知識も経験も全く足りないから当主になるのは無理だとはっきり申し上げました」
「それなら、知識と経験は急いでこれからつけるからランダル教えてくれない?と私がお願いして」
「それから、メアリ様に隠れて仕事の指導をするようになりました。ダリア様は当主補佐としてメアリ様の手伝いはずっとしていましたが、当主と当主補佐とでは仕事も責任も段違いです。正直な所、すぐに音を上げると思っていましたが、ダリア様はがんばりましたよ。予想よりもずっと早く成長されました」
ダリアはランダルの顔を少し驚いた顔で見つめ、嬉しそうに笑った。
彼がこのように褒めるのはめずらしいのだ。
「トレッド様はもちろん、メアリ様にもまだまだ程遠いですがね」
ダリアが笑顔のまま固まる。
「そこでようやく、ダリア様の計画に協力することにして、準備を進めました。メアリ様の負担軽減という名目で、ダリア様を補佐から当主代理に格上げをして、メアリ様がいなくなっても大丈夫なような体制を作り始めました」
「それから、うちの使用人たちにも協力を頼んだの。これからマクレディ家は嫌われることになるし、そもそも私が当主になることに反対の人もいるだろうから、もし嫌なら次の仕事先は斡旋するから辞めてもいい、って。そしたらみんな協力してくれると言ってくれて。お姉様の専属メイドが一番乗り気だったのが意外だったわ」
「彼女が一番近くでメアリ様の苦しんでいる様子を見ていましたからね」
「逆に一番乗り気じゃなかったのが、私の専属メイドだったことも意外だったわ」
横にいる、ダリアの専属メイドのニッキーをちらりと見る。
「ダリア様が大変な思いをするとわかっているのにノリノリで協力できるわけないでしょう」
少しムッとしたように言うニッキーに、ダリアは苦笑する。
「見通しがついたあたりで、ノーバック子爵家にお願いに行ったのよ。うちのメアリをお嫁にもらってくださいって」
「ああ、うちの家族みんなびっくりしたって言ってたよ」
「内容が内容だから罵倒されることも覚悟していたんだけど、みんな受け入れてくれてうれしかったわ。逆に私に悪い噂がつく方法ではなく他の方法を考えようと仰ってくれたわ。時間がないから断ったけど」
「時間?」クライドが首をかしげる。
「お姉様が伯爵家を継ぐことは公表していないけど、お父様が亡くなってからずっと当主として働いていたから、もう周囲はお姉様が後継者と認めてしまって、婚約の申込みが増えてきているのよ」
「はー、なるほど」
「今までは喪に服すからと断っていたけど、一年を過ぎて、そろそろその理由も効かなくなってきたみたいなの。断っても失礼ではないとされるけど、断り続けるのも気が引けるみたいで、最近、ずっと放置していた釣書をお姉様が見ていることが増えてきたのよ。だから早くしないとお姉様が結婚してしまうと思ってね」
ダリアは紅茶を一口飲むと話を続けた。
「私がこの家を継ぐにはどうしたらいいか、まずはランダルに相談したの。ランダルは父の右腕だったから」
クライドは部屋の隅にいるランダルに目をやる。
彼は父、トレッドが当主だった代からもう何十年もマクレディ伯爵家の実務に関わってきた人間だ。
「ダリア様から相談を受け、最初は反対しました。メアリ様が苦しんでいることは私も存じていました。ですが、当主は同情でできるものではありません。そして、ダリア様には当主になるだけの知識も経験も全く足りないから当主になるのは無理だとはっきり申し上げました」
「それなら、知識と経験は急いでこれからつけるからランダル教えてくれない?と私がお願いして」
「それから、メアリ様に隠れて仕事の指導をするようになりました。ダリア様は当主補佐としてメアリ様の手伝いはずっとしていましたが、当主と当主補佐とでは仕事も責任も段違いです。正直な所、すぐに音を上げると思っていましたが、ダリア様はがんばりましたよ。予想よりもずっと早く成長されました」
ダリアはランダルの顔を少し驚いた顔で見つめ、嬉しそうに笑った。
彼がこのように褒めるのはめずらしいのだ。
「トレッド様はもちろん、メアリ様にもまだまだ程遠いですがね」
ダリアが笑顔のまま固まる。
「そこでようやく、ダリア様の計画に協力することにして、準備を進めました。メアリ様の負担軽減という名目で、ダリア様を補佐から当主代理に格上げをして、メアリ様がいなくなっても大丈夫なような体制を作り始めました」
「それから、うちの使用人たちにも協力を頼んだの。これからマクレディ家は嫌われることになるし、そもそも私が当主になることに反対の人もいるだろうから、もし嫌なら次の仕事先は斡旋するから辞めてもいい、って。そしたらみんな協力してくれると言ってくれて。お姉様の専属メイドが一番乗り気だったのが意外だったわ」
「彼女が一番近くでメアリ様の苦しんでいる様子を見ていましたからね」
「逆に一番乗り気じゃなかったのが、私の専属メイドだったことも意外だったわ」
横にいる、ダリアの専属メイドのニッキーをちらりと見る。
「ダリア様が大変な思いをするとわかっているのにノリノリで協力できるわけないでしょう」
少しムッとしたように言うニッキーに、ダリアは苦笑する。
「見通しがついたあたりで、ノーバック子爵家にお願いに行ったのよ。うちのメアリをお嫁にもらってくださいって」
「ああ、うちの家族みんなびっくりしたって言ってたよ」
「内容が内容だから罵倒されることも覚悟していたんだけど、みんな受け入れてくれてうれしかったわ。逆に私に悪い噂がつく方法ではなく他の方法を考えようと仰ってくれたわ。時間がないから断ったけど」
「時間?」クライドが首をかしげる。
「お姉様が伯爵家を継ぐことは公表していないけど、お父様が亡くなってからずっと当主として働いていたから、もう周囲はお姉様が後継者と認めてしまって、婚約の申込みが増えてきているのよ」
「はー、なるほど」
「今までは喪に服すからと断っていたけど、一年を過ぎて、そろそろその理由も効かなくなってきたみたいなの。断っても失礼ではないとされるけど、断り続けるのも気が引けるみたいで、最近、ずっと放置していた釣書をお姉様が見ていることが増えてきたのよ。だから早くしないとお姉様が結婚してしまうと思ってね」
ダリアは紅茶を一口飲むと話を続けた。
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