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保健室の彼岸花
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「本当に全部解き明かす気か?」
「やろうよ!」
「まぁ、暇だから良いけどさ」
俺達は第2準備室で偶然見つけた謎のノートを手がかりに浅川高校六不思議を解明することになった。とはいえ、最初の謎のヒントは保健室の彼岸花というだけで他に何か書いてある訳でもない。という訳でまずは保健室に向かうらしい。
「そもそも保健室の彼岸花ってなんなんだ? 彼岸花って不吉な花じゃなかったっけ」
「そうなのよね⋯⋯それがなんで保健室にあるのかが分からないのよ」
彼岸花は開花時期が彼岸である秋分の日前後な事から彼岸花と名付けられたらしい。別名『死人花』や『地獄花』と呼ばれるほど不吉な花として扱われている。
「とにかく、まずは本当に彼岸花があるのかどうか確認しましょ!」
そう言って彼女は可愛らしい笑顔で保健室の扉を指さした。まだ疑問は多いが調べてみるに越したことはないよな。
「失礼します⋯⋯」
「あら、体調が優れないのかしら?」
中に入るやいなや僕達に気がついた保健の先生が問いかけてきた。今は放課後で、保健室を利用するとすれば大半は運動部である。しかし、僕達の格好は制服、怪しまれるのも無理ないだろう。
「ええ、少し倒れそうになってしまって⋯⋯そこを彼に助けて貰ったんです」
「まぁ、そうなのね。こっちにいらっしゃい、ベッドで横になるといいわ」
よくもまあ、そんな嘘が思いついたな。僕がそう感心していると彼女が僕の制服の袖を引っ張ってアイコンタクトを送ってきた。
先生がベッド付近のカーテンを引いた時に見えたのは窓側にある生徒用のスチール製机に供えられた一輪の彼岸花だった。その夕陽が当たって美しく輝いている真っ赤な彼岸花は不吉なんかではなく、むしろ縁起が良い花なのではないかと疑ってしまうほどに見目麗しい。
「私はとりあえず横になるからあとはお願いね!」
彼女はそう僕の耳元で囁いて、ベッドに向かった。全く、自分から解明しようとか言っておいて最終的には僕に任せるのかよ。
「少し寝ていればよくなるでしょう、ありがとうね少年」
今まで保健室なんて利用することもなかったから知らなかったけどウチの保健の先生って意外とおばさんだったんだな。
「いえいえ、それにしても窓際に生けてある花って⋯⋯」
「あー、あれね⋯⋯。彼岸花よ、お彼岸の時とかによく咲いている」
「何で保健室に彼岸花が?」
ストレートな僕の質問に一瞬だけ唖然となった先生は、すぐに平然を取り戻して返してきた。
「あれはね、約束の花なの。ある人が戻ってくるまであそこに生けて置いて欲しいって頼まれて」
「ある人?」
「それは言えないわね⋯⋯」
「そうですよね⋯⋯すみませんでした」
「いえ、いいのよ。普通なら気になるものね、保健室に縁起の悪い花なんて。でも本当はそんなことも無いのよ」
先生は眉をゆがめて、悲愴な表情でそう言った。これ以上ここに居るのも怪しまれると思った僕は、静かに保健室をあとにして帰ることにした。
◆ ◆ ◆
翌日、僕は昨日の事を忘れたかのように登校してきた。勿論覚えているがそれには理由がある。
「加賀くん! 昨日なんで私を置いて帰っちゃうのよ!」
来た。これを避ける為に平然としていたが、まさか話しかけてくるとは。当然だけど⋯⋯。
「悪い悪い⋯⋯。あー、えー、つい忘れちまってな⋯⋯」
本当酷いんだから、とそのムスッとした表情で顔を近ずけてくる。近い、だがその顔も可愛いな⋯⋯。
「まぁ、でも嘉永も僕に全部押し付けてきたじゃないか」
「それは⋯⋯今回は許してあげる!」
ふー、ひとまず解決だ。さて情報の共有をしておくか。
「あぁ、あと彼岸花についてなんだが⋯⋯」
「そんなことより、スマホ出して!」
そんなことよりって何だよ⋯⋯、自分が聞いて来いって言ったくせに。そう思いつつも机上に自分のスマホを置く。
「メアド交換しましょ?」
「なんだそんな事か⋯⋯」
「そんなことって何よ、重要な事でしょ?」
だったら彼岸花の話も重要じゃないのかよ⋯⋯。そう言えば、いつの間にか嘉永とこんなに話すことになるはず思ってもなかったな。
嘉永は僕のスマホを操り、彼女のアドレスを登録した。そして僕に返すやいなや、「よろしくね、加賀くん!」と満面の笑みで僕に言った。
「やろうよ!」
「まぁ、暇だから良いけどさ」
俺達は第2準備室で偶然見つけた謎のノートを手がかりに浅川高校六不思議を解明することになった。とはいえ、最初の謎のヒントは保健室の彼岸花というだけで他に何か書いてある訳でもない。という訳でまずは保健室に向かうらしい。
「そもそも保健室の彼岸花ってなんなんだ? 彼岸花って不吉な花じゃなかったっけ」
「そうなのよね⋯⋯それがなんで保健室にあるのかが分からないのよ」
彼岸花は開花時期が彼岸である秋分の日前後な事から彼岸花と名付けられたらしい。別名『死人花』や『地獄花』と呼ばれるほど不吉な花として扱われている。
「とにかく、まずは本当に彼岸花があるのかどうか確認しましょ!」
そう言って彼女は可愛らしい笑顔で保健室の扉を指さした。まだ疑問は多いが調べてみるに越したことはないよな。
「失礼します⋯⋯」
「あら、体調が優れないのかしら?」
中に入るやいなや僕達に気がついた保健の先生が問いかけてきた。今は放課後で、保健室を利用するとすれば大半は運動部である。しかし、僕達の格好は制服、怪しまれるのも無理ないだろう。
「ええ、少し倒れそうになってしまって⋯⋯そこを彼に助けて貰ったんです」
「まぁ、そうなのね。こっちにいらっしゃい、ベッドで横になるといいわ」
よくもまあ、そんな嘘が思いついたな。僕がそう感心していると彼女が僕の制服の袖を引っ張ってアイコンタクトを送ってきた。
先生がベッド付近のカーテンを引いた時に見えたのは窓側にある生徒用のスチール製机に供えられた一輪の彼岸花だった。その夕陽が当たって美しく輝いている真っ赤な彼岸花は不吉なんかではなく、むしろ縁起が良い花なのではないかと疑ってしまうほどに見目麗しい。
「私はとりあえず横になるからあとはお願いね!」
彼女はそう僕の耳元で囁いて、ベッドに向かった。全く、自分から解明しようとか言っておいて最終的には僕に任せるのかよ。
「少し寝ていればよくなるでしょう、ありがとうね少年」
今まで保健室なんて利用することもなかったから知らなかったけどウチの保健の先生って意外とおばさんだったんだな。
「いえいえ、それにしても窓際に生けてある花って⋯⋯」
「あー、あれね⋯⋯。彼岸花よ、お彼岸の時とかによく咲いている」
「何で保健室に彼岸花が?」
ストレートな僕の質問に一瞬だけ唖然となった先生は、すぐに平然を取り戻して返してきた。
「あれはね、約束の花なの。ある人が戻ってくるまであそこに生けて置いて欲しいって頼まれて」
「ある人?」
「それは言えないわね⋯⋯」
「そうですよね⋯⋯すみませんでした」
「いえ、いいのよ。普通なら気になるものね、保健室に縁起の悪い花なんて。でも本当はそんなことも無いのよ」
先生は眉をゆがめて、悲愴な表情でそう言った。これ以上ここに居るのも怪しまれると思った僕は、静かに保健室をあとにして帰ることにした。
◆ ◆ ◆
翌日、僕は昨日の事を忘れたかのように登校してきた。勿論覚えているがそれには理由がある。
「加賀くん! 昨日なんで私を置いて帰っちゃうのよ!」
来た。これを避ける為に平然としていたが、まさか話しかけてくるとは。当然だけど⋯⋯。
「悪い悪い⋯⋯。あー、えー、つい忘れちまってな⋯⋯」
本当酷いんだから、とそのムスッとした表情で顔を近ずけてくる。近い、だがその顔も可愛いな⋯⋯。
「まぁ、でも嘉永も僕に全部押し付けてきたじゃないか」
「それは⋯⋯今回は許してあげる!」
ふー、ひとまず解決だ。さて情報の共有をしておくか。
「あぁ、あと彼岸花についてなんだが⋯⋯」
「そんなことより、スマホ出して!」
そんなことよりって何だよ⋯⋯、自分が聞いて来いって言ったくせに。そう思いつつも机上に自分のスマホを置く。
「メアド交換しましょ?」
「なんだそんな事か⋯⋯」
「そんなことって何よ、重要な事でしょ?」
だったら彼岸花の話も重要じゃないのかよ⋯⋯。そう言えば、いつの間にか嘉永とこんなに話すことになるはず思ってもなかったな。
嘉永は僕のスマホを操り、彼女のアドレスを登録した。そして僕に返すやいなや、「よろしくね、加賀くん!」と満面の笑みで僕に言った。
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