彼岸花のキュリオシティ

ただの林檎

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プロローグ

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 君達は学校をどのように思っているのだろうか。単純に学び舎と思っている者も居れば、青春を送る為の舞台と考える者も居るはずだ。別に何が間違いで何が正解なんて事は無いと思う。しかし、陰湿な裏というのも存在する。最近では生徒間での虐めや教師による体罰やセクハラ行為が蔓延しているのも事実である。だがその反面、秀麗な裏も存在する。生徒や教師の淡く儚い物語である。僕は嘉永咲という人物とある謎を通して、この物語を知っていくこととなる。

 巣鴨地蔵商店街と書かれた赤色の錆び付いたアーチを通り、昼間でも賑わう大通りを抜け、日陰のせいで薄暗い小路に入り、誰も寄り付かないような喫茶店に足を踏み入れる。店内は僕以外の客は居らず、相変わらず穏やかな空間である。店主はいらっしゃいと言ってすぐにお冷の準備をし始めた。僕はいつも通り四人席に着き、メニューを手に取る。この席は窓から入る陽の光を浴びることの出来るお気に入りの席だ。
「はい、お冷ね。今日はどうする?」
 白いチョビ髭の似合う店主は、普段と同じくダークスーツに蝶ネクタイを身につけ、金縁のメガネを掛けている。僕はメニューを開いて、これ、とエスプレッソを指さした。
「あ、あとついでに⋯⋯」
 一緒にプリンも頼もうとしていたが、その後はチリンチリンという扉のカウベルに遮られた。どうやら彼女が来たようだ。
「いらっしゃい、嘉永ちゃん」
「こんにちは古橋さん。あら、早いのね! 待たせちゃったかしら?」
「いやさっき来たところだ」
 優しい微笑みを見せる彼女は僕の向かい側に座るやいなや、ホットコーヒーとティラミスを頼んだ。店主は厨房に戻り、僕と彼女は暫く無口になった。
「これ、彼岸花よね?」
 彼女は突然、窓際に置いてある彼岸花の鉢を指さしてそう言った。
「そういわれてみればそうだな」
「加賀くん、彼岸花の花言葉覚えてる?」
「あぁ、忘れるわけないだろ」
 何故なら彼岸花は僕、加賀琴谷と嘉永咲との出会いのきっかけと言っても過言ではないのだから。
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