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ナギの決意と言い訳の末
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ラオン国の破滅は、メランガの悪鬼と謳われたシュテルンが、ある時から自身の悪行に疑問を持つようになることから始まる。
それからシュテルンは、組織のボスであるアゴーレに逆らい、あっけなく消されてしまうのだ。
そして最強の兵士がいなくなったことで、メランガの統制は乱れ、最終的にアゴーレの魔力が暴発し、ラオン国は爆発で壊滅する。
つまりシュテルンが今のままでさえあれば、ラオン国は安泰なのではないかと、ナギはそう思ったのだ。
だがナギは、それを自分の力で何とかしなければという使命感を抱くようなタイプではない。
「……うん。クズ、さいこー」
——せっかく助かった命、このままラオン国の滅亡に巻き込まれて終わりなんてあり得ないし。よし、逃げよう!
ナギはとっととラオン国から逃亡することを決めた。
おとがいを掴んだままのシュテルンの手をやんわりと外させて、ナギは満面の笑みを浮かべた。
「えー、私はただの迷子デス。そんなわけで、このメランガから帰るけど、出口はどこかな?」
「そんなわけって何だ。面倒くさいがこのまま帰すわけにはいかんぞ」
しれっとシュテルンの横を通り過ぎようとしたナギは、Tシャツの首の後ろ部分を猫のように掴まれた。
「あ、やっぱり?」
「当たり前だ。もうちょっとマシな言い訳を考えろ」
「うう」
——言い訳って、ある意味本当なんだけど。でも「違う世界から来たので、何にも分かりませんー」とか言ったら、絶対面倒くさいことになりそうだし……。
「あー、実は職探しでここまで来たんだけど、私に合う仕事は無さそうなんで他を当たりたいのよ。だから、とりあえずメランガから出してよ」
「……ほう?」
シュテルンにぶら下げられたままのナギが発した適当な言い訳に、シュテルンが面白そうな顔をした。
「お前、何の仕事ができるんだ?」
「え? まあ料理は、そこそこかな。栄養管理も、まあ……」
語尾が消え入るような声になったのは、シュテルンがニヤリと笑ったのが見えたからだ。
——あ、なんか、嫌な予感が……。
「ほぅ。それは良かったな。ちょうど食堂の人員が足りないと聞いている。俺が紹介してやろう」
——ああ、やっぱり!
「いや、あの、で、で、で、でも」
「大して害のなさそうなガキのことをボスに報告するより、俺の目の届く厨房で働かせる方が、面倒くさくないしな」
「は? そんな理由っ?」
「ああん? お前、ボスに一瞬で消されるのと、娼館に売られるのと、食堂で働くの、どれが希望だ?」
「し、食堂で働かせていただきますっ!」
シュテルンの出した三択に、ナギは吊られたまま、ピーンと背筋を伸ばして即答した。この国から逃亡するという四つ目の選択肢は、はなから存在しなかったのだから仕方がない。
「おう、じゃあ早速食堂に案内してやろう。面倒くせえが特別サービスだ。ま、運動して、俺がハラ減っただけだけどな」
「うひゃあっ!」
次の瞬間、軽々とシュテルンの肩の上に乗せられたナギは、たまらず悲鳴をあげた。190センチ近くあるのではないかというシュテルンの肩の上から見る景色は、150センチのナギには高すぎる。
——この、クズッ! カスッ! 外道っ!
シュテルンにとって、ナギを食堂に連れていくのは完全にもののついでだ。心の中では悪態を吐きながらも、ナギは「あ、あ、ありがとう? ございます?」と、とりあえずの礼は伝えた。三択の中での最善、特別サービスとやらに、感謝の気持ちは示すべきだと思ったからだ。
——あー、もう。これからどうしようー。せっかく助かったと思ったのに、国ごと吹っ飛ぶとか、絶対に嫌なんですけどーっ!!
それからシュテルンは、組織のボスであるアゴーレに逆らい、あっけなく消されてしまうのだ。
そして最強の兵士がいなくなったことで、メランガの統制は乱れ、最終的にアゴーレの魔力が暴発し、ラオン国は爆発で壊滅する。
つまりシュテルンが今のままでさえあれば、ラオン国は安泰なのではないかと、ナギはそう思ったのだ。
だがナギは、それを自分の力で何とかしなければという使命感を抱くようなタイプではない。
「……うん。クズ、さいこー」
——せっかく助かった命、このままラオン国の滅亡に巻き込まれて終わりなんてあり得ないし。よし、逃げよう!
ナギはとっととラオン国から逃亡することを決めた。
おとがいを掴んだままのシュテルンの手をやんわりと外させて、ナギは満面の笑みを浮かべた。
「えー、私はただの迷子デス。そんなわけで、このメランガから帰るけど、出口はどこかな?」
「そんなわけって何だ。面倒くさいがこのまま帰すわけにはいかんぞ」
しれっとシュテルンの横を通り過ぎようとしたナギは、Tシャツの首の後ろ部分を猫のように掴まれた。
「あ、やっぱり?」
「当たり前だ。もうちょっとマシな言い訳を考えろ」
「うう」
——言い訳って、ある意味本当なんだけど。でも「違う世界から来たので、何にも分かりませんー」とか言ったら、絶対面倒くさいことになりそうだし……。
「あー、実は職探しでここまで来たんだけど、私に合う仕事は無さそうなんで他を当たりたいのよ。だから、とりあえずメランガから出してよ」
「……ほう?」
シュテルンにぶら下げられたままのナギが発した適当な言い訳に、シュテルンが面白そうな顔をした。
「お前、何の仕事ができるんだ?」
「え? まあ料理は、そこそこかな。栄養管理も、まあ……」
語尾が消え入るような声になったのは、シュテルンがニヤリと笑ったのが見えたからだ。
——あ、なんか、嫌な予感が……。
「ほぅ。それは良かったな。ちょうど食堂の人員が足りないと聞いている。俺が紹介してやろう」
——ああ、やっぱり!
「いや、あの、で、で、で、でも」
「大して害のなさそうなガキのことをボスに報告するより、俺の目の届く厨房で働かせる方が、面倒くさくないしな」
「は? そんな理由っ?」
「ああん? お前、ボスに一瞬で消されるのと、娼館に売られるのと、食堂で働くの、どれが希望だ?」
「し、食堂で働かせていただきますっ!」
シュテルンの出した三択に、ナギは吊られたまま、ピーンと背筋を伸ばして即答した。この国から逃亡するという四つ目の選択肢は、はなから存在しなかったのだから仕方がない。
「おう、じゃあ早速食堂に案内してやろう。面倒くせえが特別サービスだ。ま、運動して、俺がハラ減っただけだけどな」
「うひゃあっ!」
次の瞬間、軽々とシュテルンの肩の上に乗せられたナギは、たまらず悲鳴をあげた。190センチ近くあるのではないかというシュテルンの肩の上から見る景色は、150センチのナギには高すぎる。
——この、クズッ! カスッ! 外道っ!
シュテルンにとって、ナギを食堂に連れていくのは完全にもののついでだ。心の中では悪態を吐きながらも、ナギは「あ、あ、ありがとう? ございます?」と、とりあえずの礼は伝えた。三択の中での最善、特別サービスとやらに、感謝の気持ちは示すべきだと思ったからだ。
——あー、もう。これからどうしようー。せっかく助かったと思ったのに、国ごと吹っ飛ぶとか、絶対に嫌なんですけどーっ!!
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