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話はあとで
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シュテルンの部屋——いや正確には、そこはシュテルンの部屋のベッドの上だ。ナギが落ちてきた、始まりの場所。
「っ!?」
シュテルンの腕の中からベッドへと落とされたナギは、のし掛かるように上から顔を覗きこんできたシュテルンを、驚きの表情で見つめた。
シュテルンは気怠そうに靴と軍服の上下を脱ぐと、ベッドの下に投げ捨てる。相変わらず、軍服を脱ぐと上半身裸で、黒一色のボクサーパンツのみという姿に、ナギは視線のやり場に困ってしまった。
一足先に乱れた赤髪と、久しぶりに目の当たりにした鍛え抜かれたその身体に、ナギは動揺を隠せない。
——まさか、いきなり?
だがナギをさらに驚かせたのは、シュテルンが表情を緩めたからだ。シュテルンの翠の瞳は、こんなにもナギに安心感を与えるものだっただろうか。
それはあのゲームの中で、ナギが惹かれた穏やかな笑顔そのもので、ナギの心音は急激に跳ね上がった。
「どこもケガはないか?」
「な、ない、よ」
「ならいい」
「え? あ、あの。私はラオン国の間諜じゃ」
「分かっている。話は、あとで……いい」
「は?」
ごろんとナギの横に大きな身体を転がして、シュテルンはナギを後ろから抱き込んだ。
「シュ、シュテルン?」
——え?
「…………え、寝てる?」
ドキドキの無駄遣いをしていたことに気付いたナギは、へちゃりと身体の力を抜いた。スースーと大きな寝息が、ナギの髪の毛を擽っている。
「な、なんなの……」
何も状況が分かっていないのに、ただ連れて来られて、しかも連れてきた当人は、あっという間に寝てしまった。
ナギがラオン国の間諜ではないと言ったことには、「分かっている」と答えたが、それだけだ。
ナギがシュテルンの腕の中でもがきながら向きを変えると、逞しいというには度を越えている猛々しい胸筋に懐かしさを感じた。そっとそこに頬を寄せると、自身より高い体温が心地良い。
ナギが動いても全く起きる気配のないシュテルンが不思議だ。そこには警戒心のカケラもない。
「何なのかな、ほんとに」
シュテルンが眠りに落ちる前に見せたあの笑顔も、穏やかな声色も、反則だとナギは思う。激しくドキドキしている心臓は、なかなか落ち着いてはくれない。
シュテルン——メランガの大幹部の元に潜んでいたラオン国の密偵が、メランガから脱走した。ナギの立場は、そんな危ういものになっているはずじゃなかったのだろうか。
メランガに連れ戻されたナギが、なぜ今、シュテルンの腕の中でこんなにも安心しているのか不思議でならない。
——本当に、どういうことなのよ……。
「っ!?」
シュテルンの腕の中からベッドへと落とされたナギは、のし掛かるように上から顔を覗きこんできたシュテルンを、驚きの表情で見つめた。
シュテルンは気怠そうに靴と軍服の上下を脱ぐと、ベッドの下に投げ捨てる。相変わらず、軍服を脱ぐと上半身裸で、黒一色のボクサーパンツのみという姿に、ナギは視線のやり場に困ってしまった。
一足先に乱れた赤髪と、久しぶりに目の当たりにした鍛え抜かれたその身体に、ナギは動揺を隠せない。
——まさか、いきなり?
だがナギをさらに驚かせたのは、シュテルンが表情を緩めたからだ。シュテルンの翠の瞳は、こんなにもナギに安心感を与えるものだっただろうか。
それはあのゲームの中で、ナギが惹かれた穏やかな笑顔そのもので、ナギの心音は急激に跳ね上がった。
「どこもケガはないか?」
「な、ない、よ」
「ならいい」
「え? あ、あの。私はラオン国の間諜じゃ」
「分かっている。話は、あとで……いい」
「は?」
ごろんとナギの横に大きな身体を転がして、シュテルンはナギを後ろから抱き込んだ。
「シュ、シュテルン?」
——え?
「…………え、寝てる?」
ドキドキの無駄遣いをしていたことに気付いたナギは、へちゃりと身体の力を抜いた。スースーと大きな寝息が、ナギの髪の毛を擽っている。
「な、なんなの……」
何も状況が分かっていないのに、ただ連れて来られて、しかも連れてきた当人は、あっという間に寝てしまった。
ナギがラオン国の間諜ではないと言ったことには、「分かっている」と答えたが、それだけだ。
ナギがシュテルンの腕の中でもがきながら向きを変えると、逞しいというには度を越えている猛々しい胸筋に懐かしさを感じた。そっとそこに頬を寄せると、自身より高い体温が心地良い。
ナギが動いても全く起きる気配のないシュテルンが不思議だ。そこには警戒心のカケラもない。
「何なのかな、ほんとに」
シュテルンが眠りに落ちる前に見せたあの笑顔も、穏やかな声色も、反則だとナギは思う。激しくドキドキしている心臓は、なかなか落ち着いてはくれない。
シュテルン——メランガの大幹部の元に潜んでいたラオン国の密偵が、メランガから脱走した。ナギの立場は、そんな危ういものになっているはずじゃなかったのだろうか。
メランガに連れ戻されたナギが、なぜ今、シュテルンの腕の中でこんなにも安心しているのか不思議でならない。
——本当に、どういうことなのよ……。
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