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村の居候
教会に連行される
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年が明け、皆で揃って年齢が上がった。
個々の誕生日という感覚はないようで、新年に一歳上がるのだそう。
いわゆる数え年らしい。
誕生日は?と聞かれたら、詳しい日付が分からないので、この仕組みで良かった。
梅の花が咲く頃、村に教会の服を着た茶髪のハーフっぽい人物が訪れた。
「結界の魔法を付与している人物は誰だ?」
魔道具師のジロウが聞かれたので、そばにいた私は素直に手を上げる。
「私です。」
挙手した私を見て教会の人が驚く。
「なっ!・・・こんなに小さな子が付与をしているのか?」
ジロウににっこりと笑ってから、教会の人を見つめてこくりと頷く。
「間違いが無いか、この場で付与をしてみなさい。」
命じられたので、逆らわずに大人しく大きな魔石に付与をして、教会の人に確認してもらう。
付与の際は誤魔化すために口の中でごにょごにょ言った。無詠唱と知られるのは面倒な気がしたからね。
「『aestimatio』・・・確かに、結界の付与が付いていますね。」
教会の人が確認した魔石をジロウに渡す。
「では、そこの子供は教会に連れていきます。」
誘いでも、願いでもなく、決定事項のように言われる。
「え?今すぐですか?」
子供が反論すると思っていなかったようで、怪訝な顔をされたけれど、こちらは教会に用が無いわけだし、突然連れていかれても困る。
「もちろん今すぐです。」
「今日の分の用事を済ませてからでも構いませんか?」
何を言い出すんだ?とイラつきを見せ始める男性。
「このまま連れていきます。」
「え?誘拐ですか?」
「なっ!・・・。」
思ってもいない単語が出てきて絶句していたので、そのまま要求する。
「任意で行くのであれば、せめて用事を済ませて、家の人に出かけることを伝えないと、周りが混乱します。逃げるわけじゃないですし、少し待ってもらえますか?」
子供に『犯罪者扱いされたくなければ、要求を呑め』と無理矢理交渉された形になった教会の男性は、心の中でギリギリと歯ぎしりをしながら待つ事になった。
まずはいつもの魔石付与をさっさと終わらせ、ジロウから代金を受け取る。
浄化を先に終わらせていたタイミングで良かった。
「なんだか呼ばれているので行ってきますね。帰ってきたらまたお手伝いさせてください。」
笑顔で伝える。
「品物を待っている人もいるから、用が終わったら早く帰ってこいよ。頼りにしているからな。」
ジロウも『早く用を済ませてこの子を返せ。』と副音声付きで声を掛けてくれた。
ジロウの家からマサの所へ戻り、家の外で教会の人に待ってもらう。
部屋に荷物が無い事を確認し、鞄の中には先ほど受け取ったお金が財布に入っているだけの状態にして、マサとキヨに事情を話す。
玄関まで見送りに来たついでにマサも教会の人に釘を刺した。
「なんでこの子を連れて行かないといけないのかわからんが、明日は学び舎もあるし、子供が学ぶ時間を大人が奪っちゃいけないからなぁ。なるべく早く送ってきてほしい。あ、迎えに行った方がいいか?後ろから付いていった方がいいか?」
ここでも『やめろ』とか『連れていくな』ではなく、『さっさと返せ。』『ちゃんと返してくれるか見張りに行くか?』と言われ、教会の男性は不機嫌な顔をする。
葬儀の時は村人に神妙に頭を下げられるのが当たり前で、そんな対応ばかり経験しているのに、今回は副音声の乱発だものね。
矜持が傷ついちゃったかな?
マサとキヨの他にも、村人が何人も見送りに来ていたので、手を振って教会の魔動車に乗り込む。
初めての魔動車に車内をキョロキョロと見回す。
天井の素材を確かめるために押してみたり、椅子の素材を確かめたり、ベルトの素材を確かめたり忙しい。
「おい。」
「はい。なんでしょう?」
呼ばれたので返事をした。
「もう少し落ち着いて乗っていられないのか?」
ジトリと睨まれる。
「魔動車って初めてなので珍しいです。見たらダメでしたか?」
「大人しく乗っていろ。」
子供に大人しくしろと言うのは難しいんじゃないかなぁ?中身はおばさんだけど。
叔母が召喚された時代の魔動車はタイヤが細かったという。
馬車から進化する過程ではそうなのだろう。
今は少し太くなっているようだ。が、振動が結構ある。
浮動車の振動の無さを考えると・・・酔うな。
早く着かないかなぁ。寝た方が苦しくないかもしれない。
暫くして肩を叩かれる。
「おい、起きろ。おい!」
ん?誰?見た事があるような?・・・ここどこだっけ?
「あ!車に乗ってたんだった。」
「起きたなら出ろ。」
相変わらずの命令口調で車から降りるように言われた。
魔動車から出ると、見た事が無い建物が目の前にあった。
正確には遠目に見た事があるけれど、敷地に入った事が無い教会が目の前にある。
ほえーと見上げていると『こちらだ』と男の人が前を歩くので、付いて行った。
建物の中を左に曲がり、右に曲がり、扉を潜って進んで、階段を上がって、更に曲がってと帰り道がさっぱり分からなくなった頃、一つの扉の前で茶髪の男性が立ち止まりノックをする。
「入れ。」
中から声が聞こえたので、茶髪の男性が中へ入り、私にも入るように促された。
扉を閉められ、とりあえず扉の前に立つ。
部屋の奥に大きな机があり、そこで書き物をしていたと思われる初老の男性が茶髪の男性と異国語で話し出した。
うーん、外国語は分からないなぁ。
言葉も分からないし、する事も無いので、部屋の観察をする。
へぇ、暖炉があるんだなぁ。
魔道具が普及したら飾り扱いになってそうだけれど、どうしているんだろう?
灯りは間違いなく魔道具だね。
水差しも魔道具だろうなぁ。
建物は木材が多かった印象だけれど、ものによってはレンガも使われているんだなぁ。
キョロキョロ見ていると、話が終わったのか声がかかる。
「おい、ここへ来い。」
茶髪の人が睨みながら呼んでいる。
「あ、はい。」
よく分からないけれど出番らしいので返事をする。
机の人の前に立つと、初老の男性にじっと見られる。
何を言われるんだろう?と、首を傾げて待つ。
「おい、名前くらい言えないのか。」
茶髪の人がイラついたように言うので確認する。
「えっと・・・今のこの状況ってどういうことなのでしょう?」
分からない事は素直に聞かなきゃねという事で質問したら、青筋が出そうな勢いで茶髪の人が低い声で言う。
「はあー?」
思いっきり語尾が上がる感じで声を出された。チンピラか。
「知らないおじさんにいきなり連れて来られて、理由も分からなくて、ここに立っている。で、合ってますよね?」
村からここまでの状況を言葉にしてみた。
「おっおじっ・・・」
個人的には後半の部分が大事なのだけれど、茶髪の人はおじさんと言われて言葉に詰まっていた。
「で、ここに立って、名前を言うだけで帰ってもいいんですか?それとも何かのために名乗った方が良いのでしょうか?子供にはわからないので教えてください。」
私としては相手に喧嘩を売るつもりは全く無いのだけれど、任意の拉致みたいな状況に納得はしていない。
普通の子供だったらパニックで泣くんじゃないのこれ。
「お嬢さん、こちらのクレマンが失礼しました。私はフェリクス・マランと言います。貴女のお名前を教えてもらえますか?」
子供にもわかりやすいように丁寧にこの国の言葉で名乗ってくれたのは、椅子に腰かけている初老の男性だった。
昔は茶髪だったのだろうけれど、今は白髪交じりの髪の毛だ。
「しのと言います。初めまして。」
一緒に来た人はクレマンと言うのか。ペコリとお辞儀をしてフェリクスを見る。
「知りたいのはここに来た理由。だったね。」
「はい。突然連れて来られたので、早く帰らないと家の人が心配します。一緒に来たおじ・・・クレマンさんが『連れていく』としか言ってなかったので。」
横からグッっと言いたいことを飲み込んだような音が聞こえた。
個々の誕生日という感覚はないようで、新年に一歳上がるのだそう。
いわゆる数え年らしい。
誕生日は?と聞かれたら、詳しい日付が分からないので、この仕組みで良かった。
梅の花が咲く頃、村に教会の服を着た茶髪のハーフっぽい人物が訪れた。
「結界の魔法を付与している人物は誰だ?」
魔道具師のジロウが聞かれたので、そばにいた私は素直に手を上げる。
「私です。」
挙手した私を見て教会の人が驚く。
「なっ!・・・こんなに小さな子が付与をしているのか?」
ジロウににっこりと笑ってから、教会の人を見つめてこくりと頷く。
「間違いが無いか、この場で付与をしてみなさい。」
命じられたので、逆らわずに大人しく大きな魔石に付与をして、教会の人に確認してもらう。
付与の際は誤魔化すために口の中でごにょごにょ言った。無詠唱と知られるのは面倒な気がしたからね。
「『aestimatio』・・・確かに、結界の付与が付いていますね。」
教会の人が確認した魔石をジロウに渡す。
「では、そこの子供は教会に連れていきます。」
誘いでも、願いでもなく、決定事項のように言われる。
「え?今すぐですか?」
子供が反論すると思っていなかったようで、怪訝な顔をされたけれど、こちらは教会に用が無いわけだし、突然連れていかれても困る。
「もちろん今すぐです。」
「今日の分の用事を済ませてからでも構いませんか?」
何を言い出すんだ?とイラつきを見せ始める男性。
「このまま連れていきます。」
「え?誘拐ですか?」
「なっ!・・・。」
思ってもいない単語が出てきて絶句していたので、そのまま要求する。
「任意で行くのであれば、せめて用事を済ませて、家の人に出かけることを伝えないと、周りが混乱します。逃げるわけじゃないですし、少し待ってもらえますか?」
子供に『犯罪者扱いされたくなければ、要求を呑め』と無理矢理交渉された形になった教会の男性は、心の中でギリギリと歯ぎしりをしながら待つ事になった。
まずはいつもの魔石付与をさっさと終わらせ、ジロウから代金を受け取る。
浄化を先に終わらせていたタイミングで良かった。
「なんだか呼ばれているので行ってきますね。帰ってきたらまたお手伝いさせてください。」
笑顔で伝える。
「品物を待っている人もいるから、用が終わったら早く帰ってこいよ。頼りにしているからな。」
ジロウも『早く用を済ませてこの子を返せ。』と副音声付きで声を掛けてくれた。
ジロウの家からマサの所へ戻り、家の外で教会の人に待ってもらう。
部屋に荷物が無い事を確認し、鞄の中には先ほど受け取ったお金が財布に入っているだけの状態にして、マサとキヨに事情を話す。
玄関まで見送りに来たついでにマサも教会の人に釘を刺した。
「なんでこの子を連れて行かないといけないのかわからんが、明日は学び舎もあるし、子供が学ぶ時間を大人が奪っちゃいけないからなぁ。なるべく早く送ってきてほしい。あ、迎えに行った方がいいか?後ろから付いていった方がいいか?」
ここでも『やめろ』とか『連れていくな』ではなく、『さっさと返せ。』『ちゃんと返してくれるか見張りに行くか?』と言われ、教会の男性は不機嫌な顔をする。
葬儀の時は村人に神妙に頭を下げられるのが当たり前で、そんな対応ばかり経験しているのに、今回は副音声の乱発だものね。
矜持が傷ついちゃったかな?
マサとキヨの他にも、村人が何人も見送りに来ていたので、手を振って教会の魔動車に乗り込む。
初めての魔動車に車内をキョロキョロと見回す。
天井の素材を確かめるために押してみたり、椅子の素材を確かめたり、ベルトの素材を確かめたり忙しい。
「おい。」
「はい。なんでしょう?」
呼ばれたので返事をした。
「もう少し落ち着いて乗っていられないのか?」
ジトリと睨まれる。
「魔動車って初めてなので珍しいです。見たらダメでしたか?」
「大人しく乗っていろ。」
子供に大人しくしろと言うのは難しいんじゃないかなぁ?中身はおばさんだけど。
叔母が召喚された時代の魔動車はタイヤが細かったという。
馬車から進化する過程ではそうなのだろう。
今は少し太くなっているようだ。が、振動が結構ある。
浮動車の振動の無さを考えると・・・酔うな。
早く着かないかなぁ。寝た方が苦しくないかもしれない。
暫くして肩を叩かれる。
「おい、起きろ。おい!」
ん?誰?見た事があるような?・・・ここどこだっけ?
「あ!車に乗ってたんだった。」
「起きたなら出ろ。」
相変わらずの命令口調で車から降りるように言われた。
魔動車から出ると、見た事が無い建物が目の前にあった。
正確には遠目に見た事があるけれど、敷地に入った事が無い教会が目の前にある。
ほえーと見上げていると『こちらだ』と男の人が前を歩くので、付いて行った。
建物の中を左に曲がり、右に曲がり、扉を潜って進んで、階段を上がって、更に曲がってと帰り道がさっぱり分からなくなった頃、一つの扉の前で茶髪の男性が立ち止まりノックをする。
「入れ。」
中から声が聞こえたので、茶髪の男性が中へ入り、私にも入るように促された。
扉を閉められ、とりあえず扉の前に立つ。
部屋の奥に大きな机があり、そこで書き物をしていたと思われる初老の男性が茶髪の男性と異国語で話し出した。
うーん、外国語は分からないなぁ。
言葉も分からないし、する事も無いので、部屋の観察をする。
へぇ、暖炉があるんだなぁ。
魔道具が普及したら飾り扱いになってそうだけれど、どうしているんだろう?
灯りは間違いなく魔道具だね。
水差しも魔道具だろうなぁ。
建物は木材が多かった印象だけれど、ものによってはレンガも使われているんだなぁ。
キョロキョロ見ていると、話が終わったのか声がかかる。
「おい、ここへ来い。」
茶髪の人が睨みながら呼んでいる。
「あ、はい。」
よく分からないけれど出番らしいので返事をする。
机の人の前に立つと、初老の男性にじっと見られる。
何を言われるんだろう?と、首を傾げて待つ。
「おい、名前くらい言えないのか。」
茶髪の人がイラついたように言うので確認する。
「えっと・・・今のこの状況ってどういうことなのでしょう?」
分からない事は素直に聞かなきゃねという事で質問したら、青筋が出そうな勢いで茶髪の人が低い声で言う。
「はあー?」
思いっきり語尾が上がる感じで声を出された。チンピラか。
「知らないおじさんにいきなり連れて来られて、理由も分からなくて、ここに立っている。で、合ってますよね?」
村からここまでの状況を言葉にしてみた。
「おっおじっ・・・」
個人的には後半の部分が大事なのだけれど、茶髪の人はおじさんと言われて言葉に詰まっていた。
「で、ここに立って、名前を言うだけで帰ってもいいんですか?それとも何かのために名乗った方が良いのでしょうか?子供にはわからないので教えてください。」
私としては相手に喧嘩を売るつもりは全く無いのだけれど、任意の拉致みたいな状況に納得はしていない。
普通の子供だったらパニックで泣くんじゃないのこれ。
「お嬢さん、こちらのクレマンが失礼しました。私はフェリクス・マランと言います。貴女のお名前を教えてもらえますか?」
子供にもわかりやすいように丁寧にこの国の言葉で名乗ってくれたのは、椅子に腰かけている初老の男性だった。
昔は茶髪だったのだろうけれど、今は白髪交じりの髪の毛だ。
「しのと言います。初めまして。」
一緒に来た人はクレマンと言うのか。ペコリとお辞儀をしてフェリクスを見る。
「知りたいのはここに来た理由。だったね。」
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