うり坊、浄化で少女になった

秋の叶

文字の大きさ
61 / 80
大陸を移動する猪

次の村へ

しおりを挟む
 栞が結界魔法を覚えたことで、結界の魔道具を新たに作る必要はないけれど、今後の為に転移の魔道具は持っていた方が良いよね。と作ったものを所持してもらう。

 栞本人は紫外線から体をガードする結界がお気に入りらしい。
「以前の私には不可能だった場所もガードできるなんてっ!」
 うん、毎日浴びる紫外線って塗る場所も限定的になるから、人型結界を応用できるとかなり嬉しいよね。
 新陳代謝が活発な子供の私でも重宝してます。
 お互い元の年齢が年齢だから、将来どんな状態になるかあっさり想像できるものね。

「ねー。」
 と二人で話していたら、蓮も加わった。
「女性ばかりだと思わないで欲しいわ。男だってシミが気になるのよっ!」
 そうでした、男性用化粧品って平成になってから一気に出てきたのよね。 
 そこから颯も加わって以前の体でどの辺にシミが出来たかという話で盛り上がった後、四人とも今の姿が違うことを実感したのだった。

 はっ!子供の姿の私は意識しなかったけれど、他の三人は化粧品類が不足していて困っていたのではないかと思い至る。
 紫外線対策もだけれど、冬場は乾燥が辛かったでしょう?
「椿が結構植えられていたから、その種を料理や魔道具と交換してもらって油を搾って物質変化で加工したものを使ってるわよ。」
 蓮と栞がクリーム状の化粧品が入った容器を見せてくれた。
 颯は筒を見せて言う。
「へちまの化粧水もストックしているぞ。」

 皆さんいつの間に準備してたんですか。お手伝い出来なくてすみません。
 ちょっとへこんでいると、三人ともくすくす笑っている。
「人化した年齢が年齢だからな。しのが必要になったら渡そうって話をしてたんだが、思ったより早く気が付いてしまったな。」
「ごてごて塗るつもりはないけれど、基礎化粧品くらいは欲しいものね。」
「養蜂がそれなりに確立されつつあるから、蜂蜜が購入できるし、スイーツだけじゃなくて保湿にも使えるの。」
 颯、蓮、栞の順に話してくれる。

 私が学院に行ったり、山に行ったり、誘拐されている間に色々作ってたんだなぁ。
 四人で話をしながら付与の仕事をして、ソーギの颯の家に転移してジロウに納品する分を置いてきた。


 翌朝は部屋の中で昨夜の鍋の残りで作った雑炊を食べてから外へ出る。
 穴の中に魔獣が落ちていたようで、村人が喜んでいたので、強化魔法を伝えて捕獲や解体を頑張ってもらった。
 落ちていたというか、颯と蓮が追い込んだらしいよ。
 お陰で四人揃って能力アップです。

 私は午前中に生活魔法の使い方を伝え、颯達は作業小屋の中に機械を設置する。
 緑茶と紅茶は茶葉が同じでも、工程が違う。
 
 細かい手順を省いて言うと。
 緑茶は高温の蒸気で蒸して加熱で茶葉の酸化を止め、熱風をかけながら揉んで水分を飛ばし、成形して整えて乾燥する。
 
 紅茶は茶葉を平らに陰干しした後、茶葉をねじって揉み出し発酵を進め、温かくて湿度の高い室内で更に発酵させて乾燥する。

 温度管理や人の手で行う揉みの作業を魔道具化したら、かなり簡略化出来そう。
 村の人には手作業の方法と、魔道具を使った方法の両方を試して作ってもらい、報酬として両方の茶葉を受け取る事にしていた。

 私は山に山菜採りに行く許可を報酬として提示した。
 颯達は『やっぱり行くのか。』と村人から見えない位置で笑っていた。

 午後は茶畑で作業する人、新しい機械を使ってみる人、魔法の練習をする人、トイレ改革に勤しむ人、蓮から魔道具作りを学ぶ人、栞から新しく出来た紅茶の入れ方を習う人とそれぞれ動き出す。
 コンロの魔道具や冷暖房の魔道具は魔石と交換して、いくつか村に置いていく事になった。
 
 颯は少し離れた難所の道を整えてくると言って出て行き、私は山を浄化した後に山菜を求めて山に入った。
 時々魔獣に遭遇するものの、結界があるので事なきを得て山菜採りに没頭した。
 夕方に大きな籠に入った山菜を村の人にお裾分けし、自分達の分も確保して美味しくいただきました。
 満足ー。

 
 翌朝は畑を耕したり、道路を作る魔法を覚えてもらって、村の中や外に繋がる道が整った。
 そこまで見届けると、今度漢方を取りに来ると約束して颯達は去っていく。
 私も一緒に村を出ようかと思ったんだけどね、隣村の人が立ち寄って村の変化に驚き、村長やチェンに話を聞いた後、ぐるりと首を回して私を見て『うちの村にも来てくれ。』と拱手された。

 誘拐という強硬手段ではなく、ちゃんと招かれたら断れないよね。
 私は頷いてその男性と一緒に行く事にした。
 

 一緒に行く男性はウーという。
 ジョーカイまで出かけて村に帰る途中だったそうだ。
 道中、時々道が綺麗に整っている所があったり、休憩所として利用している建物が綺麗になっていたり、トイレに椅子が一つか二つ置かれているのを見かけて何事だ?と思っていたらしい。
 お茶の村に立ち寄れば村全体が新しくなっていたので、取り残されてはいけないと独断で村に招く事を決めたそうだ。

 以前の村の誰かが、外のトイレも改革し始めたっぽい。
 何も知らない人は道やトイレが変化するだけでも『何かが起きている。』と戸惑った事だろう。
 問題が起こるとすれば、新しいトイレの使い方が分からずに汚す人がいる事や、道も歩者分離と知らずに歩く人が出る可能性。
 その辺は気が付いた現地の人達で理解を進めていくしかないと思われる。
 少なくともジョーカイに行ったことがある人は理解が早い・・・はず。

 颯達に文字伝達の魔道具でメッセージを送ると、今回は誘拐じゃなかった事にほっとしつつ『気を付けて。』と書かれていた。
 今の所、子供の姿なのでよからぬことを考える人に会ったことが無いけれど、注意しておくに越した事は無いだろう。
 颯達はジョーカイでアヒルの毛を回収して戻ったようだ。
 無事に羽毛布団が増えるようで安心した。

 隣村までは四日かかるというので、道中はウーに生活魔法を覚えてもらう。
 手始めに洗浄、水を出す魔法、それから強化魔法だ。
 強化魔法を覚えると歩く速さがぐんと上がるから、今まで往復していた道のりが随分楽になる。
 初日の最初の休憩で覚えたら順調に歩けるようになって二日目には村に到着した。

 村では帰宅したウーが家族に出迎えられている。
 その様子を見ながら村の中を観察すると、今までの村とそれほど差が無い感じ。
 つまり寒村だ。しかし、竹林が見える。
 これ、名産の気配がするなぁ。

 家族の再会シーンが終わったら、私を簡単に紹介して村長の所へ行く。
 ここでも怪訝な顔をされる自己紹介をして、魔道具復旧から実行する。
 こちらの村の人達も問題なく生活魔法が使えるとわかってほっとした。
 一部は壊れたり廃棄された魔道具もあったようだけれど、洗浄・照明・水の魔道具が全て使える状態になり、道具が無くても頑張って言葉を覚えたら魔法が使えると知って笑顔が増える。

 村長やウーに竹の使い道を聞くと、かごや箸など日用品として加工しているそうだ。
 そこで、村の中で加工が得意な人を呼んで、竹の筒を利用した竹灯籠を作ってもらう。
 側面に穴を開けて図を描いたものに照明を入れると、幻想的な灯りが素敵なあの商品だ。
 魔獣の魔石を提供してもらって照明の魔法を付与し、加工が得意な人の中に魔道具師になれる人がいないか試してもらう。
 一人いたので、その人に仕上げを任せたら・・・いい感じの照明魔道具が出来上がった。
「うわぁーこれ素敵ですねぇ。」
「火を使わなくても明るくなるのか。」
 出来上がった品を唖然として見ているので、長さや穴を開ける位置を変えて模様にするとジョーカイでも売れるんじゃないかと提案する。
 初日に新しい名産品が出来上がった。

 おしゃれ照明魔道具に盛り上がる人を見ながら、魔獣対策も進める。
 今回は竹林を含めて村の中としたいので、境界がどの辺になるのか村長やウーが慎重に検討する。
 竹ってちょっと手入れを放置すると、あっという間に増えるから怖いけれど、素材として考えたら尽きる事が無い材料って遠慮なく作り続けられるのがいいよね。
 この世界は修復魔法があるから、一回購入したらおかわりってなかなか無いけれど、行き渡っていない地域はまだまだあるし、数年頑張ってから次の品を考えてもいいと思う。



-----------------------

いいねやお気に入り登録ありがとうございます。
とても励みになっています。

読んでくださる全ての方に感謝を。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします

未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢 十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう 好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ 傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する 今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

処理中です...