52 / 75
第42話
しおりを挟む目の前にある深い森のようなエルドリッジ司教の瞳が、急に熱を帯びたように見えた。
「この世界の人々は今、絶対的な救いを求めているのです!」
鬼気迫る司教の様子を間近で見て、思わず眉をひそめる。
「我等の崇拝する精霊様のお力はこの世界の創生より徐々に弱まりつつあるのです!近年では教会を、精霊様への信仰心を蔑ろにする輩まで現れる始末!!」
「痛っ」
いつの間にか強く掴まれた膝頭が軋む程、司教の手には力が籠めれらていて思わず声を上げた。
「愚か者共には!分からぬのです!目に見えるお姿でなければその有り難味も、尊さも!!」
「そんな時、貴方様が現れた!!闇の精霊様の化身、御使い様である事が一目で分かるその御姿……精霊様の思し召しであると、私はこの時の為にこの世に生を受けたのだと理解したのですっ!!」
涙を流し始めた司教にハウザー神父以上の異常さを感じる。
オレの返事など求めていない、この人の中ではそれこそ神か精霊からの啓示でもあったように思っているのかもしれない。
「神に、教祖のようになってオレに何をしろって言うんですか……」
もちろんこの男達に従う気など少しもないが、油断させなければ逃げ出せそうにない。
おそらくこの男達に連れられてこの船を下りる時しか、逃げ出して助けを求めるチャンスはない。少しでも理解を示す態度を取るべきだが、相手からの要求はとてもではないが素直には頷けない内容だ。
「なにも、貴方様はその御姿でいてくださるだけで信仰の対象と成ります」
「それで?世界征服でもするつもりですか?」
司教はこの言葉には少し驚いたようで形の良い眉を上げた。
「面白い事を仰る、貴方様がそうお望みなら国境さえも撤廃されましょう」
その言葉には今度はオレが驚く番だった、世界征服でもなければ一体何がしたいのだ。
「精霊様の、ひいては教会の権威が復活すれば国など小さな集団に過ぎません、それそこ各国の権力者など貴方様の一言で教徒によって速やかに排除されましょう!」
まるで子どもが将来の夢でも語るように、高らかに宣言する司教の様子に“狂っている”と口について出そうになった。
「それはあなたが……オレを使って権力を得たいだけだ」
一瞬鋭くなった司教の表情に、殴られるのではないかと咄嗟に縛られたままの両手を顔の位置まで上げたが、熱まで持ち始めていた膝からやっと手が離されただけだった。
立ち上がったエルドリッジ司教は狭い部屋の中をゆっくりと歩き始めた。
「ご存じですか、共和国は“漆黒”を持つ生き物を生きながら食すと、家が栄えると未だに信じられているような野蛮な国ですよ?」
生きたまま……耳を覆いたくなるような言葉に思わず顔を顰める。
「我々とここを出ましょう、貴方様はこのままエーネルフリート王国にいてもいずれは王族に目を付けられ、利用される運命なのです」
もう決定事項のように言い切る男に、反論出来ない。オレはまだこの国の一部しか見ていない。
「それとも……このまま下賤の者共の慰み者になりたいのですか?」
オレの背後に回った司教が怪しく背中を撫でた手を避けるように、椅子から立ち上がり距離を取った。
「でもオレは……子ども達を助けないと……」
もう関わらないでくれと続けようとした言葉に被せるようにして司教が言う。
「助ける?助けるとはこの船に乗る子ども達の事ですか?あんな人数助けたって何になるのですか?」
今まで黙っていたハウザー神父まで笑い出す。
「アハハハハハ!流石精霊の御使い様はお優しい!司教様!やはり彼が我々の神だ!!」
男2人分の異様な笑い声に包まれた部屋で、頭の中にまで笑い声が反響しているようだ。
「全ては貴方様のお望み通りに、貴方様が教会を導く事でひいてはより多くの迷える人々を救済する事となるのです。今夜移動をする人数など無いのも等しい、そういう話をしているのです」
悠然と理解の遅い生徒に合わせるように語り掛ける司教の張り付いた様な笑顔と、ぬらぬらとした紺色の髪と瞳だけは冷たい色をしていて、一瞬ここで頷けばどんなに楽かと思ってしまった。
「貴方様が望めば人売りも止みましょう、国を解体して戦争も起こらない完全なる平和を貴方様がもたらすのです、この世界に」
「オレは……」
何が正解なのか、分からなくなってきた。
もしかしたらこの男達の言う“神様”になった方が、後々沢山の人々を精神的にも肉体的にも救えるのかもしれない。いや、そもそもオレはそんな世界平和なんて大それた事はじめから望んでいたか?
狭い部屋で昏々と説法を聞いていたような気分になり、段々と相手の望むように思考がコントロールされていくような感覚を覚えて慌てて頭を振った。
そもそもオレはヒーローでも神様でもなんでもない、自分が手の届く範囲以上のものなど望んでいない、目の前で攫われていく子ども達だけを助けたいのだ。あの廃墟で顔を合わせた少年少女と、この町で出会ったルノだけ助けられたら満足なんだ。
完全なエゴだ、顔の分からないその他大勢の同じ境遇の人間は見捨てるのかと言われると、胸は痛むがオレに全てを救う力なんて無い。
「オレはただの人間だから、目の前で苦しんでいる人だけを助けたい」
助けるなんて言い方もおこがましいのかもしれない、もし助けた子ども達には身寄りもなくて、この先の人生それこそ他国に売られていた方が幸せな人生が待っているとしたら?そんな事は誰にも分からない。
誰にも分からないが選ぶ権利が本人達に与えられるべきだと思う、人生は勝手に他人に決めさせるべきではないからだ。
「オレはあなた達を救わない」
そうこの男達の要求に応じた時点で、オレは自分の人生を彼等の手に委ねてしまうのだ。
自分の中で明確に出せた答えに自然と口角を上げると、今まで比較的穏やかだった司教が顔を真っ赤にしてオレの首を両手で締め上げた。
「貴方を!神にするのも奴隷にするのも私の裁量だ!!ただアンタは“はい”と言えば良いんだよぉっ!!!」
「ぐうっ……!」
「エルドリッジ司教!首が!!御使い様が死んでしまいますっ!!!」
苦しくて目の前の司教の胸を叩くがビクともしない、半狂乱で取り乱すハウザー神父の声も届いてはいないようだ。
いよいよ視界が白んできてもう駄目だと頭の片隅で覚悟した時、突然首に回っていた手が外れて一気に息を吸い込めるようになった。
「げはっ!ぐっうっ……はぁ、はぁ……」
その場に崩れ落ちながら自身の首に手をやると、そこには何もなく確かに開放された事が分かった。
「あ……ああ、私は……」
耳に届いたハウザー神父の声にやっと頭を上げると、目の前には血を流して倒れる司教の姿と、石板のような血の付いた塊を手に青褪めるハウザー神父の姿があった。
「私は……なんという事を……」
重い音を立てて神父の手から滑り落ちた石板が、止めとばかりにエルドリッジ司教の身体の上に重なるが、ピクリとも反応は無い。
2人分の呼吸音以外、何の音も聞こえなくなった室内でハウザー神父は司教の……恐らく遺体の側を何度も歩き回った後、突然こちらに向き直った。その顔は全てを諦めたようでいて、瞳の奥だけは気味の悪い光がギラギラと光っていた。
「貴方を助ける為に……仕方がなかったのです」
血で染まった手で両手首を縄ごと握り込まれて、退路を塞がれた。
「私の、どうか……私だけの神になってください」
断われば視界の端で倒れている司教と同じように、石板で頭を割られるのだろうか。
「誰だって良いハズだ!あの騎士でなくとも!貴方を守ります、私にはその力がある!!」
ハウザー神父の勢いに思わず後退ると、すぐ近くに横たわる司教の法衣の一部を踏んで滑ってしまった。その場で倒れるとそのまま神父が馬乗りに乗り上げてきて、かつての光景が思い出される。
声を上げようと咄嗟に開いた口を塞がれて、何か生温い物が口内へ侵入してくるのを感じて初めて神父の顔が至近距離に迫っていた事に気が付いた。
「んっぐ!」
顔が固定されて動かせない、入って来た舌を噛み切って良いのだろうかと考えた次の瞬間、金属音と共に男が器用に下履きを脱ぎ始めたのが視界に入り、どんどん冷静でいられなくなる。
すぐ横には死体、目の前には息を荒くした神父と、血の臭いがどんどん濃くなってきている。
滅茶苦茶に足と手を振り回して抵抗していると、次の瞬間重い足音と共に扉が開かれる音がした。
やっと顔を離したハウザー神父の顔を下から睨み上げながら扉の方を見ると、壁に体重を預けるようにして立っている男がいる事に気が付いた。赤道色の髪と髭の大男で、ニヤついた顔で編み込んだ髭を撫でている。
「おーい、神父さんよぉ迎えが来たぞ」
間延びしたような野太い声は、この部屋で気が付いた時にオレに声を掛けた男と同じ物だった。
「おっ……遅い!遅過ぎる!!もっと早くキサマが現れていれば、私は司教を……こんな事にはっ!」
ヒステリックに声を上げたハウザー神父に、オレは驚かされたが赤毛の大男は慣れた様子で頷いて肩をすくめた。
「死体ならついでだ、いくらでも引き取ってやるよ魚共のいい餌だ」
「絶対に!口外するなよ!!分かっているだろうな!?」
オレの上から神父が退いて大男の方に向かって歩いて行く、やっとまともに息が出来るようになった。胃の中の物を全て吐き出したいくらい気分は最悪で、何度もえずいた。
何事か話し合う男達の声が途切れ途切れに聞こえたが、どうやら神父は正式に司教の遺体の処分を大男に依頼したようだ。
「心配すんなよ、金さえもらえりゃなんだって良いんだ」
こちらへ近付いて来た大男が片手でオレの胴体を抱えると、軽々と肩まで担ぎ上げそのまま両足を固定されてしまい抵抗する暇が少しもなかった。
部屋から出る大男の後ろに従うようにハウザー神父が続いて扉を抜けた。
視界が逆さまで大男の背中側に担がれているので、分かり辛いが先程の客室を出て天井の低い船内を少し歩くと段差の大きな階段に差し掛かった。不安定に担がれたまま進む道がこんなにも怖いとは思わなかったが、少しでも振り落とされないようにと動かないように勉めた。
もうひとつ大きな階段を上がると、強い風が頬に当たり屋根の無い船上へ出て来た事が分かった。風は冷たく波の飛沫か小雨なのかは分からないが、風に混じって小さな水飛沫が飛んでいる。
乱暴にその場に落とされるようにして開放されたオレは、そのまま大男によって太腿を踏み付けられ手首の縄に更に紐を掛けられてから、その紐の先をハウザー神父に引き渡されてしまった。
さながら犬のリードのような物だろうか、首に付いていないだけマシかもしれないが自分が罪人にでもなったような気分になる。
幸い船はまだ出航前のようで甲板を見渡すと、大きな帆が畳まれているのが見える。薄暗く分かりにくいが確かに記憶している青い色の帆のようで、余程似ている船でなければ団長さんの予想は確かに当たっていた事が分かった。
船の側面に這わせた梯子を使って、何人も人が上がって来るのが見えた。
船員ともまた違う雰囲気の男達と白い装束の男性が複数人いて、その男達に囲まれるようにして小さな子ども達が梯子を上がって来ていた。その集団の中にいた白い服の細身の人物がハウザー神父の姿を見付けて真っ直ぐにこちらに近付いて来た。
「お迎えが遅くなり失礼いたしました」
「例の金はどうした、もうここに用はないぞ」
オレに立つように促がしながら捲くし立てるように言ったハウザー神父に、その白い装束の青年は明らかに戸惑った様子だ。
「支払いは滞りなく、あのエルドリッジ司教はどちらに……?」
辺りを見回す青年にハウザー神父は今度こそ面倒臭そうに言い放つ。
「司教は精霊様の元に還られた、早く行くぞ」
「そんな……!どうして……」
短い悲鳴を上げて天を仰ぐ青年を置いて、ハウザー神父は梯子で上がって来たおそらくは仲間の元へ向かおうとしている。紐ごと手を引かれオレも歩かされそうになるが、青年の様子に咄嗟に口を開いた。
「エルドリッジ司教は、殺されました!ハウザー神父に!!」
「なにをっ!!」
次の瞬間オレはハウザー神父に至近距離から顔を殴られて、思わずその場に倒れ込んだ。
「ああ!すみません私とした事が!!申し訳ありませんっ!」
自分で殴ったのに膝を折りオレの身体に触れる神父に顔を歪めると、神父の向こうに立っていた青年が剣を振り上げるのが見えた。
「うわぁぁぁ!!!」
青年の声と共に勢いよく降ろされた剣が近くにあったランプの明かりを反射して閃くと、瞬間振り返ったハウザー神父が紙一重でその切っ先を躱した。
「なにをするっ!!」
「貴方は、どうせ私も切り捨てるんだ!あんなに良い方を!なんという事を!!」
涙を流しながら神父に掴み掛かる青年と、ハウザー神父が揉み合いになりお互いに上に下にとなりながら甲板の上を転がっていく。
こちらの騒ぎに気が付いた髭面の大男がうんざりしたようにこちらに数歩近付いて来た所で、階段の下から激しい物音と鋭い叫び声が響いた。
「船長―!!!」
「今度はなんだ!」
「敵襲ですっ!!」
その叫び声を合図にその場にいた全ての人間が一斉に武器を手にした。
オレも少しでも逃げ出しやすいように静かに立ち上がり船の壁に背を着けた。
11
あなたにおすすめの小説
2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。
ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。
異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。
二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。
しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。
再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
俺の婚約者は小さな王子さま?!
大和 柊霞
BL
「私の婚約者になってくれますか?」
そう言い放ったのはこの国の王子さま?!
パミュロン王国で次期国王候補の第1王子アルミスから婚約を求められたのは、公爵家三男のカイルア。公爵家でありながら、長男のように頭脳明晰でもなければ次男のように多才でもないカイルアは自由気ままに生きてかれこれ22年。
今の暮らしは性に合っているし、何不自由ない!人生は穏やかに過ごすべきだ!と思っていたのに、まさか10歳の王子に婚約を申し込まれてしまったのだ。
「年の差12歳なんてありえない!」
初めはそんな事を考えていたカイルアだったがアルミス王子と過ごすうちに少しづつ考えが変わっていき……。
※不定期更新です
美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。
竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。
男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。
家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。
前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。
前世の記憶チートで優秀なことも。
だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。
愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。
後宮に咲く美しき寵后
不来方しい
BL
フィリの故郷であるルロ国では、真っ白な肌に金色の髪を持つ人間は魔女の生まれ変わりだと伝えられていた。生まれた者は民衆の前で焚刑に処し、こうして人々の安心を得る一方、犠牲を当たり前のように受け入れている国だった。
フィリもまた雪のような肌と金髪を持って生まれ、来るべきときに備え、地下の部屋で閉じ込められて生活をしていた。第四王子として生まれても、処刑への道は免れられなかった。
そんなフィリの元に、縁談の話が舞い込んでくる。
縁談の相手はファルーハ王国の第三王子であるヴァシリス。顔も名前も知らない王子との結婚の話は、同性婚に偏見があるルロ国にとって、フィリはさらに肩身の狭い思いをする。
ファルーハ王国は砂漠地帯にある王国であり、雪国であるルロ国とは真逆だ。縁談などフィリ信じず、ついにそのときが来たと諦めの境地に至った。
情報がほとんどないファルーハ王国へ向かうと、国を上げて祝福する民衆に触れ、処刑場へ向かうものだとばかり思っていたフィリは困惑する。
狼狽するフィリの元へ現れたのは、浅黒い肌と黒髪、サファイア色の瞳を持つヴァシリスだった。彼はまだ成人にはあと二年早い子供であり、未成年と婚姻の儀を行うのかと不意を突かれた。
縁談の持ち込みから婚儀までが早く、しかも相手は未成年。そこには第二王子であるジャミルの思惑が隠されていて──。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。
かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる