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全然痩せないの。
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「全然痩せないの。」
彼女は涙をこぼしながら言った。
「甘いものは全く食べていないの。」
美しい指を銀のスプーンに絡め、卵とバターライスを震える口に運ぶ。
「今お呼ばれした分だけ!ほんの小さなケーキだけよ。」
空になった五号のケーキボックスは几帳面な彼女らしく行儀よく折り畳まれている。
「今度のとこでは食事は全くでなかったの。」
すっかり貯まったケータリングのポイントカード見つめ、彼女は悲しげだ。
「そうなんだ、頑張ってるんだね。」
僕はコーヒーを受け取りながらそう答える。
「ほんとに全然痩せないの…もう嫌になる。」
ミルクとスティックシュガーを鞄に詰めながら彼女は呟いた。
「君も何か飲む?」
メニューを開くと、美しく彩られた指が
スッ…とバターチーズカレーを差す。僕は店員を呼んだ。
テーブルにカレーが並ぶと、僕は本題を切り出す。
「今度はどこで…どれくらいの期間?」
「……それは言えない。」
彼女のダイエット計画はこの国の重要な国家プロジェクトであり、その具体的な内容は軍事機密とされる。
「もうダイエットはやめて…僕と暮らしてほしい。」
「ダメなの…この任務は私が痩せるまで終われないの…そうじゃないと意味がない…だから…」
「こんなの…直ぐに済む筈だったんじゃないのか?国防軍部はいったい何をやっているんだ!」
「動くな!! 」
大柄な男達が一斉に店になだれ込み、彼女を拘束する。
「くそ!この短時間にどれだけカロリーを摂取したんだ。」
「…ここの残骸だけで約8000カロリーは確実と思われます。」
「くっ…効率良く店一番の高カロリーメニューを選んで…。」
「はっ!デブなめてんの?そんな事!本能で朝飯前なのよ!」
彼女は国のセキュリティテスターとして国防の要を担っている。
彼女のカロリーを求める本能はアサシン級だ。
そこに国が目をつけた。
軍部は彼女を監視対象とし、カロリー摂取と生活のコントロールを試みている。
軍の監視が完璧であり、危険物の持ち込みや外部との接触が完全に管理出来ているならば彼女は痩せていく筈だ
彼女のダイエット成功は、テロリズムに対する国防力の証となる。
「蟻も抜け出せない要塞だなんて思い上がり甚だしい!!こんな巨体の脱出を許すなんて恥ずかしくないの!」
「…申し訳ありません!」
「まあ今回は早く見つけられたわね。でもこれがテロリストだとしたら今頃町は火の海でもおかしくないのよ。」
「そもそもケータリングが届いてしまっている時点で要塞としてはアウトじゃないんですか?!真面目にやって下さい!」
「ケータリングっ?!…なぜだ…一体どこからっ…。」
彼女のダイエットは未だに成功せず。
国は危険にさらされ続けている。
連行され店から出る間際、
彼女は僕を振り返りじっと目を見つめた。
「私、真剣にこの国を守りたいの…私が痩せる日まで待っててくれる?」
涙で揺れる瞳はとても強く、そして美しかった。
彼女は涙をこぼしながら言った。
「甘いものは全く食べていないの。」
美しい指を銀のスプーンに絡め、卵とバターライスを震える口に運ぶ。
「今お呼ばれした分だけ!ほんの小さなケーキだけよ。」
空になった五号のケーキボックスは几帳面な彼女らしく行儀よく折り畳まれている。
「今度のとこでは食事は全くでなかったの。」
すっかり貯まったケータリングのポイントカード見つめ、彼女は悲しげだ。
「そうなんだ、頑張ってるんだね。」
僕はコーヒーを受け取りながらそう答える。
「ほんとに全然痩せないの…もう嫌になる。」
ミルクとスティックシュガーを鞄に詰めながら彼女は呟いた。
「君も何か飲む?」
メニューを開くと、美しく彩られた指が
スッ…とバターチーズカレーを差す。僕は店員を呼んだ。
テーブルにカレーが並ぶと、僕は本題を切り出す。
「今度はどこで…どれくらいの期間?」
「……それは言えない。」
彼女のダイエット計画はこの国の重要な国家プロジェクトであり、その具体的な内容は軍事機密とされる。
「もうダイエットはやめて…僕と暮らしてほしい。」
「ダメなの…この任務は私が痩せるまで終われないの…そうじゃないと意味がない…だから…」
「こんなの…直ぐに済む筈だったんじゃないのか?国防軍部はいったい何をやっているんだ!」
「動くな!! 」
大柄な男達が一斉に店になだれ込み、彼女を拘束する。
「くそ!この短時間にどれだけカロリーを摂取したんだ。」
「…ここの残骸だけで約8000カロリーは確実と思われます。」
「くっ…効率良く店一番の高カロリーメニューを選んで…。」
「はっ!デブなめてんの?そんな事!本能で朝飯前なのよ!」
彼女は国のセキュリティテスターとして国防の要を担っている。
彼女のカロリーを求める本能はアサシン級だ。
そこに国が目をつけた。
軍部は彼女を監視対象とし、カロリー摂取と生活のコントロールを試みている。
軍の監視が完璧であり、危険物の持ち込みや外部との接触が完全に管理出来ているならば彼女は痩せていく筈だ
彼女のダイエット成功は、テロリズムに対する国防力の証となる。
「蟻も抜け出せない要塞だなんて思い上がり甚だしい!!こんな巨体の脱出を許すなんて恥ずかしくないの!」
「…申し訳ありません!」
「まあ今回は早く見つけられたわね。でもこれがテロリストだとしたら今頃町は火の海でもおかしくないのよ。」
「そもそもケータリングが届いてしまっている時点で要塞としてはアウトじゃないんですか?!真面目にやって下さい!」
「ケータリングっ?!…なぜだ…一体どこからっ…。」
彼女のダイエットは未だに成功せず。
国は危険にさらされ続けている。
連行され店から出る間際、
彼女は僕を振り返りじっと目を見つめた。
「私、真剣にこの国を守りたいの…私が痩せる日まで待っててくれる?」
涙で揺れる瞳はとても強く、そして美しかった。
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