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「これだけ花を止められていたんです。重要な場では切り抜けられます。父上、婚約解消の理由はなくなります」
「う……む……まさかこんなものを開発していたとはな……」
これまでにない花咲きの魔体質。
王城の魔法使いたちでも解明まで十年はかかるだろうと読んでいた。
それではネモフィラは結婚の適齢を逃してしまうし、ニコラウスは王となるための経験を積まなければならない重要な時期の枷となるから、婚約解消が決まったのに。
ニコラウスは、ありえない期間で完成させてしまった。
驚く三人の前で、彼は口端をあげる。
「これで、私とネモフィラの婚約解消はなかったことと言うことで宜しいですね?」
「……はぁ」
ひどく疲れた様子で項垂れた王は、ため息を吐きながら頷いた。
王の頭にも肩にもネモフィラの花がのっている。
「あぁ、花の放出を確実に止められるのならば、ネモフィラとニコラウスが共にいる弊害はない。ただし副作用についての研究はもっと詰めるように。……こうなった以上、彼女が次期王妃になることに反対などあるはずがない」
「弊害はあるでしょう? わたくしが相手でなければ、その魔法薬も必要ありませんし」
「ネモフィラは私と結婚したくないの? 」
「したいです! でも、枷にはなりたくないのです」
ニコラウスは複雑そうに息を吐いたあと、説明してくれる。
「花咲きの魔体質が制御できる以上はもう、ネモフィラの人望と教養、そして私たちの魔力から生み出された花や植物から作られる薬の価値からして、国の利益の方が圧倒的に大きいんだ」
「そしてその利益は、ネモフィラが相手でなければ生み出せないものだ」
「お父様」
ニコラウスの説明を補足した父ジェイムの顔は、晴れ晴れとしていた。
ネモフィラはいますぐジェイムの胸に飛び込みたい気分になった。
しかし腰に回されたニコラウスの腕が離れることを赦してはくれなかった。
(さっきのキスといい、家族の前でこんなにくっ付いているままなのは恥ずかしいのだけど)
そわそわとするネモフィラをよそに、国王がニコラウスに向かって口を開く。
「ニコラウス。お前の為を思ってのことだったのだ」
「分かってますよ、父上。感謝いたします」
「ネモフィラも、すまなかった」
「いいえ」
部屋に腰まで積もった花を片づけてもらう人をよぶ為、テーブルに積もった花の中に手を突っ込んでベルを持った国王陛下は、空いた方の手で追い出すふうにしっしと手を降る。
下がれという合図だ。
「もう婚約解消などと二度と言わん」
「父上の判断は間違っていませんよ。――私が、どうしても諦められなかっただけです」
* * * * *
部屋をだされたあと、ネモフィラはニコラウスの私室へと連れられた。
今日で終わりだと思っていた関係が続くだなんて、まだ夢のようでふわふわした気分だ。
「ニコラウス様。本当にこんなにあっさりと薬ができてしまうものなのですか?」
「あっさりとじゃないよ。そうとう頑張ったよ?」
「でも花咲の魔体質のための薬の研究を進めていたなんて、わたくしそんなの聞いておりませんわ」
「そりゃあ……できればこう……さらっと格好よく、あっさりした感じで解決してみせて「ニコラウス様すごいです! 格好いいですわ!」ってネモフィラに褒めて欲しかったからね。黙ってた」
「まぁ……」
ニコラウスが黙っていた理由の子供っぽさに、ネモフィラはぽかんとしてしまう。
「それでも婚約解消が内々で決定して話しを出された時に話そうとはしたんだ。しかしネモフィラは私を避けるようになっていて、声をかけにくくなっていた……」
とても静かな声に、はっとした。
見つめた彼は口端をあげつつも、どこか寂しそうな表情で、ネモフィラの髪を一房もちあげ、クルリと指で弄ぶ。
「……そうなるとどんどん不安になってきた。政略結婚だから私の傍にいてくれたのか? 解消を知った途端に離れられるような、簡単な想いだった? そもそも想い合っていたのは勘違いで、これまで聞いていた言葉はただの政略結婚の相手のご機嫌取りのためのもので、その必要がなくなったら顔もあわせたくないくらいに本当は嫌われていたのだろうか、と」
「違います! ニコラウス様が嫌いだから避けたのではないのです!」
「あぁ、もうわかった。分かってるよ。でも……想像すると怖くなって、無理やり捕まえて話をするのに臆病になってしまったんだ」
避けたのは、ネモフィラが最初だ。
ネモフィラの方がよっぽど臆病で、逃げてばかりいた。
ニコラウスの婚約者でなくなることが怖くて、目を背けるようになった。
なによりも一番最初にニコラウスへ向き合わなければならなかったのに、逃げた。
終わりを告げられるのが怖くて、距離をあけた。
そんな態度だったからニコラウスも不安になって、ネモフィラと一歩距離をとるしかできなくなった。
(わたくし、まったく、周りが見えていなかったわ)
「ニコラウス様、本当に申し訳ございませんでした。わたくしの方も、もう嫌われたのだと思っておりました」
「なぜそんなことを思ったんだ」
「だって、ニコラウス様、同じ研究会の令嬢と仲良くなさってたではありませんか。わたくしよりもご趣味が合いそうで、とても仲良く歓談してらっしゃる場も見ました。学園で噂にもなってらっしゃったし……」
これまで特定の女性と仲良くすることのなかった彼が、休み時間ごとにクラスメイトで同じ研究会の女性と一緒に過ごしていた。
しかもニコラウスの方が付きまとってっている風だとまで噂を聞かされた。
ただの噂ならまだしも、実際に仲睦まじく寄りそっている場面を見たものだから、どうしても不安になってしまうのだ。
「いえ……つまりは、おそらく花咲きの魔体質を止める薬の開発に協力していただいていたのですよね」
「その通りだ。彼女の知識が必要だっただけだ。しかし彼女は本当に凄いな、専門の研究者たちが不可能だとするものを、あっさりと解決してくれたのだから」
ニコラウスいわく少し魔体質について話しただけで、一瞬で効きそうな鉱石や薬草、組み合わせや作り方などを諳んじてくれたらしい。
何度も何度も繰り返し質問しにいって、これがダメだったといえば他の解決法があっさり口から出て来たりするそうだ。
「学生の身であるが、もう既に国一番どころか世界で一・二を担う研究者だぞあれは」
「本当に凄いお方でしたのね。あの、でも……いつもは必要があって女性と過ごす時間が出来るときは事前に報告くださってました」
どうして今回に限って、理由を教えてくれなかったのだろう。
ネモフィラにまで噂が回ってきたくらいなのだから、ニコラウスも周りからどう見られているかは気がついていたはずなのに。
「それはネモフィラがわるい」
「私が? ええと……何かしてしまいましたか?」」
「婚約解消の話を私に一切相談せずに避けたんだ。うん、ネモフィラがわるい」
「まぁ……」
ぷいっと顔を背けたニコラウス。
金色の髪のすき間から赤い耳が覗いている。
(つまり、拗ねていたということ?)
ネモフィラが婚約解消の話を親からされたことをニコラウスに一番に相談しなかったから。
頼ってくれなかったから、寂しくて悔しくて拗ねてしまった、と。
父から時期がくるまでニコラウスには話さないようにと言われていた、なんてただの言い訳でしかない。
今回ばかりは親や国王のいう事を聞く良い子ではなくなって、言いつけを破ってでも相談してほしかったと、そういう事なのだろう。
「……だから、周囲に勘違いされると分かっても弁明しなかった」
だから拗ねてしまって、わざと周囲への噂をそのままにし、誰に聞かれても訂正をしなかった。
とても子供っぽい。でもそこも可愛いと、ネモフィラは思ってしまう。
完璧な王子様ではないこういう欠点が愛おしいと感じるあたり、やはりとことんまで惚れてしまっているのだろう。
「すみませんでした。わたくし、ニコラウス様からの決定的な別れの言葉を受けるのが怖くて、逃げておりました」
「え?」
ニコラウスが驚いたみたいな顔をしてこっちを見た。
「てっきり……私が、頼りないから相談しなかったのだと思っていた。それか本当は望まない政略結婚だったからだと」
「そんなわけありません!」
「そうか……そうだったのか」
噛みしめるみたいに呟いてから、とろりとほほ笑む。
それは彼に恋するネモフィラを殺人的にときめかせる優しい笑顔。
「っ……反則ですわ」
ネモフィラはかかとを浮かして身を乗り出し、ちゅっと音をならして唇を奪う。
一瞬のことに目を見開き固まるニコラウスに、思わず笑いがもれた。
「ニコラウス様、可愛らしすぎます」
「君からのその褒め言葉は初めてだな……」
しばしして持ち直したらしい彼からするりと手が伸びて来て、ネモフィラの頬が包まれる。
指先に肌をさすられ、さらに彼の呼吸が感じられるほどに顔を寄せられた。
ぞくぞくとした感覚が背中をはって、感覚がしびれていく。
揺れる瞳と、熱い吐息がさらに近付いてくる。
耳元に低い声が甘く響く。
「君が必要なんだ。傍にいてくれ。私を諦めないで」
「……はい。もう絶対に離しません、諦めません。どうか末永くお傍においてくださいませ」
今度は彼から返されるのだろう口づけを受け取るため、ネモフィラはゆっくりと瞼をふせる。
そうして愛しいひとの温かな胸の中へと、安心して身を任せた。
重ねられた柔らかな唇への感触に心が満たされていると、近くでポンッと小さく音がなった。
うっすらと瞳を開けると、大好きな人の背後でひらりひらり。
青く美しいネモフィラの花が、いくつも舞っていた――……。
「う……む……まさかこんなものを開発していたとはな……」
これまでにない花咲きの魔体質。
王城の魔法使いたちでも解明まで十年はかかるだろうと読んでいた。
それではネモフィラは結婚の適齢を逃してしまうし、ニコラウスは王となるための経験を積まなければならない重要な時期の枷となるから、婚約解消が決まったのに。
ニコラウスは、ありえない期間で完成させてしまった。
驚く三人の前で、彼は口端をあげる。
「これで、私とネモフィラの婚約解消はなかったことと言うことで宜しいですね?」
「……はぁ」
ひどく疲れた様子で項垂れた王は、ため息を吐きながら頷いた。
王の頭にも肩にもネモフィラの花がのっている。
「あぁ、花の放出を確実に止められるのならば、ネモフィラとニコラウスが共にいる弊害はない。ただし副作用についての研究はもっと詰めるように。……こうなった以上、彼女が次期王妃になることに反対などあるはずがない」
「弊害はあるでしょう? わたくしが相手でなければ、その魔法薬も必要ありませんし」
「ネモフィラは私と結婚したくないの? 」
「したいです! でも、枷にはなりたくないのです」
ニコラウスは複雑そうに息を吐いたあと、説明してくれる。
「花咲きの魔体質が制御できる以上はもう、ネモフィラの人望と教養、そして私たちの魔力から生み出された花や植物から作られる薬の価値からして、国の利益の方が圧倒的に大きいんだ」
「そしてその利益は、ネモフィラが相手でなければ生み出せないものだ」
「お父様」
ニコラウスの説明を補足した父ジェイムの顔は、晴れ晴れとしていた。
ネモフィラはいますぐジェイムの胸に飛び込みたい気分になった。
しかし腰に回されたニコラウスの腕が離れることを赦してはくれなかった。
(さっきのキスといい、家族の前でこんなにくっ付いているままなのは恥ずかしいのだけど)
そわそわとするネモフィラをよそに、国王がニコラウスに向かって口を開く。
「ニコラウス。お前の為を思ってのことだったのだ」
「分かってますよ、父上。感謝いたします」
「ネモフィラも、すまなかった」
「いいえ」
部屋に腰まで積もった花を片づけてもらう人をよぶ為、テーブルに積もった花の中に手を突っ込んでベルを持った国王陛下は、空いた方の手で追い出すふうにしっしと手を降る。
下がれという合図だ。
「もう婚約解消などと二度と言わん」
「父上の判断は間違っていませんよ。――私が、どうしても諦められなかっただけです」
* * * * *
部屋をだされたあと、ネモフィラはニコラウスの私室へと連れられた。
今日で終わりだと思っていた関係が続くだなんて、まだ夢のようでふわふわした気分だ。
「ニコラウス様。本当にこんなにあっさりと薬ができてしまうものなのですか?」
「あっさりとじゃないよ。そうとう頑張ったよ?」
「でも花咲の魔体質のための薬の研究を進めていたなんて、わたくしそんなの聞いておりませんわ」
「そりゃあ……できればこう……さらっと格好よく、あっさりした感じで解決してみせて「ニコラウス様すごいです! 格好いいですわ!」ってネモフィラに褒めて欲しかったからね。黙ってた」
「まぁ……」
ニコラウスが黙っていた理由の子供っぽさに、ネモフィラはぽかんとしてしまう。
「それでも婚約解消が内々で決定して話しを出された時に話そうとはしたんだ。しかしネモフィラは私を避けるようになっていて、声をかけにくくなっていた……」
とても静かな声に、はっとした。
見つめた彼は口端をあげつつも、どこか寂しそうな表情で、ネモフィラの髪を一房もちあげ、クルリと指で弄ぶ。
「……そうなるとどんどん不安になってきた。政略結婚だから私の傍にいてくれたのか? 解消を知った途端に離れられるような、簡単な想いだった? そもそも想い合っていたのは勘違いで、これまで聞いていた言葉はただの政略結婚の相手のご機嫌取りのためのもので、その必要がなくなったら顔もあわせたくないくらいに本当は嫌われていたのだろうか、と」
「違います! ニコラウス様が嫌いだから避けたのではないのです!」
「あぁ、もうわかった。分かってるよ。でも……想像すると怖くなって、無理やり捕まえて話をするのに臆病になってしまったんだ」
避けたのは、ネモフィラが最初だ。
ネモフィラの方がよっぽど臆病で、逃げてばかりいた。
ニコラウスの婚約者でなくなることが怖くて、目を背けるようになった。
なによりも一番最初にニコラウスへ向き合わなければならなかったのに、逃げた。
終わりを告げられるのが怖くて、距離をあけた。
そんな態度だったからニコラウスも不安になって、ネモフィラと一歩距離をとるしかできなくなった。
(わたくし、まったく、周りが見えていなかったわ)
「ニコラウス様、本当に申し訳ございませんでした。わたくしの方も、もう嫌われたのだと思っておりました」
「なぜそんなことを思ったんだ」
「だって、ニコラウス様、同じ研究会の令嬢と仲良くなさってたではありませんか。わたくしよりもご趣味が合いそうで、とても仲良く歓談してらっしゃる場も見ました。学園で噂にもなってらっしゃったし……」
これまで特定の女性と仲良くすることのなかった彼が、休み時間ごとにクラスメイトで同じ研究会の女性と一緒に過ごしていた。
しかもニコラウスの方が付きまとってっている風だとまで噂を聞かされた。
ただの噂ならまだしも、実際に仲睦まじく寄りそっている場面を見たものだから、どうしても不安になってしまうのだ。
「いえ……つまりは、おそらく花咲きの魔体質を止める薬の開発に協力していただいていたのですよね」
「その通りだ。彼女の知識が必要だっただけだ。しかし彼女は本当に凄いな、専門の研究者たちが不可能だとするものを、あっさりと解決してくれたのだから」
ニコラウスいわく少し魔体質について話しただけで、一瞬で効きそうな鉱石や薬草、組み合わせや作り方などを諳んじてくれたらしい。
何度も何度も繰り返し質問しにいって、これがダメだったといえば他の解決法があっさり口から出て来たりするそうだ。
「学生の身であるが、もう既に国一番どころか世界で一・二を担う研究者だぞあれは」
「本当に凄いお方でしたのね。あの、でも……いつもは必要があって女性と過ごす時間が出来るときは事前に報告くださってました」
どうして今回に限って、理由を教えてくれなかったのだろう。
ネモフィラにまで噂が回ってきたくらいなのだから、ニコラウスも周りからどう見られているかは気がついていたはずなのに。
「それはネモフィラがわるい」
「私が? ええと……何かしてしまいましたか?」」
「婚約解消の話を私に一切相談せずに避けたんだ。うん、ネモフィラがわるい」
「まぁ……」
ぷいっと顔を背けたニコラウス。
金色の髪のすき間から赤い耳が覗いている。
(つまり、拗ねていたということ?)
ネモフィラが婚約解消の話を親からされたことをニコラウスに一番に相談しなかったから。
頼ってくれなかったから、寂しくて悔しくて拗ねてしまった、と。
父から時期がくるまでニコラウスには話さないようにと言われていた、なんてただの言い訳でしかない。
今回ばかりは親や国王のいう事を聞く良い子ではなくなって、言いつけを破ってでも相談してほしかったと、そういう事なのだろう。
「……だから、周囲に勘違いされると分かっても弁明しなかった」
だから拗ねてしまって、わざと周囲への噂をそのままにし、誰に聞かれても訂正をしなかった。
とても子供っぽい。でもそこも可愛いと、ネモフィラは思ってしまう。
完璧な王子様ではないこういう欠点が愛おしいと感じるあたり、やはりとことんまで惚れてしまっているのだろう。
「すみませんでした。わたくし、ニコラウス様からの決定的な別れの言葉を受けるのが怖くて、逃げておりました」
「え?」
ニコラウスが驚いたみたいな顔をしてこっちを見た。
「てっきり……私が、頼りないから相談しなかったのだと思っていた。それか本当は望まない政略結婚だったからだと」
「そんなわけありません!」
「そうか……そうだったのか」
噛みしめるみたいに呟いてから、とろりとほほ笑む。
それは彼に恋するネモフィラを殺人的にときめかせる優しい笑顔。
「っ……反則ですわ」
ネモフィラはかかとを浮かして身を乗り出し、ちゅっと音をならして唇を奪う。
一瞬のことに目を見開き固まるニコラウスに、思わず笑いがもれた。
「ニコラウス様、可愛らしすぎます」
「君からのその褒め言葉は初めてだな……」
しばしして持ち直したらしい彼からするりと手が伸びて来て、ネモフィラの頬が包まれる。
指先に肌をさすられ、さらに彼の呼吸が感じられるほどに顔を寄せられた。
ぞくぞくとした感覚が背中をはって、感覚がしびれていく。
揺れる瞳と、熱い吐息がさらに近付いてくる。
耳元に低い声が甘く響く。
「君が必要なんだ。傍にいてくれ。私を諦めないで」
「……はい。もう絶対に離しません、諦めません。どうか末永くお傍においてくださいませ」
今度は彼から返されるのだろう口づけを受け取るため、ネモフィラはゆっくりと瞼をふせる。
そうして愛しいひとの温かな胸の中へと、安心して身を任せた。
重ねられた柔らかな唇への感触に心が満たされていると、近くでポンッと小さく音がなった。
うっすらと瞳を開けると、大好きな人の背後でひらりひらり。
青く美しいネモフィラの花が、いくつも舞っていた――……。
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