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卒業後
伯爵家の影
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久々に入った執務室でジェフリーと向かい合って話を聞く。
「それで捕まえた男は何か言っていたかな」
屋敷に入ろうとした男は捕らえていると言っていた。
何が目的なのか、この屋敷に忍び込もうとするなんて愚かとしか言いようがない。
淡々とした声で答えるジェフリーは剣呑な瞳をして答える。
人の事は言えないが少しは表情と感情を合わせたらどうなのか。
報告するだけで怒りを覚える程、不快な男だったと言いたげだった。
「ええ、やはりあなたを貶めるのが目的のようですね」
「へぇ」
わざわざ口を割らせたのか、面倒だろうによくやる。
この屋敷に忍び込んだところで大したものは見つからないだろうに。
自然と深まる笑みはリシアを前にしたものと全く違う。
自分を基準にして考えると悪事の証拠があちこちに転がっていると思うのか。
伯爵の顔を思い出すと馬鹿馬鹿しくて笑いが込み上げてくる。
「捕らえた男の素性は?」
ジェフリーのことだ、当然調べてあるだろう。
「グランヴェル伯爵領で商売をしていた男のようですね。
伯爵領で流言飛語を流したとして領地内での営業許可を取り消されています」
「内容は」
営業許可を取り消すとは、誰もが見て納得できる理由がないと一族や取引相手にまで恨まれる手段だ。
「伯爵家の跡継ぎに関する噂です」
跡継ぎ、リシアの姉のことか。
「婚約者の領地に頻繁に入り浸っていて、そのまま嫁いでしまうのではないか。
あるいは婚約者と上手くいっていないので心を取り戻そうと足繁く通っている、などですね」
「なるほど、流言だな」
流石に跡継ぎが他家に行ってしまうは言い過ぎだろう。
治める人間がいなくなって荒廃すると言っているも同然だ。
「しかし全く正反対の噂を流すとは変わってるな」
嫁いで行ってしまうという話と婚約者と不和があるという話、両方を流していたなら領内を乱す噂を流したと言われても仕方ない。
伯爵でなくても罰を与えるのは当然だ。
この屋敷に忍び込む報酬は他の領地での営業許可の斡旋辺りか。
領内を乱した人間を追放し、アルベールの弱味を掴むための手駒として報酬をちらつかせ操る。
唾棄したくなる程見事な手腕だ。悪知恵ばかり良く働く。
「時間をかけてもいいから男が持っている伯爵家の情報が欲しい」
ただ単に伯爵領を乱したかったなら男のやり方は稚拙に感じる。
男には入手していた情報があり、それを話していただけかもしれない。
情報は多い方がいい。役に立たなくてもそれはそれだ。
何より意味がありそうだと勘が囁いている。
そういった勘には従うことにしていた。
ジェフリーが承知したのを確認して執務室を出る。
すっかり遅くなってしまった。リシアはもう寝ているだろう。
明日を楽しく過ごすために、アルベールもさっさと寝ることにした。
「それで捕まえた男は何か言っていたかな」
屋敷に入ろうとした男は捕らえていると言っていた。
何が目的なのか、この屋敷に忍び込もうとするなんて愚かとしか言いようがない。
淡々とした声で答えるジェフリーは剣呑な瞳をして答える。
人の事は言えないが少しは表情と感情を合わせたらどうなのか。
報告するだけで怒りを覚える程、不快な男だったと言いたげだった。
「ええ、やはりあなたを貶めるのが目的のようですね」
「へぇ」
わざわざ口を割らせたのか、面倒だろうによくやる。
この屋敷に忍び込んだところで大したものは見つからないだろうに。
自然と深まる笑みはリシアを前にしたものと全く違う。
自分を基準にして考えると悪事の証拠があちこちに転がっていると思うのか。
伯爵の顔を思い出すと馬鹿馬鹿しくて笑いが込み上げてくる。
「捕らえた男の素性は?」
ジェフリーのことだ、当然調べてあるだろう。
「グランヴェル伯爵領で商売をしていた男のようですね。
伯爵領で流言飛語を流したとして領地内での営業許可を取り消されています」
「内容は」
営業許可を取り消すとは、誰もが見て納得できる理由がないと一族や取引相手にまで恨まれる手段だ。
「伯爵家の跡継ぎに関する噂です」
跡継ぎ、リシアの姉のことか。
「婚約者の領地に頻繁に入り浸っていて、そのまま嫁いでしまうのではないか。
あるいは婚約者と上手くいっていないので心を取り戻そうと足繁く通っている、などですね」
「なるほど、流言だな」
流石に跡継ぎが他家に行ってしまうは言い過ぎだろう。
治める人間がいなくなって荒廃すると言っているも同然だ。
「しかし全く正反対の噂を流すとは変わってるな」
嫁いで行ってしまうという話と婚約者と不和があるという話、両方を流していたなら領内を乱す噂を流したと言われても仕方ない。
伯爵でなくても罰を与えるのは当然だ。
この屋敷に忍び込む報酬は他の領地での営業許可の斡旋辺りか。
領内を乱した人間を追放し、アルベールの弱味を掴むための手駒として報酬をちらつかせ操る。
唾棄したくなる程見事な手腕だ。悪知恵ばかり良く働く。
「時間をかけてもいいから男が持っている伯爵家の情報が欲しい」
ただ単に伯爵領を乱したかったなら男のやり方は稚拙に感じる。
男には入手していた情報があり、それを話していただけかもしれない。
情報は多い方がいい。役に立たなくてもそれはそれだ。
何より意味がありそうだと勘が囁いている。
そういった勘には従うことにしていた。
ジェフリーが承知したのを確認して執務室を出る。
すっかり遅くなってしまった。リシアはもう寝ているだろう。
明日を楽しく過ごすために、アルベールもさっさと寝ることにした。
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