【完結】幼い頃からの婚約を破棄されて退学の危機に瀕している。

桧山 紗綺

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三年目 ~再びの学園生活編~

理由はそれだけ

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 目を覚まして、3日目。
 怠さも抜け、昨夜から普通に食事も取れるようになり手の痛みも気にならなくなった。
 痣はまだ残っているが、今朝見てくれた医者の話ではじきに薄れてくるだろうとのことだ。
 頭の傷も触るとまだ痛いがもう心配はいらないと言われている。
 もう十分に体調は戻ったといってもいいだろう。


 そんな頃、余暇ができたのかレオンが俺が療養している部屋にやって来た。
 体調が戻ったことを説明し事件の進捗を聞くのだが、後でなとはぐらかされる。
 後回しにする話ではないと思うが、なんか様子がおかしい。

 ベッドの横の椅子に腰かけ、肘置きに頬杖を付く。
 どことなく剣呑な空気を感じるけれど、何かトラブルでもあったんだろうか。
 じっと俺を見るレオンにこちらから聞いた方がいいのかと糸口を探る。

「あの、何かありましたか……?」

 エドガーか子爵のことで問題でも?と続けようとした俺へレオンがとんでもないことを言い放った。

「――クリスティーヌがお前のために他所へ嫁げない身になってもいいかと言ってるんだが」

「……! ごほっ、……っ! けほっ……!」

 水も飲んでいないのにむせた。
 とんでもない発言に頬が熱くなり、そして青褪める。

 俺の反応に、冗談だと言うレオン。
 だが、その目は笑ってはいない。

「ああ、一応冗談とは言ったが……。
 クリスティーヌが俺に言ったのは今のとほぼ同じことだぞ」

 意味はわかってないがなと言いながらレオンが眉間にシワを作る。
 わかってないからこそ頭が痛いと言いたげな様子には俺も同感だった。
 なんでそんな話に。

「要約すると、自分が家にとって外に出せないほどに有用な人間になってみせるからお前と結ばれる道を模索したいとさ」

「……!」

 唇が震え、なんと言えばいいのかわからず口を閉じる。

「クリスティーヌはお前もアイツのことを想っていると言っていたが……、実際どうなんだ」

 アイツの説明じゃ訳がわからなくてなと眉間のシワを深くするレオンへ心を決め口を開く。

「俺も、クリスティーヌ様のことは愛おしく思っています」

「……そうか」

 けれど、結ばれようと思ったことはない。
 願いそうになる心を誤魔化し不可能だと言い聞かせてきた。

「けれど、結ばれるのが無理なことはクリスティーヌ様もわかっていました。
 俺も、気持ちには応えられないと伝えています」

 想いを明かすことがずるく、より酷なことかもしれないとあの一瞬考えなかったわけじゃない。
 けれど、遠回しな表現で思い出にするから恋心を否定しないでほしいとの控えめな願いを拒否できるほど俺は強くなく――。
 彼女に、知っていてほしいと思ってしまった。

「それなのにクリスティーヌ様に想いを告げられ、初恋の思い出として大切に胸に抱えていてもいいかと聞かれたとき――。
 俺の想いも知っていてほしいと思ってしまいました。
 クリスティーヌ様が俺を想ってくださる喜びに――。
 俺もあなたを愛しく思っていると、伝えずにはいられませんでした。
 ――言葉にはできずとも」

 きっと、侯爵様やレオンに恩義を感じているならばクリスティーヌ様を傷つけても想いを否定するべきだったんだろう。
 けれど俺は――。自分の心を優先した。クリスティーヌ様に応えたいと理由をつけて。

「全て俺の不徳が招いたことです」

 申し訳ありません、そう続けようとした俺をレオンの言葉が遮った。

「まだ反対とも言ってないのにその返事はおもしろくないぞ。
 あと俺相手に告白を聞かせるな」

 本人に言ってやれとげんなりした顔をするレオンに目を瞠る。
 その言い方では関係を許すみたいに聞こえる。ありえないだろう、そんなこと。

「どうして……、そんなの許されることじゃないだろう」

 思わず言葉が崩れた俺にレオンがにやりと笑う。

「どうしてそう思うんだ?」

 無理だと思った理由を答えろと言うレオンの瞳は真剣だったがその口元は笑っていた。

「だって俺は平民で――」

「元子爵家のな」

 たとえ元でなくても子爵家と侯爵家では難しい。
 ありえないほどではなくても、その差を埋める理由を今の俺は持たなかった。

「クリスティーヌ様は主の家の姫で」

「ああそれは壁が高いな」

 身を立てて望むにしても高嶺の花が過ぎるな普通ならと笑い声でレオンが答える。
 次いで言われた言葉に息を呑んだ。

か?」

「……っ」

 それから――、と言葉を続けようとして理由がもうないことに気づく。

 想いは同じで――。
 歳の頃もとやかく言われることはない――。
 婚姻相手として著しく不適切であると判断されるような問題もない、と自分では思う。

「その程度、お前ならどうにでもなるだろ」

 にやりと笑ったレオンにならないだろと内心でツッコミを入れる。
 俺の視線にレオンは意味深な笑みを浮かべ、話を別の方向へ飛ばす。

「四方の領主の結びつきが強まり過ぎるのを王家が警戒しているのはわかるな」

 それはこの国の貴族であれば知っていて当然の歴史だ。
 数代前の王の愚行により王家の力が弱まり、地方を主体とする貴族の力が強まった。
 王家はそれを戻そうと必死で、ことあるごとに権力を削ごうとしていると歴史からもレオンたちの話からも知っている。
 力の少ない弱小貴族は別として侯爵・伯爵家を中心とした地方貴族はそれに抗い自身の力を保ち続けていることも。
 それがまた王家としてはおもしろくないわけだが。
 そこにクリスティーヌも活路を見出したんだとレオンが語る。

「だから力を持たない相手との婚姻は必ずしも忌避するものではない」

「それは……、違うだろう」

 忌避するものではなくても、王家のことを思えば各地の領主の結びつきは重要だ。
 可能な限りバランスを崩さず、けれどなにかあれば協力体制が敷けるくらいの関係を維持するためにそれぞれの領主たちは苦心しつつ婚姻を結んできたのがここ数十年くらいの動きだった。
 仮に王家の動きを気にするが故だとしても、王家が気に留めない力のない家だって他にあるだろうに。
 そう思った俺をレオンが睨みつける。

「爵位だけのクズにやるくらいなら爵位がどうだろうが能力があるヤツに嫁がせた方が良い」

 アイツにはそれだけの価値があると告げるレオン。

「幸いというかアイツは他家に出すには力をつけ過ぎている。
 元々持っている魔法の実力もそうだが、あの発動方式による利益、名声、――武力。
 それに釣り合う相手は各地方の盟主くらいになるぞ」

 北の盟主であるレオンたち侯爵家と他の地方の盟主の家がクリスティーヌ様の婚姻によって結びつけば――。
 それこそ王家が一番恐れている事態になる。

「簒奪でも狙ってるんじゃないかと王家は警戒するだろうな。
 そんなつもりがなくても結びつきによって得られる力が大きすぎる」

 だから能力のある平民を迎え入れ侯爵家の地盤を固めると言えば反対は出ないだろうと。

 本来ならそれはありえない判断のはずだ。
 家を結びつけるのが貴族の婚姻の大きな意味で、結ぶ縁を持たない俺では――。

 そこではっと声を上げる。
 これの方が大事おおごとだ。

「実家が、贋金との関わりを疑われている」

 たとえ今は除籍された身分で関わりがないとしても。
 それを証明できなければたとえ罪には問われなくてもこの先に影を落とす。

「それは確かに問題だな」

 まずはそっちを解決しないとなと言ったレオンが挑戦的な笑みを見せた。

「明日、子爵の取り調べを行う」

 空気の変わったレオンに背筋を伸ばす。

「お前の言う通り少しでも付け入る隙があれば俺たちの不利益に関わる」

 俺が贋金に関係していたと少しでも疑いが残れば雇っていた侯爵家に迷惑がかかる。
 だからな、とレオンが俺を覗き込む。

「徹底的にやれ、それがお前を守る」

 徹底的に子爵の言葉を引き出し、自身の関与を否定する根拠を揃えろと言われ深く頷いた。
 それができないのならクリスティーヌ様との未来は与えられないと言われ胸に火が付く。
 道があるのなら――。
 なんとしても彼女の想いに応えたい。
 いや……、違う。
 ――俺の想いを伝えたい。
 愛しいと伝えて、受け入れてほしい。

「俺の同意だけじゃ心配かもしれないからもう一つ言っておくな。
 クリスティーヌは朝領地に向かって旅立った。
 父上の同意を取りにな」

「……!」

 クリスティーヌ様の想いに胸を打たれた。

「だからお前がこんなところでこけてる場合じゃないんだ。
 絶対に証言を引き出せ。
 贋金に関してだけじゃない。
 お前が関与してない証拠をだ。
 できるな?」

 ここまで言われてできないなど口が裂けても言えない。

「必ず」

 必ず証言を取りますと言葉にする。
 ふっと表情を緩めたレオンが俺の肩を叩く。

「お前が義弟か、悪くない」

「まだ何も決まっていないでしょう」

 侯爵様の許可が下りるかどうかもまだわからない。
 許してくれるだろうか。
 もしクリスティーヌ様の説得が上手くいかなければ――。

 ぐっと拳を握り、胸に誓う。
 この一連の贋金事件の結果をもって認めさせて見せる。

 足りないというのなら、他になんだってしてみせる。

 覚悟を持ってレオンを見つめると意を得たというように笑った。

 そうと決まれば寝ている場合じゃない。
 レオンへ今わかっている情報をまとめた資料を読ませてくれと言って執務室へ促す。

 高揚からなのか、頭が妙に冴えている感覚があった。
 絶対に望む結果を得る。
 迷いもなく、できるという確信だけが胸にあった。


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