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四年目 ~春の訪れ 新婚の二人~
新学期
しおりを挟む新学期が始まり、久しぶりに会った友人たちに揃って近況報告をする。
「アラン、クリスティーヌ様、結婚おめでとうございます!
いやー、めでたい。
二人が上手くいって良かった!
……って、なんでだよ!」
笑顔で祝福を贈ってくれていた級友が耐えきれなくなったのかそう叫ぶ。
「なんで婚約飛ばして結婚なんだよ!
いや、めでたいのはわかる。
おめでとう、俺も本当に良かったと思ってる、でもマジでなんでなんだかわからん」
しかも東の侯爵家の養子になったってなんだよ、どこから突っ込めばいいんだと混乱を極めたように言葉を次から次に落とす友人にだよな……、と内心で呟く。
自分のことながら俺もそう思った。
「驚くのももっともだけど祝福してほしいかな。
これでどこからも邪魔が入らない関係になれたんだ」
ようやくだと微笑むと、婚約届の一件を知っている友人は納得したように深く頷いた。
「まあアレがあったからなあ。
しかし結婚か。
学生の内に結婚するとか聞かないな」
「一応今はまだ婚約期間中と同じ扱いなんだけどね」
「あら、でもクリスティーヌ様の誕生日はもうすぐでしょう?」
成人の、18歳の誕生日が来るまではと言葉を添えると、ロレイン様から大した違いはないのではと言われてしまう。
春生まれのクリスティーヌ様はもうじき誕生日を迎える。そうなれば自動的に婚姻は成立することになっていた。
目を見合わせると微笑んでいたクリスティーヌ様が面映そうに瞳を伏せる。
見ている俺も照れくさくて視線を逸らしてしまった。
級友が呆れたような笑みで俺たちを見る。
「なんだよ、もうー!
見ているこっちが恥ずかしくなるわ」
「今からこれでは婚姻が成った暁にはどうなるのかしら」
興味があるわと微笑むロレイン様に目の毒ですよと肩を竦める級友。
「でもロレイン様も近々婚姻される運びとなったのでしょう?」
クリスティーヌ様の言葉にロレイン様が顔を綻ばせる。
「そうなの。
今から心が躍って仕方ないわ」
立場が変わってしまったから結婚を伸ばされるかと思ったわと嬉しそうに語る。
「お父様から聞いたけれどアラン様の発案だったのですって?
本当にありがとう。
あなたのおかげであの人と早く結ばれることができるわ」
ロレイン様の言葉に恐縮する。
「そんな俺は思い付きを口にしただけで、まさか採用されるとは思いませんでした」
それもあんなに軽い口調で。
『採用』と言った新王の言葉が蘇る。
おじ様は判断が早いのよと新王のことを語るロレイン様。
幼い頃から家族ぐるみで付き合いのあった関係だというし次代の王家は安泰なようだ。
「まさかロレイン様が次代の王妃になるなんて驚きですね」
ねえと微笑み合うクリスティーヌ様とロレイン様。
全くだと小さく呟く友人にレオンからの伝言を伝える。
「そういえばレオンが色々と手を貸してくれた礼がしたいと言っていたんだ。
時間がある時に屋敷に来ないか。 改めて紹介もしたいし」
レオンには別の思惑もあるんだろうけれど、お礼をしたいと言っていたのも本当だ。
彼の親戚にも本当に世話になった。感謝してもしきれない。
にこりと微笑むと友人が固まる。
「俺が? 侯爵家に?
いやいや、招待を受けるような身じゃないから」
「一度来たじゃないか。
皆にも会ったし、そんなに恐縮することはないと思うけど」
「あの時な!
使用人の誰かに伝えれば良いと聞かされてたのに、行ったら侯爵家の面々が勢揃いしてて肝が冷えたわ!」
堂々としていたよと伝えると、失礼がないようにと気が気じゃなくそんなこと考えてる余裕なかったと叫ぶ。
焦っている状態であれなら益々レオンが気に入りそうだ。
「あまり固く考える必要はないよ、友人に友人を紹介するだけだし」
「アラン、知ってたけどお前大物だよな……」
乾いた笑いを零す友人に大して変わらないと思うと返す。
色々言っているけど彼だって侯爵家の人々を前にして堂々と振る舞える胆力はあるし、違和感へ鼻が利くというのか勘も良い。
俺への態度も変わらないし。それは本当に嬉しかった。
意外としばらくしたらレオンとも対等に話ができるんじゃないかと思う。
「なんにしてもやっと落ち着いた。
力を貸してくれてありがとう。
ロレイン様も、お父上や婚約者殿への説得をありがとうございました」
事前に話をしておいてくれたおかげで話がスムーズに進んだ。
実際は最初に話を持ちかけたときよりも内容が少し……、かなり変わったわけだけれども。
侯爵様も話が早かったと言っていた。
「四侯が協力するのは当然のことですもの。
それに親友の幸せのために貸せる力があるのは喜ばしいことだわ」
「力になれたなら良かったよ。
色々言ったけど本当にめでたいと思ってる。
良かったな、アラン!」
おめでとうと贈られる祝福にありがとうと二人でお礼と感謝を伝える。
春の始まりに友人たちに吉報を伝えることができて本当に良かった。
それぞれとった講義の話をしながら予定を話し合う。
新学期の始まりは鮮やかな幸福に彩られていた。
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