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セレスタ 波乱の婚約式編
王都探索 2
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シャルロッテの従兄弟が入っていった食堂を観察しながらどうしようか思案する。
小さな食堂なので入ったら気づかれてしまうのは確実だ。
向かい側の店から様子を見守ろうかと考えたところでシャルロッテが食堂に向かって歩いているのに気付く。
「ちょっと待ってください、どこへ行くつもりですか!」
慌てて声をかけるときょとんとした顔でマリナを振り返った。
「え? だって入らないと様子がわからないじゃない」
「見つかってしまいますよ」
シャルロッテが入っていったら気が付かれるでしょう。
マリナも面識があるのであまり近くには寄りたくない。
「でも中が気になるのよ?」
「外からでもわかることはありますよ?
必要以上に長く滞在しているなら、食事以外の目的があるかもしれないと予想できますし。
彼の目的があの食堂だとはっきりしたら先回りして様子を窺ってもいいんですが、今の段階ではただ食事をしに来た可能性の方が高いと思いますのでそこまで出来ませんね」
考えを連ねていくとシャルロッテが感心したようにマリナを見つめる。
「すごいわ…、さすが双翼ね」
感嘆したように言われても嬉しくない。
双翼の仕事にそんな内容は無いから!
「実際にそんなことをしたことはありませんからね?」
誤解しないでほしいと、強く念を押す。
必要だったらするけど、今のところそんな事態に遭遇したことはない。
双翼がしなくても他にちゃんとする人がいるんです。
そんなことを知らないシャルロッテは無邪気に食堂の方を見て従兄弟の姿を探している。
楽しんでいるようで何よりだ。
しばらく観察していても彼は食堂から出てこない。
シャルロッテの想像が当たっていたのかと思い始めた頃、彼が食堂から出てきた。女性を伴って。
「あれ! あの店の女性よね!」
興奮した様子でシャルロッテがマリナの肩を叩く。
シャルロッテの言う通り、食堂の窓から見えた給仕の女性が彼と並んで歩いている。
時折肩に触れ合ったりしながら歩く姿はただの知り合いではなく、親しい間柄なのだと見る者に思わせる親密さがあった。
「恋人なのかしら? ずいぶんと親し気だけれど」
手を繋いだりこそしていないものの、じゃれあうようにお互いに触れ合う姿は恋人そのものだ。
「……あのくらいが平民では普通なのかしら」
不思議そうにシャルロッテが呟く。
「ちょっと男性の身体に触り過ぎではないの?」
聞かれてもマリナにもわからない。
ただシャルロッテやマリナの常識においてはちょっと行き過ぎではないか、というのが双方の意見だった。
「でもあれが一般的ということはないようですよ。
ほら、あそこのお爺さんも眉を顰めて見ていますから」
もしかしたら若い人の間では彼の行動が普通で、お爺さんの視線は「最近の若い者は」という感情なのかもしれないけど。
「なんにしてもあれは友人にはしない行動よね」
「そうですねえ、多分」
わからないのでいまいち同調しきれない。
ただ、女性の目が恋している目には見えないのが気にかかった。
小さな食堂なので入ったら気づかれてしまうのは確実だ。
向かい側の店から様子を見守ろうかと考えたところでシャルロッテが食堂に向かって歩いているのに気付く。
「ちょっと待ってください、どこへ行くつもりですか!」
慌てて声をかけるときょとんとした顔でマリナを振り返った。
「え? だって入らないと様子がわからないじゃない」
「見つかってしまいますよ」
シャルロッテが入っていったら気が付かれるでしょう。
マリナも面識があるのであまり近くには寄りたくない。
「でも中が気になるのよ?」
「外からでもわかることはありますよ?
必要以上に長く滞在しているなら、食事以外の目的があるかもしれないと予想できますし。
彼の目的があの食堂だとはっきりしたら先回りして様子を窺ってもいいんですが、今の段階ではただ食事をしに来た可能性の方が高いと思いますのでそこまで出来ませんね」
考えを連ねていくとシャルロッテが感心したようにマリナを見つめる。
「すごいわ…、さすが双翼ね」
感嘆したように言われても嬉しくない。
双翼の仕事にそんな内容は無いから!
「実際にそんなことをしたことはありませんからね?」
誤解しないでほしいと、強く念を押す。
必要だったらするけど、今のところそんな事態に遭遇したことはない。
双翼がしなくても他にちゃんとする人がいるんです。
そんなことを知らないシャルロッテは無邪気に食堂の方を見て従兄弟の姿を探している。
楽しんでいるようで何よりだ。
しばらく観察していても彼は食堂から出てこない。
シャルロッテの想像が当たっていたのかと思い始めた頃、彼が食堂から出てきた。女性を伴って。
「あれ! あの店の女性よね!」
興奮した様子でシャルロッテがマリナの肩を叩く。
シャルロッテの言う通り、食堂の窓から見えた給仕の女性が彼と並んで歩いている。
時折肩に触れ合ったりしながら歩く姿はただの知り合いではなく、親しい間柄なのだと見る者に思わせる親密さがあった。
「恋人なのかしら? ずいぶんと親し気だけれど」
手を繋いだりこそしていないものの、じゃれあうようにお互いに触れ合う姿は恋人そのものだ。
「……あのくらいが平民では普通なのかしら」
不思議そうにシャルロッテが呟く。
「ちょっと男性の身体に触り過ぎではないの?」
聞かれてもマリナにもわからない。
ただシャルロッテやマリナの常識においてはちょっと行き過ぎではないか、というのが双方の意見だった。
「でもあれが一般的ということはないようですよ。
ほら、あそこのお爺さんも眉を顰めて見ていますから」
もしかしたら若い人の間では彼の行動が普通で、お爺さんの視線は「最近の若い者は」という感情なのかもしれないけど。
「なんにしてもあれは友人にはしない行動よね」
「そうですねえ、多分」
わからないのでいまいち同調しきれない。
ただ、女性の目が恋している目には見えないのが気にかかった。
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