3 / 400
第3話夢にしてはリアルすぎる
しおりを挟む
「ああ。よろしく、メア」
お互い自己紹介が終わるとどちらかともなく握手をしてから小一時間、クロ・フリートことクロは延々と森の中を歩いていた。
「なあメア……あれから一時間は経つのだが一向に君の村に付く気配がない。せめて休憩しないか?」
「男で獣人なら私よりも体力あるんだろ? 何? 小一時間歩いただけで疲れたなんて言わないよな? ホントにもうすぐなんだから我慢して歩く歩く」
そう言うとメアはサクサクと森の中にある細い道を歩いて行く。
まるで元の世界にいる田舎に住む祖父や祖母と一緒にいる感覚みたいで懐かしくも思うと同時に、彼ら田舎に住む人達は都会で毎日時間に追われて生活する俺と時間の感覚が違うように思う。彼らの「あと少し」は数時間になる場合もあるが俺の「少し」は遅くても数十分である。
はっきり行ってメアの「少し」をなめてたと後悔する。
「すまんメア、俺はもうだめだ……腹が減って力が入らない。倒れそうだ………いや、倒れる」
「え? え? ちょ…っ!? クロ!?」
メアの驚いたような、そして心配したような顔と声を聞きながら俺は前のめりに倒れたのであった。
◇◆◆◇
かすかに漂う食べ物の匂いを嗅ぎクロ・フリートは目を開ける。こんなにも空腹になることは日本で住んでいると貴重な体験なのかもしれない。
この身体になってから食べられる物を何も口にしててないということは俺の身体に排泄する物質がないということなのだろう。腹が減るはずである。
「しかし、ここはどこだ?」
今回目を覚ました場所はどうやら民家の一室らしく、ベットの上に寝かされていた。
部屋は見た感じ質素で、よく見る異世界ファンタジー系の感じである。カラフルな色はなく薄茶色の壁や薄い赤のタンス、薄黄色のカーテンなどの全体的に薄い色が多く、もちろん現代機器どころか電気を扱うものが何一つ無い。
そんなことを思いながら周囲を見渡すとドアが少し開かれていることに気づき、そこからこちらを覗いてくる一つの目と視線が合う。
すると視線の主は声にならない声をあげ後ずさりしたかと思うとドタドタと廊下を走り去って行く。
まあ、実際俺でも目の前に角と翼を生やした人物がいると興味は持つが関わりたくなと思うしな…。
そんなことを思いながら苦笑いをする。
チラっと見えた感じ6歳前後の可愛い女の子だったので尚更だろうと自分の娘と重なりほっこりするのだが、しかしここが地球なのか異世界なのか分からいのだが夢じゃない事は二度による意識の覚醒、そしてだんだん鮮明になってゆく五感により思い知らされてゆく。
夢にしてはリアルすぎるのだ。
お互い自己紹介が終わるとどちらかともなく握手をしてから小一時間、クロ・フリートことクロは延々と森の中を歩いていた。
「なあメア……あれから一時間は経つのだが一向に君の村に付く気配がない。せめて休憩しないか?」
「男で獣人なら私よりも体力あるんだろ? 何? 小一時間歩いただけで疲れたなんて言わないよな? ホントにもうすぐなんだから我慢して歩く歩く」
そう言うとメアはサクサクと森の中にある細い道を歩いて行く。
まるで元の世界にいる田舎に住む祖父や祖母と一緒にいる感覚みたいで懐かしくも思うと同時に、彼ら田舎に住む人達は都会で毎日時間に追われて生活する俺と時間の感覚が違うように思う。彼らの「あと少し」は数時間になる場合もあるが俺の「少し」は遅くても数十分である。
はっきり行ってメアの「少し」をなめてたと後悔する。
「すまんメア、俺はもうだめだ……腹が減って力が入らない。倒れそうだ………いや、倒れる」
「え? え? ちょ…っ!? クロ!?」
メアの驚いたような、そして心配したような顔と声を聞きながら俺は前のめりに倒れたのであった。
◇◆◆◇
かすかに漂う食べ物の匂いを嗅ぎクロ・フリートは目を開ける。こんなにも空腹になることは日本で住んでいると貴重な体験なのかもしれない。
この身体になってから食べられる物を何も口にしててないということは俺の身体に排泄する物質がないということなのだろう。腹が減るはずである。
「しかし、ここはどこだ?」
今回目を覚ました場所はどうやら民家の一室らしく、ベットの上に寝かされていた。
部屋は見た感じ質素で、よく見る異世界ファンタジー系の感じである。カラフルな色はなく薄茶色の壁や薄い赤のタンス、薄黄色のカーテンなどの全体的に薄い色が多く、もちろん現代機器どころか電気を扱うものが何一つ無い。
そんなことを思いながら周囲を見渡すとドアが少し開かれていることに気づき、そこからこちらを覗いてくる一つの目と視線が合う。
すると視線の主は声にならない声をあげ後ずさりしたかと思うとドタドタと廊下を走り去って行く。
まあ、実際俺でも目の前に角と翼を生やした人物がいると興味は持つが関わりたくなと思うしな…。
そんなことを思いながら苦笑いをする。
チラっと見えた感じ6歳前後の可愛い女の子だったので尚更だろうと自分の娘と重なりほっこりするのだが、しかしここが地球なのか異世界なのか分からいのだが夢じゃない事は二度による意識の覚醒、そしてだんだん鮮明になってゆく五感により思い知らされてゆく。
夢にしてはリアルすぎるのだ。
70
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る
がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。
その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。
爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。
爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。
『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』
人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。
『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』
諸事情により不定期更新になります。
完結まで頑張る!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【書籍化決定】ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
「元」面倒くさがりの異世界無双
空里
ファンタジー
死んでもっと努力すればと後悔していた俺は妖精みたいなやつに転生させられた。話しているうちに名前を忘れてしまったことに気付き、その妖精みたいなやつに名付けられた。
「カイ=マールス」と。
よく分からないまま取りあえず強くなれとのことで訓練を始めるのだった。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる