50 / 400
第50話追い求めた光景
しおりを挟む
そんなウィンディーネから身の危険を感じて逃げ出そうとするのだが、その肩をウィンディーネに掴まれる。
その姿は数多のライバルを蹴落とし勝利を確信したヴァルキリアかのように美しい。
「クロ様、先ほどのキュートスとかいうおなごの病を治す過程でその子の胸を触る必要性があったのですか?」
「………」
体中から冷や汗が大量に流れ出してくるのだが、これはきっとあらぬ濡れ衣を味方だと思っていたウィンディーネにかけられたためであって、けしておっぱいを揉みたいのがバレたからではなく―――
「私の願いを一つ聞いてくれるなら黙っていてあげますが?」
「…た、頼む」
それは甘い誘惑であった。
ま、まあゲーム時代いつも彼女のヒールにはお世話になったからな。
ひとつくらい俺で出来る範囲で彼女の願いを叶えてやっても良いだろう。
他意は無い。
「ぜ、絶対ですからね!」
そしてウィンディーネは半透明の頬を少し赤らめるとその場から霧散して消えていく。
「やはり只者じゃあないとは思っていたが、どっかの国の王だったとはな。まあそれならそのバカ高そうな衣服も納得できる」
ウィンディーネと入れ替わるようにボストンが話しかけてくる。
そしてバハムートがすかさず「ただの王ではないぞ人間。魔王だ」と補足してくる。
「魔王か。ならなぜ人間族や精霊族まで配下にいるんだ?魔族にヒールかけられる日が来るとは夢にも思わなかったわ」
そういうとボストンはあの時のように「ガハハハ」と高笑いする。
「ボストンさんは俺が…その…」
「怖くないし憎くもねえ。人間でも悪い奴もいるんだ。魔族にも良いやつがいてもおかしくないだろ? まあ、俺以外はそう簡単に割り切れないだろうがそのうち慣れてくるさ」
あたりを見渡せば確かに魔族にヒールや回復魔法をかけられるのを躊躇っている人間もちらほら見え、それは魔族側もおなじで人間にヒールや回復魔法をかけれるのを躊躇っている者が見える。
それでもヒールや回復魔法を黙って施されているのはクロの存在が大きかった。もし断ってクロの琴線に触れでもしたらと思うと彼らに断るという選択肢は無いに等しい。
「この光景をあいつにも見せてやりたかったな」
躊躇われても嫌な顔せずヒールや回復魔法を使う魔族や人間族の光景はボストンが追い求めた光景であった。
その姿は数多のライバルを蹴落とし勝利を確信したヴァルキリアかのように美しい。
「クロ様、先ほどのキュートスとかいうおなごの病を治す過程でその子の胸を触る必要性があったのですか?」
「………」
体中から冷や汗が大量に流れ出してくるのだが、これはきっとあらぬ濡れ衣を味方だと思っていたウィンディーネにかけられたためであって、けしておっぱいを揉みたいのがバレたからではなく―――
「私の願いを一つ聞いてくれるなら黙っていてあげますが?」
「…た、頼む」
それは甘い誘惑であった。
ま、まあゲーム時代いつも彼女のヒールにはお世話になったからな。
ひとつくらい俺で出来る範囲で彼女の願いを叶えてやっても良いだろう。
他意は無い。
「ぜ、絶対ですからね!」
そしてウィンディーネは半透明の頬を少し赤らめるとその場から霧散して消えていく。
「やはり只者じゃあないとは思っていたが、どっかの国の王だったとはな。まあそれならそのバカ高そうな衣服も納得できる」
ウィンディーネと入れ替わるようにボストンが話しかけてくる。
そしてバハムートがすかさず「ただの王ではないぞ人間。魔王だ」と補足してくる。
「魔王か。ならなぜ人間族や精霊族まで配下にいるんだ?魔族にヒールかけられる日が来るとは夢にも思わなかったわ」
そういうとボストンはあの時のように「ガハハハ」と高笑いする。
「ボストンさんは俺が…その…」
「怖くないし憎くもねえ。人間でも悪い奴もいるんだ。魔族にも良いやつがいてもおかしくないだろ? まあ、俺以外はそう簡単に割り切れないだろうがそのうち慣れてくるさ」
あたりを見渡せば確かに魔族にヒールや回復魔法をかけられるのを躊躇っている人間もちらほら見え、それは魔族側もおなじで人間にヒールや回復魔法をかけれるのを躊躇っている者が見える。
それでもヒールや回復魔法を黙って施されているのはクロの存在が大きかった。もし断ってクロの琴線に触れでもしたらと思うと彼らに断るという選択肢は無いに等しい。
「この光景をあいつにも見せてやりたかったな」
躊躇われても嫌な顔せずヒールや回復魔法を使う魔族や人間族の光景はボストンが追い求めた光景であった。
0
あなたにおすすめの小説
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
小さな貴族は色々最強!?
谷 優
ファンタジー
神様の手違いによって、別の世界の人間として生まれた清水 尊。
本来存在しない世界の異物を排除しようと見えざる者の手が働き、不運にも9歳という若さで息を引き取った。
神様はお詫びとして、記憶を持ったままの転生、そして加護を授けることを約束した。
その結果、異世界の貴族、侯爵家ウィリアム・ヴェスターとして生まれ変ることに。
転生先は優しい両親と、ちょっぴり愛の強い兄のいるとっても幸せな家庭であった。
魔法属性検査の日、ウィリアムは自分の属性に驚愕して__。
ウィリアムは、もふもふな友達と共に神様から貰った加護で皆を癒していく。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる