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第78話何故か名残惜しく感じる
しおりを挟むいつもは少し、多少、微妙に煩わしく思うイフリートの説教じみた長い話も次いつ聞けるか分からないのだと思うと何故か名残惜しく感じるため不思議である。
そしてセラはウィンディーネ達のいる場所へ向かうと、既にウィンディーネが私達と一緒に旅する仲間を集めて待っていてくれているのが見えた。
「せ、セラ様達と一緒に旅をさせてもらう事になりました、ノクタス街出身18歳、冒険者ランクBのレイチェル・グランと言いますっ!」
「……えーと」
ウィンディーネからは一緒に旅する仲間を募ってくると確かに聞いていたのだが、まさかこの世界の住人とは思わず固まってしまう。
「東ドルトル国イノメ村出身17歳、冒険者ランクA、ミセル・ブラウンです!」
そしてもう一人、セラの前に来ると自己紹介をする。
レイチェル・グランはウエーブのかかった赤茶色の髪に水色の目、そばかすが目立つが逆にそれが可愛く見える。しかし胸に鎧を付け腰に短剣を下げている姿から熟練度が伺えるその佇まいからは可愛さよりも洗練された強さを感じ取る事ができる。
また、ミセル・ブラウンは透き通るような金髪のロングヘアにキリっとした眼差し、レイチェルと同じく青い瞳に鋼の鎧を着込み、自分の背丈よりも大きいであろうランスを自らの横に置いておりセラの前で片膝を付き頭を下げている。
その姿からはまるで騎士のようであるが、完璧の容姿に思えるミセルの胸は絶壁であった。
そんな二人を前にしてセラは少し固まったあと、ウィンディーネに「何で現地の冒険者を連れて来たの?」と目で合図する。
「この世界の知識、そして旅の間の食事係」
と、セラの耳元で彼女達に聞こえないよう短略的に説明する。特にウィンディーネは食事係の部分を強調してこたえた。
確かに私たちは料理ができないのだが、しかしクロ様ほど多くの種類は仕舞えないのだがストレージはあるのでそこに食べ物を詰め込めばいいだけではないのか?料理ができなくても何ら困らない――
「クロ様の胃袋を掴みたくない? セラ」
「それとこれとは別です。しかし、連れて行く価値はあるでしょう。許可します」
――のかもしれないのだが、強敵との戦闘では私たちの足でまといにしかならないであろう彼女達が今の自分達とか重なり、ほっとけなく思い一緒に旅する事を承諾する。
次いでに料理も覚えようかとも思う。
けして、ウィンディーネが言ったからとかではなく、本当、興味本意で。
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