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第178話ブラックタイガー討伐依頼
しおりを挟む「いつも有難うミセル」
「い、いえっ…当然の事をしたまでです」
「あなたもね、レイチェル」
「あ…有難うございますっ!!」
この三週間思い返せばこの娘達は本当に良くやってくれたと思う。
腕っ節の強さだけでは何も出来ないという事を考えさせられた道中でもあった。
「ねえ、レイチェル……依頼読んで。文字読めない……」
「ルシファー様は文字読めないの?」
「……日本語と英語なら…読めるけど、この文字は読めない」
そんな事を思いふけっていたらルシファーがもう既に依頼が貼られた掲示板で依頼を探していたのだがどうやら文字が読めないらしくレイチェルに尋ねている。
それを一つ一つ読んでもらうとルシファーは徐に一枚の依頼を剥がすとその横にある受け付けカウンターへ向かい、受け付けスタッフにそれを渡す。
「『ブラックタイガー討伐依頼』………」
受け付けスタッフがルシファーの持ってきた依頼内容を読んだ瞬間、今まで騒がしかったギルド内が嘘のように静まり返る。
「こ、この依頼内容に、お間違いないですか……?」
「……無い。早く受理しろ」
そう言うとルシファーは茶色い冒険者カードを出すと『一人で依頼受理出来るっ!」と言いたげな、自信満々な顔で受け付けスタッフにそれを突き出す。
「………すみません……ブラックタイガーの討伐許可が出ているランクはB以上ですので今回はお受け出来ません…」
その瞬間静まり返っていたギルドが爆笑の渦に飲み込まれる。
その光景にルシファーは笑われているのが自分だとは露ほども思っていないのか気にも止めず再度受け付けスタッフにブラックタイガー討伐を突き出し受理を申し込む。
「で、ですから……Fランカーの貴方にはこの依頼を受ける事は出来ません」
受け付けスタッフのこの一言で更に周りは笑い出す。
これによりさすがのルシファーも笑われているのが自分だと分かり下唇を噛むと俯き、それでも「んっ!!」と受け付けスタッフに依頼を突き出す。
ルシファーも自分が何故依頼が受理されないのかを理解したのだろう。
クロ様も初めは危険度の高い依頼は取る事が出来なかったのだ。
それは強さに関係なく単に自分のランクにより受けれる仕事の幅が違うというものなのだろう。
冒険者ランクというのは強さだけではなく信頼度の表れでもあるのだ。
「こ、この方は私のパーティー仲間ですので私がその依頼を代わりにお受けします!!」
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