魔王のジョブを持っているVRMMOのアバターで異世界へ転移してしまった件

Crosis

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第220話そろそろ終わりにする

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「ポチに闇魔術段位三【闇の恩恵】をダークネスドックにエンチャントして順調に攻撃を与えているのですから問題ないです。それに、ルシファーの体力ゲージが半分を切ったら私かウィンディーネが回復させます」

 そんな従者の二人に見兼ねてかセラが心配する必要は何も無いと、まるでルシファーがブラッドに負ける事など有り得ないとでも言うように諭すセラ。

「巫山戯るな!!この僕がっ!この小娘にっ!負ける訳が無いだろうっ!」

 そのやり取りを聞いたブラッドが激高し、セラに向けて叫ぶのだがその間もポチの猛攻は止まずブラッドを襲い続けている。

「ん……そろそろ終わりにする」

 そんな中ルシファーの呟きが戦闘音を掻い潜りコンラッドの耳に入るも、その内容に聞き間違いではないかと思わずにはいられない。

 ブラッドは受けるダメージを軽減しており未だ無傷である。そもそもダメージを軽減してしまう相手をどうやって倒すのかコンラッドにはいくら考えても見当もつかない。

「やっとこの僕を倒す事を諦めてくれたのかな?無駄な抵抗を辞め素直に殺される事を受け入れる君に免じて拷問は無しで苦しみのない殺し方をえらばしてあげるよ」

「……殺しはしないから……安心して」
「せいぜい無駄な足掻きをして僕に噛み付いたのを後悔するんだな」

 ブラッドの挑発とも取れる言葉に余裕めいた表情で返すルシファー。

 対してブラッドもまたその表情からは揺るぎ無い勝利を確信した様な態度と言動なのだがルシファーの言葉に苛立っているようにも見受けられる。

「……エンチャント型闇魔術段位二【月の加護】エンチャント対象……ブラッド」

 そんな中ルシファーはブラッドの苛立ちを知ってか知らずか未だマイペースさを崩さずエンチャント型魔術を詠唱しブラッドにエンチャントするとブラッドの身体が仄かに数秒間淡い光を放ち始め緩やかに収まる。

 エンチャントされたブラッドはこの現象に嫌悪感を露わにするも謎の現象が収まった後になっても自身の身体に何ら異常は見当たらない為ルシファーに向けて「何をした」と目線を投げかける。

「……この魔術はエンチャントされた対象者の体力がゼロになった時に……一度だけその体力を1にするだけ……」
「まさかお前、本気で俺を殺せると思っているのか?不愉快極まりない言動ではあるがだからこそ余計に滑稽に見えるよ」
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