376 / 400
第376話イレギュラーが無い限りあり得ない
しおりを挟む
新首都にもなるとこのメイド達よりも強力な強者達が守護するであろうし、尚且つ我が国にその者達が攻め入る可能性だってあるのだ。
当然この様に戦中心で思考するという事はいくら今回の訪問が見合いの可能性が高いとしてもフランボワーズはそれを受けるつもりは無く、初めから断るつもりでいる為である。
そんなフランボワーズを老執事は誰にも気付かれずに深いため息を吐くのであった。
◇◆◆◇
スーワラ聖教国都市の中心に建てられている塔の最上部は以前にも増して重たい空気を孕んでいた。
それもそのはずであり、その原因として送り出した勇者一行が捕虜として幽閉された事が最早魔族の手に落ちた敵国であるグルドニアの使者から一報が疑いようの無い資料という証拠と共に届けられたのがつい数時間前の事である。
「最早迷う段階では無い……覚悟を決めよ」
その中でも長いテーブル、その一番最深部に座っていた一際豪華かつ神々しさを放つ人物が重たい口を開く。
その短い一言で此処にいる者達は全てを悟りざわつき始める。
「勇者とて所詮人の子だったという事だ。神の御身技を使えないのならば負けるのも致し方無いのかもしれない。であるならばもはやあの国を止める者はこの私しか居まい」
そう口にする彼女こそここスーワラ聖教国の聖教王であり、人の身でありながら神の御身技を使いこなせる唯一の人物でもある。
神の御身技を段位七まで使えるのは彼女、コーネリア・ジャドソンただ一人だけである。
「なにお通夜みたいな雰囲気を醸し出しているのだお前達よ。この私がたかだか魔族如きに負けるとでも言うのか?」
そう言いコーネリアは傲岸不遜に周囲を見下ろす。
その聖教王らしく無い態度に、しかし聖教王故に許される態度である事に周囲の者達は失いかけた一聖教国民としてのプライドを取り戻し自信がみなぎって来る。
そもそも全魔族では無いにしろ一般的な魔族相手に光の魔術は効果的であり普通に考えれば聖教王が魔族に負けるというのは余程のイレギュラーが無い限りあり得ないのである。
「ふむ、皆良い面構えになったではないか。それにもし私が討ち取られたとしてもこの国には優秀な人材が数多く存在する。後継人選びには苦労しまい?」
そしてコーネリアの軽いジョークに重い空気はいつしか明るくなり、しかし良い緊張感でもってこの場を満たして居た。
当然この様に戦中心で思考するという事はいくら今回の訪問が見合いの可能性が高いとしてもフランボワーズはそれを受けるつもりは無く、初めから断るつもりでいる為である。
そんなフランボワーズを老執事は誰にも気付かれずに深いため息を吐くのであった。
◇◆◆◇
スーワラ聖教国都市の中心に建てられている塔の最上部は以前にも増して重たい空気を孕んでいた。
それもそのはずであり、その原因として送り出した勇者一行が捕虜として幽閉された事が最早魔族の手に落ちた敵国であるグルドニアの使者から一報が疑いようの無い資料という証拠と共に届けられたのがつい数時間前の事である。
「最早迷う段階では無い……覚悟を決めよ」
その中でも長いテーブル、その一番最深部に座っていた一際豪華かつ神々しさを放つ人物が重たい口を開く。
その短い一言で此処にいる者達は全てを悟りざわつき始める。
「勇者とて所詮人の子だったという事だ。神の御身技を使えないのならば負けるのも致し方無いのかもしれない。であるならばもはやあの国を止める者はこの私しか居まい」
そう口にする彼女こそここスーワラ聖教国の聖教王であり、人の身でありながら神の御身技を使いこなせる唯一の人物でもある。
神の御身技を段位七まで使えるのは彼女、コーネリア・ジャドソンただ一人だけである。
「なにお通夜みたいな雰囲気を醸し出しているのだお前達よ。この私がたかだか魔族如きに負けるとでも言うのか?」
そう言いコーネリアは傲岸不遜に周囲を見下ろす。
その聖教王らしく無い態度に、しかし聖教王故に許される態度である事に周囲の者達は失いかけた一聖教国民としてのプライドを取り戻し自信がみなぎって来る。
そもそも全魔族では無いにしろ一般的な魔族相手に光の魔術は効果的であり普通に考えれば聖教王が魔族に負けるというのは余程のイレギュラーが無い限りあり得ないのである。
「ふむ、皆良い面構えになったではないか。それにもし私が討ち取られたとしてもこの国には優秀な人材が数多く存在する。後継人選びには苦労しまい?」
そしてコーネリアの軽いジョークに重い空気はいつしか明るくなり、しかし良い緊張感でもってこの場を満たして居た。
0
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜
九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます!
って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。
ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。
転移初日からゴブリンの群れが襲来する。
和也はどうやって生き残るのだろうか。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
隠れジョブ【自然の支配者】で脱ボッチな異世界生活
破滅
ファンタジー
総合ランキング3位
ファンタジー2位
HOT1位になりました!
そして、お気に入りが4000を突破致しました!
表紙を書いてくれた方ぴっぴさん↓
https://touch.pixiv.net/member.php?id=1922055
みなさんはボッチの辛さを知っているだろうか、ボッチとは友達のいない社会的に地位の低い存在のことである。
そう、この物語の主人公 神崎 翔は高校生ボッチである。
そんなボッチでクラスに居場所のない主人公はある日「はぁ、こんな毎日ならいっその事異世界にいってしまいたい」と思ったことがキッカケで異世界にクラス転移してしまうのだが…そこで自分に与えられたジョブは【自然の支配者】というものでとてつもないチートだった。
そしてそんなボッチだった主人公の改生活が始まる!
おまけと設定についてはときどき更新するのでたまにチェックしてみてください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる