26 / 99
第26話 打ち首獄門
しおりを挟む
「では少し遅れてしまったが、まあ良いだろう。ここらで自己紹介と行こうか」
そしてチビドラゴンのまおちゃんはその可愛らしい小さな身体で精一杯胸を張り、偉そうな態度で自己紹介を始める。
「俺の名前は真尾竜だ。気軽にリューと呼んでくれて良いぞ。因みにこの名前で分かったと思うのだが、魔王形態から竜形態へと姿を変えれるのは本名をそのまま反映してみた───」
「あら、はやり貴方はマオちゃんじゃない」
「───それが自分でも思っていた以上に苦労してな、見てくれよこの………へ?」
やたらとふんぞり返って自己紹介を始めるのもですから仰々しく、かつ長い名前が来ると思ったのだが口を開けばなんの事はない『マオウ・リュー』というではないか。
であればマオちゃんで決まりであろう。
「ならマオちゃんで決定ですわね」
そう言った瞬間、マオの身体は光だしネーミングが完了してしまうのであった。
◆
「成る程成る程。ならば今現在シャルロットはカイザル殿下に婚約破棄をされてその後釜に聖女メアリーが入ったと。そして週末明けである明後日には召喚術の実技テストがあり、今現在イジメに近い状況を打破すべく藁にも縋る思いで魔王召喚術に手を出したと」
「そ、そうですわ」
「何故魔王召喚術に手を出したかと言うと聖女メアリーの使役している召喚生物がホワイトワイバーンだったから。そういう事で間違いないな?」
「………そうですわ」
改めてわたくしが魔王召喚術に手を出した経緯と同期を第三者に知られるというのは、それはそれで物凄く恥ずかしく感じてしまう。
「それさ、召喚術の授業で万が一魔王を召喚したらお前一発で打ち首獄門なんじゃねえのか?」
「う、うちくび? ごくもん?」
「罪人として捕らえられて斬首、その首を見せしめとして三日間晒されるという意味だな」
マオの言葉を聞いて実際に当日わたくしがマオを召喚した場合を想像すると、マオの言う通りどの角度から見ても行き着く先は罪人として捕らえられて斬首刑であり、わたくしは自分自身の愚かかつ軽率な考えに冷や汗をかくと共に実際にやらなくて良かったと安堵する。
「………やはりか」
「お父様?」
「あの屑王子が婚約破棄で終わらせる訳が無いとは思っておったが、まさか婚約破棄だけでは飽き足らずここまで我が娘をコケにされたとなってはもう黙ってはおらぬ。どうやら国王は我がランゲージ家と戦争をしたいらしい」
「まあ待て待て、落ち着け」
「コレが落ち着いて居られるかっ!」
そしてマオを召喚するにあたってのことの顛末を聞いたお父様は怒りを隠そうともせず王国へ刃向かおうとし、それをマオに止められる。
因みにマオちゃんという呼び方もご本人より却下されていたりする。
そしてチビドラゴンのまおちゃんはその可愛らしい小さな身体で精一杯胸を張り、偉そうな態度で自己紹介を始める。
「俺の名前は真尾竜だ。気軽にリューと呼んでくれて良いぞ。因みにこの名前で分かったと思うのだが、魔王形態から竜形態へと姿を変えれるのは本名をそのまま反映してみた───」
「あら、はやり貴方はマオちゃんじゃない」
「───それが自分でも思っていた以上に苦労してな、見てくれよこの………へ?」
やたらとふんぞり返って自己紹介を始めるのもですから仰々しく、かつ長い名前が来ると思ったのだが口を開けばなんの事はない『マオウ・リュー』というではないか。
であればマオちゃんで決まりであろう。
「ならマオちゃんで決定ですわね」
そう言った瞬間、マオの身体は光だしネーミングが完了してしまうのであった。
◆
「成る程成る程。ならば今現在シャルロットはカイザル殿下に婚約破棄をされてその後釜に聖女メアリーが入ったと。そして週末明けである明後日には召喚術の実技テストがあり、今現在イジメに近い状況を打破すべく藁にも縋る思いで魔王召喚術に手を出したと」
「そ、そうですわ」
「何故魔王召喚術に手を出したかと言うと聖女メアリーの使役している召喚生物がホワイトワイバーンだったから。そういう事で間違いないな?」
「………そうですわ」
改めてわたくしが魔王召喚術に手を出した経緯と同期を第三者に知られるというのは、それはそれで物凄く恥ずかしく感じてしまう。
「それさ、召喚術の授業で万が一魔王を召喚したらお前一発で打ち首獄門なんじゃねえのか?」
「う、うちくび? ごくもん?」
「罪人として捕らえられて斬首、その首を見せしめとして三日間晒されるという意味だな」
マオの言葉を聞いて実際に当日わたくしがマオを召喚した場合を想像すると、マオの言う通りどの角度から見ても行き着く先は罪人として捕らえられて斬首刑であり、わたくしは自分自身の愚かかつ軽率な考えに冷や汗をかくと共に実際にやらなくて良かったと安堵する。
「………やはりか」
「お父様?」
「あの屑王子が婚約破棄で終わらせる訳が無いとは思っておったが、まさか婚約破棄だけでは飽き足らずここまで我が娘をコケにされたとなってはもう黙ってはおらぬ。どうやら国王は我がランゲージ家と戦争をしたいらしい」
「まあ待て待て、落ち着け」
「コレが落ち着いて居られるかっ!」
そしてマオを召喚するにあたってのことの顛末を聞いたお父様は怒りを隠そうともせず王国へ刃向かおうとし、それをマオに止められる。
因みにマオちゃんという呼び方もご本人より却下されていたりする。
12
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~
空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」
氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。
「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」
ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。
成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる