婚約破棄された公爵令嬢、使い魔を召喚したら魔王様でした

Crosis

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第28話 今日のドリルの攻撃力はいつもよりも増し増し

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 そして週明けの朝。

 魔術学園があった週末前までの朝とは明らかに目覚めた時の爽快感が違う。

 むしろ今までよりも清々しいというかワクワクとすら思えて来る。

 まるでプレゼントを前にした子供の様な、そんな感情の高鳴りを抑え切れないわたくしがいる。

「いよいよですわね」
「まぁ遠足行く気分で行けば良いさ」
「お気楽ですわね」
「まぁ言ってしまえば他人事だからなぁ」
「貴方って人は」

 そしてわたくしは、ばぁばが編んでくれたヤマブドウの籠にクッションを敷いたその上でトグロを巻きくつろいでいるマオと会話をする。

 何だか知らないのだがマオと会話をするだけで百人力の気分である。

 因みにマオはばぁばと一緒にわたくしの部屋へ入って来ると真っ先にわたくしの頭に止まり、ついでばぁばに抱っこされて今の位置に移動させられていたりする。

 マオ曰くわたくしの魔力の波長とマオが合うらしく心地よいのだそうだ。

 そう言われると頭の上に乗られるのも何だか悪い気はしないというものである。

「はいはい、お喋りも良いですけれどもお化粧を致しますので少しだけ静かにしていて下さいね」

 そしてわたくしはばぁばの手により少女から淑女へと変身していく。

 しかしながら何時もよりも美しく見えるのは気のせいでしょうか?

 髪の毛も何時もよりも増してボリューミーな仕上がりに出来上がっている様な………。

「今日のドリルの攻撃力はいつもよりも増し増しだな」
「こっ、攻撃力という表現でなくとも他に言い様があるでしょうっ! もっとこう、可憐になったとか美しくなったとか」
「ええ、今日はお嬢様にとってとても大事な日だという事でこのお婆々、いつも完璧に仕上げて来ましたけれども今日に限ってはいつも以上に完璧に仕上げさせて頂きましたから。攻撃力二割増しでございます」
「ばぁばまでっ!?」

 全く、二人揃って年頃の乙女に対してその様な物言いをしなくてもいいですのに。

 ですが、確かにばぁばがいつも以上に仕上げて頂いたと思うと何だかわたくしまで強くなった様な錯覚を覚える。

 そしてわたくしはマオを召喚契約してから戻った食欲にて朝食をペロリと平らげるとセバスにエスコートされて馬車へと取り込むと魔術学園へと馬車を走らせる。

 あぁ、この道中で気分が悪くなっていたのが嘘の様に快適で何だか不思議な気分だ。

「それではシャルロットお嬢様、ご武運を」
「ありがとうございますわ、セバス。しかし心配など不要ですわ。なんて言ったてわたくしにはあの魔王が味方しておりますもの」
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