婚約破棄された公爵令嬢、使い魔を召喚したら魔王様でした

Crosis

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第34話 ペテン師

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「これで私を召喚した女性は光魔術が使えるようになった。そなたの説明通りでは私のご主人様も晴れて本日より聖女であるな」

 太陽の光を反射して白金に輝くドラゴンの姿をしているマオは聖女メアリーに対して、まるで悪戯が成功したかの様な声音で言う。

 そしてマオの話を聞いた聖女メアリーは首が取れるのでは? と思える程の勢いでわたくしの方を見ると鬼ですら裸足で逃げ出しそうな表情で睨みつけた後、一瞬にしていつもの微笑みを貼り付けるのだが、しかしながら聖女メアリーの口元はピクピクと痙攣しているのがここからでも分かる。

「そんな、嘘ですよね? シャルロットさん……? そんな簡単に光魔術が扱える様になるなんて………私聞いた事ないです。ほら、他の皆様も困惑してますし、勘違いする前に早く光魔術が扱えるのは嘘ですと訂正して下さい」
「訂正って言われましても………恐らく、わたくし光魔術を使えるようになっておりますわ」
「これ以上自分を貶めてどうするのですか。もう、今の自分の現状をしっかりと受け入れるべきですよ。どうせあのドラゴンも幻影魔術が得意な何らかの生物なのでしょう? よく考えてたものです。しかしながら───」
「えっと………光魔術『閃光の一撃』?ですわ」

 そしてあんまりにも聖女メアリーが煩い上にまるでわたくしをペテン師呼ばわりしてくるので良い加減腹が立ってきたわたくしは光魔術を使い黙らそうと頭に浮かんだ光の攻撃魔術・・・・を行使すると、一筋の光が聖女メアリーの頬をかすめ、後ろに生えている常緑針葉樹に穴を開ける。

「───へ?」
「あら、当てるつもりは無かったのですけれども少しばかり頬をかすったみたいですわね。ですが初めて行使する魔術ですので少しばかりのズレは許して下さいまし。しかしながら、光魔術にも攻撃魔術が存在するんですのね。コレはある意味で世界を揺るがす大発見ではないのでしょうか?」
「あ、そ、ぐ……そ、そうよっ! 光魔術に攻撃魔術は文献にも載っていませんっ! という事は先程シャルロットさんが放ったのは光魔術ではなく、他の何らかの属性の光魔術っぽく見えるモノを行使したのでしょうっ!」

 わたくしの放った未知なる攻撃魔術に反応する事すら出来ず、恐れを抱きながらも未だにわたくしの事をペテン師呼ばわりしてくる聖女メアリーであるのだが、わたくしは頭の中にとある一つのスキルが気になって仕方なくなっており、聖女メアリーの言葉は最早聞こえていなかった。

「ええと、光魔術の他に新しいスキルもくださったのですね。スキル『聖女降臨』」
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